1458年01月28日
312日目
蠍、6袋の小麦を得るためにノルド王国トレディアン卿と戦い、カーギット・ハン国まで奔走し、なおかつ盗賊を退治し、あまつさえ牛追いの真似事まですること

Name: Rana
Sex: Female
Level: 14
HP: 53
Attributes: STR12, AGI13, INT10, CHA12
Skills:
【STR】鋼の肉体3, 強打4, 豪投4
【AGI】武器熟練2, アスレチック4, 乗馬2, 略奪3
【INT】訓練2, 戦略2, 観測術1, 荷物管理1, 治療2
【CHA】説得3, 捕虜管理1, 統率力4
Proficiency: クロスボウ175, 火器112, 片手武器104
Equipment: 貴婦人の頭布, サランの革鎧, 痛んだ薄片の篭手, 粗雑なLeather Steel Graves
Arms: 精巧なポールアックス, 攻城用の弩弓, 鉄のボルト, 鋼のジャリド
Horse: 重い駿馬
Companions: ユミラ, バートル

 一先ずバリーエの街へ向かい、小麦を買い集めることにした。
 が、街の市場を回ってみても、今年は小麦の収穫量が少なかったのか、出回っている小麦の数は少ない。手に入ったのは3袋のみである。
(これは、村も回ってみないと駄目かな……)


「おい」
 と声をかけられたのはフィシャラやシンスーラといったバリーエ周辺の村々を回っていたときのことである。
 こんな乱暴な口調でラナに話しかけてくる人間はバートルしかいない。彼は苛々とした口調で、村民の頼みに何時まで関わっているつもりだ、こんなことをしている暇があるのか、だいたい貴重な資金をなんてことに使ったのだ、などと文句を並べ立てた。
 なんてことを、というのは、ウズガを出る前に送った書簡のことであろう。バリーエの商工会に宛てたもので、内容はウズカの見張り塔の建設依頼である。費用の見積もりは3000デナル。軽く傭兵団を集められる金額だ。


建設 見張り塔
場所 ウズガ
技術 0(Rana)
費用 3000デナル
日数 26日

 そんなところに金を使っている暇が有るか、というのがバートルの主張である。

「これはっ」とラナはぐっと目を閉じて、考えておいた台詞を返す。「任地を任せられた貴族として当然のことですっ。領地が盗賊に荒らされては税を吸い上げることもままなりませんから、村の秩序を守るのが貴族として振舞う最良の行動なのですっ」
 ラナとて、己の述べた言葉をそのままに信じているわけではない。だが、傭兵崩れや盗賊に怯える寒村で育った身としては、ウズガの村を放っておくことはできなかった

 薄目を開いてバートルの反応を伺うと、彼は刀に手を掛けていた。まさか、なんだ、ラナを裏切り者として処断するつもりか。確かにロドック王国から受けた任務に対して反抗的な態度は取ってはいたが、こんなに早く行動を起こされるとは思ってもいなかった。ラナは背中に身に着けているポールアックスを手に取り、構える。

「敵だ」
 というバートルが低い声が無ければ、ラナは彼に切り掛かっていたかもしれない。
 彼が指し示す方向を見れば、確かに軍隊の姿が在った。
「あれは………」
「あの旗印は、トレディアン卿の家紋ですね」
 と言ったのはユミラである。ほとんどフライチン女伯邸と王宮とを往復する毎日だったラナとは違い、彼女はロドックの大商人の娘である。ロドックのみならず、他の国の有力な貴族との繋がりもあるのだろう。彼女が知っているということは、それだけ高名な貴族なのか。
「そうですね、まぁ高名といえば高名かな」
「どちらの国の方?」
「ええと、今はノルドだと聞きましたが」
「今は?」
戦況が不利になり次第、寝返る男として、不名誉な意味で名高い方ですので………」
「最悪だな」
 というバートルの言葉には、心の中で同意しておく。


 ノルドということは、現在サラン朝が争っている敵対国だ。
 とはいえロドックの暗殺者たるラナに戦う理由は無い。己の立ち位置が曖昧なことを思えば、サランの家臣として手柄を立てたいという気持ちは無いではなかったが、それよりも争いを避けたいという気持ちのほうが強かった。
 だが目の前でイグベイルの村が襲われようとしている光景を見ては、このまま目を逸らすことはできない。幸い、数の上では有利だ。

サラン朝 対 ノルド王国
サラン朝 129名
Rana

ノルド王国 69名
トレディアン伯爵

結果 撤退


 ラナが思い知ったのは、己の弱さだった。
 ラナはフライチン伯爵から、戦い方を学んだ。武器の扱い、首の落とし方、急所の位置、鎧を着た相手と戦うときの方法、毒を用いるということ
 だがそれらは全て、ラナ個人が暗殺を成功させるため、あらゆる障害を跳ね除けて標的を仕留めるための方法であった。ゆえにラナは、兵を率いて大多数の敵とぶつかるという戦を知らなかった。
 トレディアン伯爵の兵を10人倒す間に、ラナの兵の数は3分の1近くにまで減っていた
 撤退以外の選択肢はなかった。

