かくもあらねば/20/04


第二字
Deliverer of Sorrows

Didi
Lv. 22
S/P/E/C/I/A/L=6/4/7/5/6/9/3
Trait: Four Eyes, Wild Wasteland
Tag: Guns, Sneak, Survival
Skill: 
[S]: M.Weapon=32
[P]: E.Weatpon=20, Explosives=15, Lockpick=42
[E]: Survival=80, Unarmed=40
[C]: Barter=15, Speech=60
[I]: Medicine=61, Repair=50, Science=42
[A]: Guns=61, Sneak=90
Perk:
[E]: Home on the Range, Solar Powered, Stonewall, Toughness, Walker Instinct
[I]: Coprehension, Educated
[A]: Rapid Reload, Silent Running
[Implant]: Monocycle Breeder, Strength Implant
[Others]: Crossbow Specialist (Mod)
Equipment: Crossbow(Mod), Crossbow Scope Kit(Mod), Armored Duster, Desperade Cowboy Hat, Revealing Waster's Scarf(Mod), Sunglasses Green, Leather Backpack, !CA: Combat Assistant(Mod

 Grahamの指示に従い、KutoとDidiはZionを周り、壊れた方位磁針だのトランシーバーだの、救急箱だの弁当箱だのと拾い集めた。方位磁針や救急箱などはともかく、弁当箱は何に使うのかさっぱりわからない。
「弁当を作るのでは?」
 と、そんなふうに言ったのはDidiであるが、弁当をせっせと拵えるJoshua Grahamを想像すると背筋が寒くなる。

 DidiとFollow Chalkが居てくれたおかげで、道中は楽なものだった。Didiは人間を痺れさせたり動物を燃やしたりする矢を番えるためのCrossbowと、草叢や岩越しにも生物を見通す眼を持っていた。
 気になったのは、Didiは相手が人間だと、矢を撃ちはしても殺そうとはしないということだった。相手を痺れさせる矢を打ち込み、戦闘能力を奪うと、そのまま逃げようとしてしまう。相手を昏倒させれば殺すのは簡単なのに。殺せば単純に戦闘能力を奪うより安全だし、武器も奪えるのに。
「人殺しは、昔十分にやったので」
 とdidiは肩を竦めて応じた。もしかすると、彼は過去に軍隊にいたのかもしれない。

 Kutoはさらに、彼の眼について尋ねてみた。
「一度、視力を失っていましてね」というのが彼の返答であった。
 どうやらDidiの瞳は戦前の遺産らしい。それで見えぬものが見えるようになったというわけだ。
「いや、見えないものは見えませんよ」とDidiはやけに食い下がった。「ただ見え難いものが見え易くなったというだけのことです」

 それはそうだろう。見えないものは見えない。Didiが捉えているのは、つまりは人間の可視域から外れた電磁波なのだろう。人間の目では波長帯が合わないから見えないだけで、何を以ってしても見えないというわけではないのだ。
「でも、ぼくは見えぬものが見たいのです。あの妖精の目のように

「妖精の目?」
 それはNCRのRanger、Fairy Eyeの名を持つあの巡回牧師のことではないか。彼はあの牧師のことを知っているのか。
 そういえばDidiは南へ向かうと言っていたか。Ranger Fairy Eyeは南部NCRからやって来たという。知人同士でもおかしくはない。

 実際に知人なのかどうかを尋ねようかとも思ったが、Kutoは喉元で問いかけを止めた。Didiがどういった人物であるかを理解できていないのに、不用意にこちらの情報を提供すべきではない。
 だがもし彼があのRanger Fairy Eyeに通じており、かつ敵ではないと確信できれば、そのときはRanger Fairy Eyeの情報を彼から引き出すべきだろう。もしかすると、Mojave WastelandでのNCRの追求をかわすのに役立つかもしれない。

川沿いに道を上っていく。もうすぐGrahamの友人なる人物、Danielが身を寄せる部族、Sorrowの村だという。Danielに回収した戦前の遺産を届ければ、とりあえずGrahamから頼まれた仕事は終わりだ。Follow Chalkともここでお別れになる。

「そういえば、Follow Chalkはどうしてそんな名前なんですか?」と浅い川を上りながら、Didiが尋ねる。
「良い斥候、チョークで狩場に印をつける。おれ、まだ良い斥候じゃないから印つけられない。追うだけ。だから、”チョークを追う”
「ふむん、なるほど。New Canaanじゃ、みんな名前に意味があるんだなぁ」
「Civilized landsじゃあ、違うのか」
「まぁ、そうかな」

「あの……」Kutoはふたりの男の会話に割って入った。「これから会うというDanielさんなんですけど、どういう方なんですか?」
 そんな問いかけをしたのは、Danielなる人物がJoshua Grahamと同じくCaesar's Legionに属していた人間だとすれば、相応の警戒をしておく必要がある。
「Danielは……」と少し逡巡した後、Follow Chalkは答えた。「JoshuaとDanielは、White Legsと戦うかどうかで、揉めてる」
 彼の返答はKutoの意図していた問いかけと少し変わってはいたが、一応の情報にはなった。
「Joshuaさんは戦おうって言ってるわけですね」
「そう。それで、Danielは反対してる。戦うよりは、この場所を捨てて逃げたほうが良いって言ってる」
 ならばDanielなる人物は、少なくともGrahamよりは温厚な人物であるということだろう。元Legionではないのかもしれない。ならば心の負担が少しは軽くなる。

 やがて山と滝に囲まれた、谷の中にある村の姿が見えてきた。川の水を掻き分け、孔雀のような羽飾りをした坊主頭の女がやってきた。ちらとDidiを見やり、彼の眼の力に頼る。
「敵意はありませんね」とDidiはすぐに言った。「彼女がSorrowの人かな」
 Follow Chalkが頷く。「そう。Sorrowの、Waking Cloud」
 
 Waking Cloudなる女はKuto、Didi、そしてFollow Chalkを見とめると、胸の前で十字を切った。Follow Chalkも切り替えした。それは戦争で消え去ってしまったという、信仰を感じさせる動作であった。


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