『犬の一生』
人の命は短い。だが犬の命はもっと短い。
世界樹ユグドラシルに貫かれた3つの平面、神々が住まうアースガルド、人間と巨人が住まうミッドガルド、そして死の国ニヴルヘイムに分け隔てられてた世界。
犬耳と猛禽の翼という異形の姿の母、ロキの呪われた子としてやはり異形の姿で産まれたフェンリル、ヨルムンガンド、ヘルの3人は、母から引き離されてそれぞれの平面へと追放されてしまう。
アースガルドの大草原に放逐された狼、フェンリルは母を取り戻すことを夢見ていたが、彼の前に突如として襲撃者が現れる。
果たして魔狼フェンリルは母を取り戻すことができるのか――。
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■目次(小説家になろうへのリンク)
- 一、ロキの子どもたちとフェンリルの捕縛
- 二、スキールニルの旅
- 三、オッタルの賠償金
- 四、ラグナレク
- 五、ヒュミルの歌
- 六、
- 七、
- 八、
- 九、
■登場神物
✔『一、ロキの子どもたちとフェンリルの捕縛』の主な登場神物
《黄金の林檎 イドゥン》 |
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ヴァン神族の首長、ニヨルドの娘でフレイの妹。妖精が住むといわれている森、アールヴヘイムに居を構えて隠遁するような生活を送っている。若い娘の一人暮らしではあるが、アールヴヘイムが心を惑わす森であることやニヨルドの手勢として猪のグリンブルスティが半常駐していること、オーディンの監視の鴉であるフニンとムギンが訪れていること、それに本人の能力も相まり、危険はない。
所有する『神々の宝物』は懐中時計型の《金環ブリーシンガメン》であるが、所有者の力を抑える以外のその能力に関しては、それを送った隻眼の主神オーディンと当人イドゥン以外には知られていない。
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エッダのイドゥン、フレイヤ、グルヴェイグの形質を受け継いでいてる。
イドゥンは青春の女神であり、詩人ブラギの妻。アース神族であり、争いを好まぬ性質であるが、神々に永遠の若さを齎すというその性質のために、しばしば巨人族との争いに巻き込まれる。『ロキの悪口』ではロキに兄殺しの男との不義を指摘される。
フレイヤはヴァン神族のニヨルドの娘であり、フレイの妹。美しい首飾り、ブリーシンガメンを手に入れるため、醜い小人たちと同衾する。それをオーディンに見られ、彼女の脅しを受けて戦乙女の真似事を行うようになり、猫の引く戦車に載って戦場で戦士の魂を拾い集める。美しさで世界を照らしているため、彼女も巨人族に狙われることが多い。
グルヴェイグは原初の魔女である。オーディンの槍で三度貫かれて焼かれたものの、三度生き返った。フレイヤとはしばしば同一視される。
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《軍神 チュール》 |
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力と軍功を求めるアース神族。父親や先祖は無数の首を持つ化け物であり、己もいつかそうなるのではないかと恐れている。母親は通常のアース神族だが、強姦されてチュールが産まれたため、口では穏やかに迎え入れながらも疎んでいる。そうした背景から、狼という異形の姿でありながら母親に愛されるフェンリル狼に嫌悪と羨望の念を抱いている。何者かの依頼を受けて『神々の宝物』である《銀糸グレイプニル》を使用し、フェンリルを拘束するが、その際に右手首を喰いちぎられ、隻腕になる。
なおこの世界ではアースガルドに住まうものはすべて神(アース神族、ヴァン神族)であり、ミッドガルドに住まうものはすべて人(巨人族、人間族)である。そのため、軍神という呼称には、軍人という程度の意味合いしかない。
所有する『神々の宝物』は三剣の一柱、《魔剣ティルヴィング》。願いを叶える能力を持つらしいが、その実態は不明。
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エッダではアース神族の軍神であり、力の神。アース神族の主神オーディンの息子とされることもあるが、巨人ヒュミルの息子とされる場合もある。
誰も手を出すことができなかったフェンリルとの交渉に己の右腕を差し出し、グレイプニルの糸での拘束に成功するが、右手首から先を喰いちぎられる。このため手首は「フェンリルの顎」と呼ばれる。また英語圏では火曜日(Tuesday)という単語にその名を残す。
ラグナレクにおいては魔犬ガルムと相打ちになる。