「待て、逃げるな」
 と退却を咎めたのは、またしてもバートルである。
「勝てませんし、敵軍を村から引き離したので十分でしょう。スワディア仕込みの騎兵に勝つなんて、土台無理です」
「まだ決着も着いていないのに、戦いから逃げるとは、何事だ。最後まで、戦え」
 ラナからしてみれば、バートルの言葉は横暴以外の何物でもなかった。「だったら」と言い返してやる。「わたし一人で戦いますから、あなたは兵を連れて逃げてください」
「馬鹿なことを言うな」とバートルが憤る。「おまえには任務が有るだろう」
「戦えと言ったのはあなたでしょう」

 と、そんな遣り取りをしているうちに、ラナたちはトレディアン伯爵の軍に追い付かれていた。


 もはやこれまでか。そう思ったときに、砂丘の向こうに砂埃が立ち込めた。よくよく見れば、その砂埃は馬と人とによって巻き上げられたもので、巻き上げるその軍靴こそは、サラン朝軍のものであった。

サラン朝 対 ノルド王国
サラン朝 165名
Rana
アムダル公
ダシュワル女公

ノルド王国 59名
トレディアン伯爵

結果 勝利


「助かりました」
 と戦いの後、ラナはダシュワル女公に礼を言った。近くを進軍していた彼女とアムダル公の救援により、ノルド王国、トレディアン伯爵の軍は呆気無く打ち砕かれた。撤退したトレディアン伯爵は、現在アムダル公の追撃を受けている。
 カルラディアにおいて珍しい女性諸侯であるダシュワル女公は、ラナの身体を頭から爪先まで眺め回した後、「最近、ハキム帝から騎士受勲を受けた、ラナという方はあなたか」と言った。
 そうです、とラナが頷くと、ダシュワル女公は、またか、と呆れた表情になった。どうやら以前にも、ハキム帝は無茶な騎士叙勲を行ったことが有ったらしい。
「あなたは、戦の経験は?
「吟遊詩人として大陸を廻っておりますれば、一応の戦いの経験は有りますが、兵を率いての戦争となると……、先程が初めてです」


「だと思った」とダシュワル女公は息を吐く。「いいこと? 普通、幾ら数が多いからといって、スワディア騎士を擁する軍隊に歩兵だらけで突っ込んでいく馬鹿は居ない。トレディアン卿があれだけ下衆な性格で国を渡り歩けるのは、相応の用兵術が有るから。今後はそれを理解して行動しなさい」

 説教されてしまった。
 でも、村が襲われそうだったから、などと言う余地は無かった。言えば、さらに小言を言われていただろう。ありがとうございます、とだけ言って離れようとする前に、ひとつ思い出したことを尋ねる。
「あの、兵糧に小麦を持ってはおりませんか?
 問い掛けに、ダシュワル女公はしばらく逡巡する様子を見せた後、こう言った。
「もしかして、どっかの村で、小麦が足りないとでも言われた?」
「はい。ですが街の市場に小麦があまり出回っていないので、もしダシュワルさまが持っていたら分けてもらえないかと………」
「馬鹿じゃないの?」
 はん、と鼻息鳴らし、ダシュワル女公は馬首を返して己の兵の所へと戻っていってしまった。どうやら、ラナの言葉が余程気に食わなかったらしい。


 その後も村々を廻ってみたが、不作なのか、サラン朝で小麦を手に入れることはできなかった。カーギット・ハン国の街、イクマールまで足を伸ばして、ようやく目当ての小麦を得ることができた。途中に立ち寄ったトゥルガでは盗賊に襲われるなど、本当に大変な道中であった。


「ありがとうございます、本当に、助かりました」
 と小麦を受け取ったウズガの村長は、平伏して感謝の意を示した。
「いえ、そんな……」とラナは無理矢理に村長の身体を起こそうとする。「頭を上げてください 。領主として、当然のことです。他にも何か困ったことが有れば、遠慮無く言ってください


 軽い気持ちで言ったラナであったが、その後、「盗賊が」「8頭の牛がいれば」などと色々な仕事を頼まれることとなった。どうやらウズカの村民は、ラナを組しやすいとみて、様々な雑事に使うことに決めたらしい。


 したたかなウズガの村民を見て、ラナは利用された不快感よりも、力強く生きる彼らに元気付けられたような気がした。


0 コメント :

コメントを投稿

 
Toggle Footer