かくもあらねば/14/01

Wild Card
小さな星

Kuto
Lv.11
S/P/E/C/I/A/L: 3/6/2/10/4/7/8
Trait: Good Natured/Loose Canon
Tag: Speech/Barter/Explosion
Perk:
Lv2=Black Widow
Lv4=Educated
Lv6=Travel Light
Lv8=Ferocious Loyalty
Lv10= Demolition Expert
Equipment: Maria/Great Khan simple armor/Frag grenade/Pulse grenade

Si
Lv.14
S/P/E/C/I/A/L: 6/10/4/6/4/9/1
Trait: Fast Shot/Wild Wasteland
Tag: Guns/Repair/Survival
Perk:
Lv2=Confirmed Bachelor
Lv4=Educated
Lv6=Comprehension
Lv8=Lady Killer
Lv10=Hand Loader
Lv12=Quick Draw
Lv14=Rapid Reload
Equipment: Lucky/.44 magnum Revolver/NCR Ranger combat armor/Throwing knife


目の前にあったのがのっぺりとした男の顔だったので、思わずぶん殴りそうになった。
白衣の男だ。眼鏡をかけている。
「ドクター……?」

「ドクター? だれだ?」
と男は言った。金髪、白衣、絡みつくような物言い。思い出す。この男はArcadeだ。Old Moment Fortで出会った、研究者だ。
すぐ横で犬が一吼えした。脳味噌をガラス越しに露出させたサイボーグ犬、The Kingの愛犬であるRexだった。

「Si? Silas?」
そして聞き慣れた声
17年間、否、彼女が言うにはそれ以前、SiがJohnyに拾われたときからともにいるパートナー、Sumikaの声だ。
良かった……、目が覚めたんだね………」
Sumikaの声は涙声だった。
それもそのはずだろう、Siは頭を撃たれたのだ。頭に触れてみると、包帯でごわごわしている。敵の武器が.22口径のサイレンサーを装着したピストルだったため、頭に当たっても大きな怪我はせずに済んだのだが、当たり所によっては危なかった。
どうやらここは、The Topsのレストランらしい。スイートルームでの戦いの後、どうなったのかはわからないが、とにかくArcadeたちに助けられたようだ。

ドクター、と今言ったな? ぼくが誰だかわかるか?」
Sumikaと会話がしたかったが、Arcadeがそう言って顔を近づけてきた。息がかかって、非常に厭だ。
「Arcadeだろ。ドクターって言ったのは、あんたが白衣を着てたから、そう見えただけだ」
「じゃあ自分の名前は? 言えるか?」
Silas Makepiece、28歳、テキサス出身。ここはThe Topsだろう。あの後、どうなった? スイートルームで襲われたはずだが……。おれの怪我の具合は?」
「どうやら、大丈夫なようだな」と言ってArcadeは顔を離した。「怪我は、出血のわりには、そう酷い状態じゃないよ。米神に当たって皮膚は切れたが、頭蓋骨の丸みで弾かれたようだ。弾丸の口径が小さかったのも良かったね。とりあえず傷口を消毒して、縫い合わせた。まぁ一週間もあれば、傷口は完全に塞がるだろう。念のため、包帯は毎日変えるように」
「で、状況は?
「きみが何したのか知らないが、カジノ中が大騒ぎだ。客たちの隣の部屋で、銃撃戦があったんだから。きみは武器を持っていなかったから、襲われた側なんだろうということで、とりあえずきみが意識を取り戻してから話を聞くことになった。落ち着いたら、責任者に事情を説明しに行こう」
「いや、そんなことをやってる場合じゃない
Siはすぐさま立ち上がった。血を流したせいか、少し頭が重いが、走れないほどではない。

Kutoに嵌められた。
Siを襲ってきた男たちが正装のボディガードらしき格好だったこと、彼らがスイートルームに堂々と出入りできたこと、Kutoが簡単にスイートルームをSiのために用意したことなどから考えて、彼女がこのTopsの重役と繋がりがあったことは間違いない。おそらくその人物が、Good Springで目撃された「縞のスーツの男」だ。その男がPlatinum Chipを持っているはずだ。

