「Rangerじゃない」
Kimball大統領がVertibirdで到着する前に、Siは守るべきポイントを実際に歩いて回った。その際に、ほかのRangerと顔合わせも行っていたのだ。


 塔の上で見張りをしていたRangerは狙撃手であり、太陽光を嫌ってゴーグルを着けていた。いま塔の上でSniper Rifleを構える男には、そのゴーグルがない。顔つきも違う。

「塔の下にRangerの死体が………」
 とSumikaの言葉が続く。それで確信できた。


(Legionだ)
 護衛のRangerを殺し、それに成り代わって大統領を狙撃するつもりだ。
 それが解っても、近くの狙撃手に伝える余裕は無い。だがこの距離は、回転式拳銃しか持たないSiに狙える距離ではない。通常の状態なら。




Aid: Steady (狙撃精度上昇)

 SiはSteadyの薬剤を腕に突き刺した。目の前の風景がゆっくりとなり、腕の動きが滑らかになる。これなら、狙える。
 Ranger Sequoiaを抜き、撃った。5発全弾。


Perk: Sniper (頭部への精度上昇)
Perk: Cowboy (回転式拳銃による威力上昇)
Perk: Finesse (クリティカル率上昇)
Perk: Gunslinger (拳銃の精度上昇)







 Siはその弾丸が当たったかどうか確認しなかった。弾が当たっていれば問題ないし、当たっていなければ次の銃を構える間にKimball大統領は殺される。
 だからSiは、次の動きに移っていた。

 銃声に、周囲の人間たちがどよめいている。壇上のKimball大統領も。例外は、Siの行動から敵の存在を察知したRangerたちと、Siのすぐ傍に居た男だけであった。
 技術者の扮装をしたCaesar's Legionは、Kimball大統領がVertibirdへと逃げようとするのを見るや否や、もはや形振り構わないつもりなのか、短刀を手にKimball大統領へと襲い掛かろうとした。



 その身体目掛けて、Siは二挺目の銃、Mysterious Magnumを抜いていた。撃つ。男の身体は、軽々宙を舞った。


 その間に、Kimball大統領は護衛のRangerたちとともにヘリポートのVertibirdへ乗り込んでいた。どうやらSiの射撃は暗殺者に当たり、少なくともKimball大統領の身は守れたようだ。爆弾かどうか定かではないものは既に解除したため、爆破の危険もない。回転翼が徐々にその速度を増し、Vertibirdの重量のある体躯が浮き上がり始める。


 それとは逆に、Siの身体は壁を背に、沈んでいく。射撃精度を上げるために投与したSteadyによる影響が身体に来ていた。頭が痛い。気分が悪い。
 それでも気分は晴れやかだった。

(終わった………)
 終わった。すべて終わったんだ。
 これでもう、命令を受けて誰かを殺したり、血生臭い現場に赴かなくてよいのだ。このWasteland、危険と無縁ではいられないけれど、それでも自分の意思で逃げること、目を逸らすことを選択できるようになるのだ。
「Si、お疲れさま」
 Sumikaの優しい声がする。彼女はSiの手首の紐と己の足首とを縛った。早くこんなものがなくてもいい生活に戻してやりたい。


 Siは結果的にKimball大統領の演説を中止にさせたわけで、これはいざ暗殺者が現れた場合は中止も止む終えないということなので、仕方が無いことではあるが、それでも始末書ものだ。億劫だが、しかし自分を自由にさせる書類だと思えば、辛くもない。
(さぁ、行くか)
 薬の負荷を堪え、壁に手をついて立ち上がる。異常を察知したのはそのときである。

 砲台が動いていた。

Armor: NCR Face Wrap Armor (NCRの変装)
Perk: Comprehension (Skill Magazineの効果2倍)
Aid: Fixin' Things (Repair+20)
Challenge: Repair≧50 → SUCCEEDED


 Hoover Damを守る対空砲である。対空砲はHoover Damの屋外に備え付けられている制御台からも動かすことができるが、その台の前には、いまは誰も居ない。しかし、動いていた。
「嘘」
 狙うものはひとつしかない。
「嘘だ………」
 対空砲が轟音と共に弾丸を射出、巨大な砲弾はKimball大統領の乗るVertibirdを破壊した。


 空からVertibirdの破片が降り注いだ。Siにはその破片を避けるだけの余力は残されていなかった。
 ただ、手首に巻いた綱を手繰り寄せ、小さな小さな女を庇った。それだけが、彼にできる唯一のことだった。


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