『山が笑えば』企画書

10月 29, 2021

  先日 →講談社ゲームクリエイターズラボ の募集の存在を知って、ちゃかちゃか新しいゲームの企画書を作って出したのですが、そこに「作品略歴や開発状況がわかるSNSアカウントやホームページがある方は入力してください。」という項目があったので特に何も考えずにこのブログのURLを載せました。


 しかしよくよく考えるとこの部分、ちゃんと制作状況を掲載しているところを載せるべきなのでは……? と気づいたので(戒名:三日位於作成提出考無居士)だいぶん先走りですが次回作『山が笑えば / With smiling mountain』(仮)の制作録を書き始めます。




 タイトル:  山が笑えば / With smiling mountain(仮)  

 プラットフォーム: iOS / Android
 ジャンル: 南極内陸旅行ローグライトRPG
 イラスト・キャラクターデザイン: 未定 
 価格: 未定
 発売日: 2022年(予定) 

 制作: 旧世紀網膜博物館 
 

 


 今回の制作録では特に出すものがないため、とりあえず講談社のゲームクリエイターズラボに出した実際の企画書でも出しておきます。これ、ほかで出しちゃダメとかそういうことないよね? 進行中の企画でもいいみたいだし。もともと小説畑の人間で、小説だと普通は他媒体で出した作品は投稿ダメなので警戒してしまう。

 ちなみに黒塗り入っているところは投稿時は隠していたけど、ブログ公開時は非公開にした部分です。


 企画書は(だいたい)1項目1ページでまとめるようにして、短く全11ページにして出しました。

 1ページ目は自己紹介とか概要がメインなので飛ばしますが、本作が『南極内陸旅行ローグライトRPG』であることを示しています。


 2-3ページ目はこのジャンルの示す「南極内陸旅行」がいかなるものなのかを示します。今回、出せるものが何もない状態からスタートしたので、写真と地図と模式図しか載せるものがありません。




 内容としては図のとおりで、昭和基地からドームふじ基地を目指します。

 ちなみに豆知識ですが、昭和基地は大陸そばにある東オングル島という場所にある島(=南極大陸上には存在しない)です。

 一方ドームふじ基地は大陸上に存在しますが、こちらは長年使われていないので雪に埋もれています。


 さて、本作システムの特徴としては、

  • 地形のわからない内陸旅行
  • スマホ向け一次元ローグライト
  • 有限回数の試行

を掲げています。



 4-5ページ目では一つ目の「地形のわからない内陸旅行」のシステムについて説明しています。




 内容を簡単にまとめると、

  • 一般的なローグライクの自動生成ダンジョンの代わりに大陸上の状態がランダム生成されるよ
  • 最初は手探りでルートを決めて進むよ
  • その回の探索に失敗しても道程は記録されて次の探索で活用できるよ
  • 実際にその地点を通らなくても「観測活動」によって地形のデータを得られる

といったところ。


「観測活動」はスムーズな進行を遅らせて情報を得る特殊な行動なので、オートで行える行動(レーダーとか)がある一方、時間的なリソースを消費すること回数に潜在的な制限をかけたり(ゾンデとか)したい。

 逆に、持ち込んだリソースによって障害を乗り越えるパターンもあります。クレバスを木材の橋で乗り越えるとか。いやまじで。海上のクラックだとやってるのよまじで。怖いね南極観測。



 6ページ目では「スマホ向け一次元ローグライト」のシステムについて説明しています。



 一般的なローグライク……というか『風来のシレン』ライクのゲームは基本的に二次元見下ろしの視点をとっています。

 この視点は、しかし正確な操作がしづらく、あまりスマホ向きではありません。もちろんUIボタンを置けば良いのだけれど、それはそれであまり美しくないというかなんというか。


 そもそも二次元見下ろし視点のこの構図は、コントローラーがあるからこそ無理なく許されているシステムだと思ってスマホ向けに考え直したのが右の一次元ローグライトです。

 結局、二次元であったとしても二次元的な行動というのはあまりないのです。二次元的な局面はあるけど(囲まれるとか)、操作側で二次元的な要求は基本的になくて、だったら一次元の直線にしちゃえば良いじゃん、という横暴な主張です。


 とはいえこのやり方であれば、

  • 基本的に画面を押せば前に進む
  • ルート再設定ボタンを押すと地図を表示して道を変える
  • 天候がまずいときは休む

といった択になり、操作がかなり簡単になります(観測はどうするか、という問題があるけど)。

 これは前作『霜夜ゆく』の惑星降下後のルート踏破システムを複雑にしたもの、と呼べるかもしれません。



 7ページ目は「有限回数の試行」システムについて。



 これはベースになったのは『エリーのアトリエ』(の採取)だったりします。というかこのゲームの根幹の部分が『エリーのアトリエ』の影響を受けている気がする。アトリエ要素は一切関係ないけど。


