《ベリアル/Belial》
沈黙の神、アゼルの残滓。悠久の時に渡り支配する邪悪なる魔王。

 《ベリアル/Belial》は現在の五大国が大陸アルカディアに建設される以前に存在していた悪魔の絶対の統治者です。
 かつて彼はアルカディアを完全なる混沌に陥れるために戦争を引き起こしましたが、第三次大陸間戦争の際に赤鉄剣《皇帝の剣プラウテ/Praute, Sword of Emperor》を手にした天使《ラジア・ベル/Lagia Belle》によって傷を負わされました。
 その傷は神聖なるイエバの力によって徐々に彼を分解しており、彼の滅びの日を定めています。

 彼は沈黙の神アゼルの力を受け継いでいましたが、イエバの力は彼の不死の性質を破壊しました。
 身体の崩壊を食い止めるためには、アゼルもしくはイエバの力の破片が必要です。

 彼よりも強い沈黙の神アゼルの残滓はこの大陸に残ってはいないので、ベリアルは己より強大な存在を見つけることはできないことを知っています。
 そのためベリアルは、己の存在を変換するためにイエバの聖女に目をつけました。
 しかし彼の力だけでは聖女の力をコントロールすることは土台不可能であり、聖女の力に匹敵する力が必要です。
 この条件に適う者は、現在この大陸にたったひとり存在します。すなわち《聖女の心臓/Heart of Saintess》を持つもの、《バフキン/Bahkin》です。



《バフキン/Bahkin》
「次期聖女が見つかった? これは面白いな、ベリアル。あなたが消えるのには好都合のタイミングだ」
バフキンは聖女を愛し、彼なり方法で愛に報いた。ふたりの血は何世紀にもわたり流れ続けている。

 五大国が建設されたばかりの頃、最初の大陸間戦争が起き、神々の消失という大事件が起きる以前、《バフキン/Bahkin》はシェイクの聖職者と恋に落ちていました。
 罰せられた、カイデロン近くの辺境へと追いやられたバフキンは、亡命の中で信頼と愛を憎悪と怒りに変え、禁じられた黒魔術や恒例術を学びました。

 バフキンは己の憎悪を満たすために、聖女の殺害を企て、シェイクの首都であるセノトの深くへと入り込みました。
 バフキンと再会した聖女は彼の到来を予見していたようですが、将来に関わる重大な予言をしたのちに死亡しました。
 彼はその後、《聖女の心臓/Heart of Saintess》を遺体から引き剥がし、セノトを去りました。
 この事件ののち5年間、シェイクはこの国の歴史の中で初めてとなる聖女の存在しない「光無い時代」を乗り切りました。

 バフキンは己が身体に聖女の心臓を植え付けることで、人間の身体を保ちながら永遠の生命を得ることに成功しましたが、それだけでは満足しませんでした。
 カイデロンへ赴き、魔王《ベリアル/Belial》に忠誠を誓った彼は、魔王の右腕として政治的な立場を確立しました。

 数世紀が過ぎてなお、バフキンはカイデロンのナンバー2であり続け、彼の死霊術と降霊術は「死神の後継者」と呼ばれるほどに強くなっていました。
 それとともに本来の彼自身の心臓は公使されることでどす黒く汚くなっていきましたが、彼の身体を維持している第二の心臓だけは人間らしい感情や思考の唯一の供給源となっていました。

 第三次大陸戦争の直後から、魔王ベリアルはゆっくりと、しかし着実に身体の崩壊に蝕まれてゆきます。
 《ラジア・ベル/Lagia Belle》。
 シェイクの大天使《アイリン・ベル》の妹は、魔王の心臓にエスファイアの皇帝トルステン一世の赤鉄剣《皇帝の剣プラウテ/Praute, Sword of Emperor》を突き刺したのです。
 魔王の心臓に残されたの赤鉄の切っ先にはイエバの力が含まれていたため、魔王は内部から崩壊させられることになりました。
 己が生で初めての体験となる深刻な脅威を感じた魔王ベリアルは、シェイクの《次期聖女/The Next Saintess》の身体に己を移すための計画を練り始めました。その儀式を遂行することができるのは、聖女の心臓を持つバフキンだけです。

