大山羊牧場の決闘
Ghost Town Gunfight

Kuto
Lv.2
S/P/E/C/I/A/L: 3/6/2/10/4/7/8
Trait: Good Natured/Loose Canon
Tag: Speech/Barter/Explosion
Perk: Lv2=Black Widow
Equipment: 9mm pistol/Lightweight leather armor/Dynamite
Si
Lv.2
S/P/E/C/I/A/L: 6/7/4/7/4/9/3
Trait: Fast Shot/Wild Wasteland
Tag: Guns/Repair/Survival
Perk: Lv2=Confirmed Bachelor
Equipment: .357 magnum revolver/Sheriff's duster/Sheriff's hat


銃声が響いたとき、Kutoは目を瞑らなかった。

その理由はいくつかあった。まず目の前の男が自分を殺す気で銃を撃つ可能性はないことがわかっていた。彼はKutoの身体をどうにかしようというようなことを口に出して言っていた。そのため自らKutoの身体を傷つけようとはしないだろう。撃つとすれば第三者の介入があることが考えられる。その第三者がどのような意図を持って男とKutoの間に割り込んできたかわからない以上、第三者の介入があった時点で安心しきることはできない。どこから、どんな人物が撃ってきたのかを見極めたほうが良い。

目の前の男が撃ってきたとしても目を瞑るのは得策ではない。目を瞑れば相手は、Kutoが怯えていると見るだろう。そうなったら相手の加虐欲を掻き立てるだけだ。Kutoとしては襲われる程度で済めば良いが、それが発展して身体を傷つけられたり、妊娠させられたりすると困る。抵抗できる様子を見せておかねばならない。

だが最も大きな理由は、Kutoが銃を手にした男を見返していたときに考えていたことに関係があった。

Kutoと男のいる場所は、Good Springという、繁華街からだいぶん離れた寂れた村の傍の岩場だった。

●Good Spring
アメリカ東海岸の現在Mojave Wasetelandと呼ばれる地域にある村。
Las Vegasに程近い位置にあり、かつては旅人などが盛んに訪れていたが、現在は非常に寂れている。

Good Springに来たばかりで散策していたKutoは「娘がGeckoに襲われて危ない」と助けを求める男の要請に応じて、彼の言う娘をGeckoという巨大な爬虫類の手から助けに行った。










●Gecko
核戦争後にアメリカに現れたクリーチャーの一種。
肉は非常に美味。また皮は衣服などの材料に用いられる。
近縁種として炎を吐くFire Gecko、光り輝くGolden Geckoなどが存在している。

結果、男の娘などは何処にもいなかった。男はただ自分の物品を保管していた場所の近くにGeckoが現れたため、Kutoを騙してそのGeckoを排除させようとしただけなのだった。あまつさえ、彼はKutoにその物品を奪われないようにするためか、銃を向けてきた。殺すのは惜しいから奴隷にでもしてやるか、という言葉つきで。

Kutoはそのとき考えたのだった。ああ、たまにはこんなときに誰かが助けに来てくれたら良いな、と。人と比べて極端に真面目に生きてきたわけでもなく、こんな経験も初めてでもないが、たとえるならKutoのそのときの気持ちは神に祈るようなものだった。

誰か素敵な人が助けに来てくれれば。
そう思っていたときに銃声が響いたのだった。

目の前の男の右手から鮮血が迸り、銃を取り落とす。男は慌てたようにしゃがみこみ、無事なほうの左手で銃を掴んで構える。

「誰だ!」

男はKutoの首に腕を掛け、自分の胸元に引っ張り込む。

なんてことだ、失敗した。男が撃たれた瞬間に逃げれば良かった。まさか助けが来れば良いな、と思っているときに助けが来るとは思わなかったので動揺してしまっていた。
相手は片手を怪我しているとはいえ、男女の力の差が大きすぎた。Kutoはライフル銃を持っていたものの、首を抱え込まれた姿勢では構えることすらできない。おまけに苦しい。米神に銃口が当てられているのがわかる。

「出て来い!」男が叫ぶ。

こんなことしても出てくるはずがないだろうに、とKutoは思っていた。

しかし乱入者は現れた。両手を挙げ、無抵抗の様子を見せて出てきたその人物は、黒い帽子と黒いコートという装いの男性だった。帽子の間から軽そうな金髪と青い目が見える。
出てきたぞ」とコートの男性は言った。「その人を放せ」

(珍しいなぁ)
などとKutoは考えていた。コートの男性の行動は善良な人間そのものの行動だ。自分の身を挺して見ず知らずの他人であるKutoを救おうとするだなんて。いまどきこんな人間がいるのだなぁ、と彼女は感心した。自分もかくありたい、とはまったく思わなかったが。

「馬鹿め!」

Kutoの首を絞めていた男が叫び、銃口をコートの男性に向けた。Kutoはこの後どうなるか、だいたい想像がついた。

コートの男性は僅かに身体を仰け反らせると、腰元のホルスターからリボルバーを抜いた。左手で撃鉄を引いて右手の引き金を引く洗練された動作。彼が無抵抗な様子で姿を現したのは、自分の早撃ちの腕前に自信があったからなのだろう。
鼓膜が揺らされ、今度は思わず目を瞑った。生暖かい感触は目を瞑っていても、血だとわかる。薄目を開くと、傍にKutoを拘束していた男の死体が倒れていた。最初に撃たれた右手以外にも、左手と額が撃ち抜かれていた。動作はほとんど見えなかったが、黒いコートの男性はあの動作だけで二発の弾丸をこうも正確に狙い撃ったようだ。
Kutoは自分の身体を確認する。男の血は浴びはしたものの、無事だ。黒いコートの男性も無事だった。彼は口を開いて何か言っているが、間近をリボルバーの弾丸が通過したばかりのため、声がよく聞こえない。Kitoは耳に手を当て、よく聞こえないというジェスチャをする。

「大丈夫か?」
コートの男性が近寄ってきて、Kutoの耳元で言った。
「はい……。まだちょっと耳はきーんとしますが」Kutoは正直に言った。「ありがとうございました。助かりました」
「あんた、Good Springの人間か? あの男はPowder Gungersか?」

●Powder Gungers
NCRの刑務所から脱走した犯罪者の集団。

「いえ………」
Kutoは首を振り、自分が旅の人間であることや男に襲われた経緯を説明した。

「なるほど……、旅人か」黒いコートの男は小さく頷いた。黒い帽子とマフラーの隙間から顔が観察できる。無精髯が生えている。「おれは巡回牧師だ。良かったらこの町のサルーンまで案内してくれないか? Good Springには詳しくないんだ」

なるほどな、とKutoは思った。巡回牧師とは。
さきほどのKutoは神に祈るような気持ちだったが、そうしたら神の使いともいえる牧師が現れたわけだ。これは面白い。こんなことがあるから旅はやめられない。旅というのはかくあらねば

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