ちょっと、Silas! まだ安静にしていないと……」
聞こえてくるSumikaの声に、Siは「もう大丈夫だ」と囁き返した。
レストランを出ると、Topsの責任者がSiを見つけ、話を聞かせろと詰め寄ってきたが、Siは「NCR大使館のDenise Crockerを呼べ」とだけ返した。NCRはNew Vegasではたいした権力があるわけではないが、それでも身元証明くらいならできるだろう。
さらにSiは、恫喝して、逆にTopsの責任者の名前と部屋の場所を聞き出した。Topsの社長の名はBenny、部屋は13階だという。
エレベータまで走り、ちょうど降りてきていたエレベータに乗り込み、Topsの社員を振り払う。
「Sumika?」彼女の姿が見当たらなかったので、エレベータの中でSiは声をかけた。「どこだ?」
ここだよ」と彼女の声は定位置、Siのコートのポケットから聞こえてきた。「もう、すぐに走り出しちゃうんだもの……。ほんとに、大丈夫なの?」
「大丈夫だ。外から見ても、そう酷い怪我じゃないんだろう?」
「まぁ……、うーん、まぁ。でも、髪の生え際ちょっと掠ってるから、そこのところに禿げができるかもよ」
「当分は帽子で隠す」

エレベータが13階に到着する。手当たり次第に部屋を開けていく必要はなかった。
13階フロアの中央に、ひときわ大きな両開きの扉があった。ここがTopsの社長、Bennyの部屋らしい。
Siは扉をぶち破った。
中に入ってから、急に不安になる。銃がない。相手がKutoひとりならば、たとえ素手対拳銃でも御せるだろうが、敵がふたり以上だったり、手錬がいた場合はそうもいかないだろう。
「Sumika、何が起こるかわからないから、いちおうおれから離れてろ
Siはそう言って、Sumikaをコートから出した。

高級そうなモニタセットやソファ、簡易バーがある部屋を横断し、次の部屋のドアに近づく。
ノブを握らす、ドアを蹴飛ばして開ける。敵の気配はない。踏み込む。
そこにあったのは、ベッドの上で大の字になって死んでいる男の姿だった。頭を綺麗に撃ち抜かれている。即死だろう。どうやら情事の際に撃たれたらしいということを、男の服装は物語っていた。
近くに脱ぎ捨てられた縞のスーツから考えても、どうやらこの死体が、Platinum Chipを運び屋、Jimから奪った人物、Bennyのようだ。

(だが………)

どうして彼が死んでいる?

Siは死体に近づき、死体を検めた。頭部の銃創に目をやると、焦げ痕が見つかった。銃を頭に密着させて撃ったという証拠だ。
情事の最中に、頭に銃を押し付けられて死んだ。その状況から考えると、導き出せる結論はひとつしかない。Kutoが彼を殺したのだ。

「Sumika、どう思う?」
情事に励んだ後の男の死体を見せるのは、彼女にとっては酷かと思いつつも、Siは自分の考えを整理するために彼女に声をかけた。
しかし彼女の返事は返ってこなかった。
「Sumika?」


Siの声は聞こえたものの、Sumikaは動けなかった
彼女の目の前には、奇妙な機械がいた。

彼のいる部屋の隣の部屋から何かしらの気配を感じたSumikaは、壁に空いていた小さな穴を通り抜けてみた。そこにこの機械がいたのだ。
見た目はNew Vegasに蔓延っているSecritronだ。違うのは、胸部モニタに映し出されている顔で、そこには普通のSecritronのような警備員の顔ではなく、奇妙な笑い顔が浮いていた。
そしてその機械は、Sumikaに気がつくとこう言った。

「こんにちは! お会いできて嬉しいです。今日のご用件はなんでしょう?」

と。


0 件のコメント:

Powered by Blogger.