これはカイデロンのナンバー2として長らく時を過ごしてきたバフキンにとって、カイデロンの絶対なる統治者となる絶好の機会でした。
 彼は密かに己の支持者と軍隊を集め、魔王ベリアルが次期聖女の身体に入り込もうとする隙に力を奪うことを計画しました。
 しかし魔王ベリアルはバフキンの裏切りを予想しており、《ヴァイオレット/Violette》にバフキンの心臓を突き刺すように指示していました。
 彼の第二の心臓である聖女の心臓は、バフキンが魔王に復讐しようとする直前に突然機能を停止します。
 そしてバフキンはヴィオレットに殺害されました。



《ヴァイオレット/Violette》
彼女には2人の父がいる。2人のうちどちらもが、彼女にとっては特別な存在だ。

 《ヴァイオレット/Violette》は魔王《ベリアル/Belial》の右腕であり、暗殺部隊「沈黙の鉤爪」の指揮官です。
 彼女はアルケンで産まれましたが、幼い頃にとある事件が起き、その後はベリアルによって育てられました。
 ヴァイオレットはベリアルが父であると感じており、そのため非常に忠実です。
 彼女は早くから武術を学んでおり、また黒魔術に関しては並外れた才能を発揮しています。
 ヴァイオレットが統率する暗殺部隊「沈黙の鉤爪」は如何に警備が厳しくとも侵入し暗殺を行うため、他国の首脳陣は首を高くして眠ることができません。

 前回の第三次大陸戦争の際、ヴァイオレットはまだ若過ぎたため、戦争に参加することができませんでした。
 そのため、今回の第四次大陸間戦争では、魔王ベリアルのために戦うことに躍起になっており、前戦争で負傷したベリアルの回復を熱望しています。《バフキン/Bahkin》とともに《次期聖女/The Next Saintess》を誘拐したのも彼女です。

 第四時大陸戦争終了直前、魔王の力を奪おうとするバフキンを彼女は殺害しました。


《終焉の宣告者、サルテス/Sarutes, the Condemner of End》
魔王に匹敵するアゼルの残滓のことは、誰もが注目していなかった。連合軍にとって、その登場は予想外であり……。

 《終焉の宣告者、サルテス/Sarutes, the Condemner of End》は魔王《ベリアル/Belial》と同様、神々の消失ののちに作られた沈黙の神アゼルの残滓です。
 この黒い化け物は牙と羽を持ち、ザルカン火山の最深部に生息しています。

 サルテスはカイデロンではベリアルに匹敵する力を持ちますが、サルテス自身はカイデロンに関心を持っていません。
 彼が関心を持っているのは五大神の影響が弱くなるとともに近づいていく大陸の終わりを観測することだけであり、これは彼がアゼルによって歴史から乖離した傍観者として作られたことに起因しています。

 第二次および第三次大陸戦争でカイデロンが滅亡の危機に瀕したときでえさえ、彼はアゼルに与えられた職務に忠実なままでした。
 これまで彼が行動を起こしたのは一度だけです。
 それは第三次大陸戦争の終了時、シェイクの天使《ラジア・ベル/Lagia Belle》が《皇帝の剣プラウテ/Praute, Sword of Emperor》で魔王ベリアルの心臓を突き刺したときです。
 ベリアルの死の訪れを感知したサルテスは深い睡眠から覚めると、ザルカン火山の上空にまで上昇し、下方に広がる戦場を見下ろしました。
 このとき、闇夜の中でサルテスの存在を感知できたのはたったひとりだけ、シェイクの大天使《アイリン・ベル/Irene Belle》だけでした。
 サルテスの脅威から連合軍を保護するためには、妹の救援に向かい魔王ベリアルの死を見届けることを放棄し、全軍を撤退させるほかありませんでした。
 サルテスが目を覚ましていなければ、魔王ベリアルはこのときに殺されていたでしょう。

 現在、魔王ベリアルの身体は砂の城のように少しずつ少しずつ滅びつつあるため、サルテスは傍観者の役割から離れることになりました。
 魔王ベリアルが死んだならば、カイデロンは征服され、サルテス自身も他国の脅威に曝されることが予想できたためです。そうなったならば、サルテスはもはや大陸の終わりを見届けるという役割を果たすことができなくなるでしょう。ベリアルの死を許してしまえば、傍観者の義務を果たすことはできなくなってしまうのです。

 そういうわけで、サルテスは魔王ベリアルへの助成を決断しました。
 サルテスの援助がどれだけ脅威かは知らないものはおりません。
 彼の戦争への参加により、シェイクの勝利はより遠のいたといえるでしょう。


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