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《魔狼 フェンリル》 |
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狼の母ロキの息子だが、人神の姿ではなく狼の姿をしている化け狼。かつてはロキとともにアースガルドの森で隠れ住んでいたが、ロキがオーディンの屋敷に身を寄せるようになってからはアースガルドの草原に放逐され、神々から逃げる日々を送っていた。
所有する(というか寄生されている)『神々の宝物』は《銀糸グレイプニル》であり、臓腑に絡み付いて拘束されている。
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エッダではロキの呪われた3人の子どものひとりであり、魔狼。
グレイプニルの糸で拘束されていたがラグナレクの到来とともに紐を引き千切り、アース神族を強襲。オーディンをひと飲みにするが、その後オーディンの息子であるヴィーダルに踏み潰されて死亡する。
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✔『二、スキールニルの旅』の主な登場神物
《妖精王 フレイ》 |
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ヴァン神族首長ニヨルドの息子でイドゥンの兄。現在は和睦の使者としてアース神族軍に留まっている。立場としては人質であるが、実質的には客将に近い状態で席を置いている。栗色の髪の長身の美青年ではあるが、軽薄であり、常に物腰が軽い。しかし前大戦ではアース神族軍最強の雷神トールと対等以上に戦っており、戦績を考えればアースガルド最強である。異形の姿であるロキを対等に扱う数少ない人物のひとり。
所有する『神々の宝物』は三剣の一柱、《妖剣ユングヴィ》。自身が意思を持つかのように動き回る。
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エッダでは豊穣神。ひとりでに戦う「勝利の剣」を持つ。
世界のあらゆる場所を見渡すオーディンの玉座フリズスキャルヴに座って世界を眺めていた際、とある巨人族の美女を見初める。彼女を手に入れるために「勝利の剣」を手放したフレイはラグナレクの際、炎の魔人スルトとの戦いで鹿の角を携えて出陣せざるを得なくなる。劣る武器を持ちながらも奮戦したが、最終的にフレイは敗れ、世界は浄化の炎に包まれる。
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《火炉番の娘 ゲルド》 |
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城塞都市スリュムヘイムで食事処を構える巨人族の美女。左右の瞳の色が違うが、巨人族ではさほど珍しくはない。
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エッダではフレイに見初められた霜の女巨人。フレイの使者であるスキールニルの強引な脅しにより、フレイとの結婚を強制させられる。
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《半死者 ヘル》 |
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狼の母ロキの娘。一見では人神と変わらぬ体形だが、人でも神でもない亡者と化している。幼い頃は家族とともに第一平面アースガルド暮らしていたが、ある事件をきっかけとして第三平面ヘルモードへと突き通されてしまった。
隻眼の主神オーディンでさえ知らない〈神々の宝物〉、魔法の鎧《殻鎧フヴェルゲルミル》を纏っている。
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エッダではロキの呪われた3人の子のひとりであり、冥界ヘルの女王。腰から上は美女の姿をしているが、腰から下は腐っている。ラグナレクの際は死者の兵を駆り、神々へと進軍する。ラグナレクの後も生き延びた数少ない者のひとりでもある。
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✔『三、オッタルの賠償金』の主な登場神物
《狼の母 ロキ》
《雷神 トール》
《世界蛇 ヨルムンガンド》
《戦乙女 ブリュンヒルデ》
《竜殺しの英雄 シグルド》
《白き ヘイムダル》
《火の国の魔人 スルト》
《隻眼の主神 オーディン》
《原初の巨人 ユミル》
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