日誌/オンラインTCG『CARTE』サービス終了告知

8月 07, 2013
 2月頃からプレイしていたMTG型のオンラインTCG、『CARTE』がサービスの終了を告知しました
 個人的に非常に楽しめていたタイトルだけに惜しいのですが、いまさらどうしようもないので、CARTEの好きな絵柄のカードを貼り付けつつ振り返りたいと思います。

赤のヒーロー、ラジア・ベル。他のヒーローカードにも共通していえることだが、ヒーローカードは枠を食み出して描かれており、それが大きな迫力を生み出している。


 CARTEの最も大きな魅力は、間違いなくそのカードの絵柄にあったと思います。
 バランスが良いだとか、カードの枚数が豊富だとか、無課金でも遊べるだとか、そういったところも長所として挙げることはできるでしょう。
 しかしほかのTCGと比較するに、そうした点はあまり珍しくなかったのではないかと思います。
 ですがCARTEは、概ね良好なバランスを保った上で良好な絵柄のカードを出し続けました。


左は黒の6マナクリーチャー、"ザルカンの悪夢"。味方のAPを下げるという欠点を持つが、その能力は非常に高い。絵柄では悪夢という名に相応しい歪な生物が描かれている。
右は白の3マナクリーチャー、”2番目の羽”。わたしがもっとも好きな絵師、Ishtarisによる。やはりデメリットつきのステータス高めなクリーチャー。Ex版もあったが、あまり使われなかった。

 こうした高いクオリティが保った絵柄が全てのカードで保たれていたのは、総括のEron Kimがアートディレクターであり、自らもカードの絵柄を描いていたということが大きく影響しているのだと思います。
 改めて振り返ってみれば、そもそもCARTEを始めたのも絵柄に惹かれた部分があったような気がします。CARTEでは小さいカードも、大きいカードも、コモンもレアも、等しく高いクオリティが保たれており、新たなカードを手に入れる楽しさがありました。
 CARTEにはトレード要素はありませんでしたが、収集要素という点では素晴らしかったのではないかと思います。


左は1マナという軽いカードである"治安維持兵"。一般兵の姿が描かれているが、その絵柄でさえも妥協することなく、鎧の細部までが書き込まれている。
右はやはり2マナという低マナの"太っ腹人形"だが、やはりインパクトのある絵柄である。安定した能力から、多くの青プレイヤーに採用された。

 わたしはソーシャルゲームというものをやったことはありませんが、絵だけで売っており、ゲーム要素が薄いようなソーシャルゲームよりも、CARTEのほうが絵柄のクオリティは高かったのではないでしょうか。
 しかもその絵柄が、非常に好みのものが多かったというのは素晴らしいことでした。


"手"シリーズの"イエバの手"と"アゼルの手"。非常に迫力があり、とても格好良い。この二枚はCE(コレクターズ・エディション)というレアリティであり、Rareカードの絵柄違いであった。

 それでいて、CARTEは高いゲーム性を誇っていたのです。
 クリーチャー主体のゲーム展開は、些か単調なところもあったかもしれませんが、デッキ作成段階から考えると、大きな戦略性や駆け引き、メタの読み合いがありました。シーズンを重ねるごとに環境は動き、それでいて5種類の色は戦力的に大きく拮抗していました。
 後期ではHYPERというバランスを崩すカードも登場しましたが、それさえ除けば、バランスは非常に良かったといえます。美しいビジュアルと、バランスが良い戦略性のあるカードゲーム。売れなきゃおかしいようなゲームだったかもしれません。


左は個人的にかなり好きなカード、"灰色の奴隷"。途中でフレーバーが変わったのが残念だった。
右は白の"一番目の羽"で、速攻のトドメとしてよく使われていた。どちらも天使ながら、絵柄が大きくことなり、それでいて調和が取れている。

 しかし高い絵柄のクオリティは、逆に足枷となっていたのかもしれません。
 高い質を求めたためか、CARTEではブースター1パックあたりの値段が現実のTCGの1パック並みの値段であり、手元に物体が残らないオンラインTCGとしては敬遠されました。
 また新規プレイヤーがなかなか参入しなかったのも、TCGとしては大きな問題だったのでしょう。これらは開発よりは、運営の問題だったかもしれません。


左は迫力のある7マナクリーチャー、"レイネ炎騎士"。Ex版も登場し、安定したステータスと非常に強力な能力で、様々な色で使われた。
右は"ナーガ幻術師"。使ったことがなければ使われたこともないカード。しかし絵は非常に魅力的である。こうしたカードがCARTEには多い。

 CARTEは全てのカードを等しく扱いました。使えないほど弱いというカードは殆どなく、全てのカードにある種の長所がありました。
 しかしながら、その中でも使われやすいカードと使われにくいカードがあるのは必然というものです。CARTEでは、そうした使われにくい、いわゆる弱いカードにも、素晴らしい絵柄を篭めたのです。ブースター1パックがいつまでも高いままだったのは、1枚1枚のカードに高い質を要求した代償だったのでしょう。


CARTEの開発はハリネズミを好み、しばしばカードとして採用した。左は"臆病なハリネズミ"で、フレーバーも可愛い。
右は"霜の沼のサキュバス"で、ドレッドレッドというメタから外れたデッキを使っていたわたしにとっての核となるカードだった。

 HEXやラストクロニクルといった、TCGとしての移住先はあるかもしれませんが、おそらくそちらではCARTEレベルの絵柄は期待できないでしょう。
 たぶん、CARTEほどに素晴らしいイラストと高いゲーム性を共有させたゲームは、今後現れないのではないかと思います。それほどまでに、綺麗なゲームでした。

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