1458年04月04日
377日目
蠍、一城の主となること

Name: Rana
Sex: Female
Level: 21
HP: 55
Attributes: STR12, AGI15, INT13, CHA15
Skills:
【STR】鋼の肉体4, 強打4, 豪投4
【AGI】武器熟練3, アスレチック5, 乗馬2, 略奪3
【INT】訓練3, 戦略3, 経路探索1, 観測術2, 荷物管理2, 治療2
【CHA】説得3, 捕虜管理2, 統率力5
Proficiency: 長柄武器203, クロスボウ180, 火器113
Equipment: 貴婦人の頭布, サランの鎖の上着, 壮麗な鱗の篭手, 粗雑なLeather Steel Greaves
Arms: エレガント・ポールアックス, 重い投擲斧, 軽弩弓, 大袋入りの鋼鉄のボルト
Horse: 重い駿馬
Companions: ユミラ, アルティメーネル



 城壁は血で真っ赤に染まっていた。しかしその血を拭ったとしても、きっとその城壁は凝固した血液のせいで赤黒く濁った色になっているはずだ。



 幾度目になるのか判らなくなるようなバリーエでの戦いであるが、ラナはきちんと数えていた。4回目だ。

サラン朝 対 カーギット・ハン国
サラン朝 112名
ラナ

カーギット・ハン国 66名
アカダン卿
バリーエ守備隊

結果 勝利

 4月3日。バリーエを奪われてからひと月も立たぬ間に続けざまに起きた4度目のバリーエの戦いを、ラナの軍は制した。
 3月の22日に奪われ、24日には取り返し、25日にはまたカーギットのものになり、28日に再度取り返し、4月の2日にはカーギットの大軍勢に奪われ、しかし軍の大半が去った3日にはすぐさま奪い返す、という具合であった。


 これだけ何度もバリーエの領有権を奪い合ったのは、ラナの戦い方に理由があった。ラナはバリーエを奪ったのち、カーギット・ハンが大群を率いて包囲してきたら、抵抗せずに街を明け渡したのだ。そして本隊が引き上げた後、残った僅かな守備兵に対してすぐさま攻撃を仕掛けて奪い返した。カーギット・ハン国の軍にとってバリーエは僻地だ。徴兵や食料の確保も容易ではない。一方、サランの人間にとっては簡単なことである。この差を利用しての戦いであった。
 これだけのことができたのは、ラナの隊に新たに加わった人物、アルティメーネルの存在があったからだった。

「またなんとか勝てましたな」
 と城壁にどっかりと腰を下ろして言葉を発する白髪の男こそがアルティメーネルである。
 彼は築城専門の技術者で、バリーエの城壁の修復を請け負ったそうだが、資金問題でトラブルを起こしていたという曰く付きの人物であった。大口を叩いて、無理矢理にラナについてきた。



 だが彼は大口を叩くだけあり、バリーエの攻城梯子を、たったの6時間で作り上げるだけの技術力と指揮能力を持っていた。
「いやぁ、疲れましたな。獅子奮迅の活躍お疲れさまです。怪我などされていませんか。診てあげましょう」
 こんなふうに言って手を伸ばしてくる辺りは助平親爺そのものなのだが、死体だらけの城壁でこれだけ平然としていられる神経は、ある意味で頼りになる。


 彼のことは無視して、ラナはバリーエの城へ向かった。守備兵を配置しなおし、カーギット・ハン国の斥候に対して監視の目を広げる。
「ラナ!」
 と指示を出している最中に抱きついてくる者がいた。ロドックからずっとついてきているユミラである。
 何処行ってたの、心配したんだよ、戦いが終わってすぐに居なくなっちゃったから、とそんなふうに喚くユミラを宥める。元々、女の少ない軍である。女同士で仲良くなったわけだが、アーメラッドでアジと一緒に彼女を救い出して以来、やけに懐かれるようになってしまい、こうして僅かな時間でもラナが目の前からいなくなると、気が動転するという有様である。
「街の守備隊に指示を出してただけ。今は大丈夫だよ。敵が近くにいるっていう報告も無いから……」
 ラナがそんなふうにユミラを宥めていたとき、斥候が敵の接近の報告を持ってきた。
バリーエ近郊で、ディユル卿がカーギット・ハンのウクァイス伯爵と戦闘中です」


「戦況はどうなっていますか?」
 そう尋ねたラナに対し、「ラナ」とユミラが甲高い声をあげた。「まさか戦いに行くんじゃないよね?」
「必要なら」
 と言って、ラナは斥候に続きを促す。
「100人規模の戦闘ですが、戦力比はほぼ互角と思われます」
「出撃しましょう。100人規模の部隊に出撃準備をさせてください。騎馬兵中心で」
「ラナ!」
 とユミラが声を張り上げる。だがラナな彼女を振り切り、出撃した。

サラン朝 対 カーギット・ハン国
サラン朝 171名
ディユル卿
ラナ

カーギット・ハン国 53名
ウクァイス卿

結果 勝利


 100人規模のラナが加勢したことで、ディユル卿とウクァイス卿の均衡状態は一瞬にして崩れた。
「ラナどの、ご助力に感謝します。危ないところでした」
 と戦闘後、ディユル卿が礼を言った。昔からの貴族ではないラナに対する態度は様々であるが、彼は礼儀正しい人間であった。


「いえ……、間に合って良かったです。バリーエへは、何かご用事で?」
「ええ。国境警備のついでなのですが、あなたへの書簡を持ってきておりまして……、ハキム帝からです」
(書簡?)
 いったい何事だろうかといぶかしみつつも、ラナは礼を言ってディユル卿から書簡を受け取った。

「なんですか?」
 とディユル卿と別れたのち、騎兵隊の一員として同行していたアルティメーネルが書簡について尋ねて来た。
 彼の質問に答える理由は無かったのだが、ラナ自身も気になるところがあったので、書簡の封を解いて中を確かめる。その中に記されていた内容を見て、ラナは目を疑った。
「お? なんですか、そんなに驚くような内容なのですか」
 どれどれ、などと言いながら、勝手にアルティメーネルは書簡を覗き込む。
「なんだ、良い内容じゃないですか。バリーエを与える、だなんて、あなたみたいな若いお嬢さんへの褒賞にしては破格ですよ」

 何度読み返しても、書簡の文面は変わらなかった。
 金と土地は、貴族を支える力だ。戦争をするための原動力だ。そして現在のサランに残されている唯一の資金源である都市が、ラナのものになったというのだ。驚かずにはいられない。
 書簡を読む限りでは、どうやらバリーエを奪取したこともあるが、ハキム帝の王子であるアジズを助けたことや、バリーエ奪取に伴い、敗北し投獄されていたハメザン公を救い出したというのも評価されたらしい。



 バリーエに戻ってみると、もうひとつ、良い報せがあった。
 1458年4月7日。ラナがバリーエを4度目に奪い返してから4日後のことである。サラン朝とカーギット・ハン国との間で1ヶ月間の休戦同盟が締結された。
 これでようやく、カーギット・ハン国とバリーエの領土争いをしなくて良くなったわけである。未だカーギットのものとなったままの領土は多いが、この休戦期間中に情勢を立て直せるだろう。
 なによりダシュワル女公のシャルワ城に預けっぱなしだったアジズを、バリーエの城に住まわせてやれるようになったというのが嬉しい。


 そして最後にひとつだけ、悪いことがあった。
 カーギット・ハン国との戦争が終わった代わりに、ロドック王国との戦争が始まった。ラナが決断せねばならない時期が近づいていた。


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