かくもあらねば/10/03
3
あれよあれよという間に話は進んでいた。KutoとBooneはFantasticという男に雇われた探索屋で、NCRと契約したということになっていた。嘘だと跳ね除けることも可能だったが、そうするともともと嘘を吐いてこの施設に入った手前、真実を追究するとややこしいことになりそうだった。
いちおう報酬も貰えるということで、Kutoは折れることにした。戦前の施設となれば、何か金目のものもあるかもしれない。少なくとも戦前の装備はあるらしい。そういったことはKutoのかまかけに引っかかってNCRではなくFollowers of the Apocalypseであるということを明かしたIgnacio Rivasという男が教えてくれた。
「この建物は単なる発電所じゃなくて、兵器の一部らしいですね」
外の光発電装置の端末を中央の統合機械に接続した後、Kutoたちは中央の施設に入った。暗く湿った空間の中、あまりにもムードがなかったのでKutoはBooneと喋りながら歩くことにした。もっとも彼とお喋りを持続するのは難しい。
「兵器?」と元NCRのBooneは興味を示す。
「ARCHIMEDESとかいう……。さっきのRivasさんが言ってました」
彼は、そのARCHIMEDESという兵器を使用すれば、破滅的な結果になるだろうと述べていた。誰一人、被害を免れることはできないだろう、と。
NCRはその事実を知らないらしい。そうだろう。知っていたら外部の人間であるKutoとBooneにこうも簡単に事態を任せたりはしない。
「危険なものか?」
「この施設を守るためのものみたいですけど……、電気を作るだけなら問題ないそうです」
数々の対侵入者用セキュリティシステムを(主にBooneとED-Eが)破壊し、障害物を潜り抜け、電源を修理用ロボによって復活させ、なんとか最深部のメインフレームまで辿り着いた。
そこでKutoは重要なことに気付いた。
「ところでBooneさん、ミラーを動かして電気を送れと言われましたけど」Kutoはメインフレームの端末の前で指をわきわき動かす。「具体的にはどこをどうすれば良いのでしょうか」
「知らないのか?」
「知っているように見えますか?」
「見えない」Booneはあっさり言う。「が、自信満々なのでわかっているものと思っていた」
「こういう戦前の機械って難しくて苦手なんですよね……。ED-E、わからない?」
ED-Eは恥ずかしがるように鳴いて傾く。操作盤をしばらく見つめていたようだったが、彼にもわからないようで下がった。
「駄目みたいですね……。とりあえずやるだけやってみます」
「やってみろ」
そして、こうなったのだ。
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