 すごい簡単に言うと、「何度も進んでいるうちに地形がわかるようになるんだったら最初捨てゲーして地形わかったら進めばいいだけじゃん!」にならないようにするためのシステムなのですが、関連して物語や難易度調整にも一役買うだろう、というのを図でも説明しています。


 極域には一日中太陽が登っている白夜や、太陽が出てこない極夜がある、ということは比較的知られていると思います。日本の夏は日が長くて冬は短い、というのと同じです。ちなみに「太陽が出てこない」というと昼でも夜のような状況になるのを想像しそうですが、正午は地平線のすぐ下くらいに太陽があるので、日本で言うところの夕暮れくらいの明るさになります(散乱光があるので沈んでもすぐには真っ暗にはならない。日本でも真夜中と陽が落ちてすぐでは明るさが違う)。

 夜が長い冬は単純に暗いだけではなく、気温も低くなるために探索が難しくなります。たとえば海辺の昭和基地でも-30℃を下回るようになり、内陸に進むと-60℃を下回ることさえあります。日本の雪上車の走行可能温度が-60℃までなので、これ以下になるとそもそもの走行が保証されなくなって、探索どころではありません。


 この「もっとも辛い冬の時期」をゲームでは中盤に持ってくる(というか現実の南極観測でもそうなんだけど)ことで、緩急をつけることができるはず……だと思いたい。



 最後に8-11ページ目ですが、これはぶっちゃけ予算要求で、遠回しに「お金があればこういうことができるんだけどなーできるんだけどなーチラッチラッ」と言っています。金! 







 以上が企画書の内容です。

 で出したあとになってからTwitterとかちょろちょろ見て回ったんだけど(ゲームクリアしたあとに攻略サイト見るタイプ)、みんなちゃんと作ってるな。おい。画像とかちゃんと用意するな……やめろ実際のゲーム画面はおれに効く。


 今回の企画書は、

  • 講談社の社員(経済学部出身の陽キャっぽそう)もべつにゲームの企画見たくねぇだろうし、短くまとめたほうがいいだろう
  • 相手も仕事でやってるんだし、軽く見てもらえる内容にしたい(まとめる力がなかったけど、本音をいえばもうちょい紙面スカスカで半分の枚数くらいにしたかった)
  • 予算目的はちゃんと書いておこう

くらいのことを念頭に置いて書きました。


 さて、現状(2021年10月末)の予定というか目論見としては以下のとおり。



『霜夜ゆく』のUnity移植の進み具合がよくわからない。スクリプトはだいぶんできてきたのだけれど、アニメーションまわりにまったく手をつけていないので、どれだけ時間がかかるか悩ましい。

 もともとswiftだとアニメーション関係の機能がそこそこあって、とはいえそれを分解してメソッド作り直せば同じようにはできるはずなのだがどうなることやら。


 Unity移植にあたってはついでに追加要素も入れたいのでまた冬村さんにイラストを依頼中。設定資料集のイラストもお願いしているのでちょっと時間が稼げる。


 設定資料集はまったく手をつけてないのでどのくらいかかることやら。


 といったところで前作『霜夜ゆく / Cold Bed on Route』の移植+設定資料集作成がまったく終わってないのだけれど、次作を作るにあたってはとりあえずキャラクター作っておいて要素を固めておきたい。


 そもそも『霜夜ゆく』作成中に構想があった(おおよそのゲームシステムとシナリオが頭の中にある)作品は『霜夜ゆく』を含めて8つあって、以下のようになっている(英単語一つなのは開発コード)。




 自分はイラストが描けるわけでも音楽が作れるわけでもないし、プログラミングはできるけど未熟なので、作成にあたっては二つの要素を天秤にかけることになる。

 つまり、イラストとか完全に外注に頼るしかないところにかかる金銭的なコストと、プログラミングみたいな自分でどうにかできるけど難易度によっては消費する時間的なコストである。


『霜夜ゆく』はこの2つのコストが最小だったので、スタートアップのプロジェクトとしては最適だった(キャラ立ち絵は3人でバリエーションがあるのは1人のみ。音楽とかはフリー。UIが比較的簡単。2DのADVなのでプログラミングの複雑さがない)。

 次作としてもともと予定したのは『Voice(仮のコードネーム)』で、これは2Dのアクションなのだけれどアクション的な部分が比較的(作成が)容易、というものだった。ただ立ち絵ありのキャラが10人程度はいそうだし、アクション用のキャラも必要なのでそこそこ金銭的な要求が大きい。


 そういうわけで白羽の矢が立ったのがこの『山が笑えば』(もともとのコードネームはWhiteだった)なのです。

 こちらは2DのRPGでキャラは5人。立ち絵以外の絵も2人分あれば十分で比較的低コスト。


 よくよく考えるとこういう助成金に応募するプロジェクトで低コストの作品出す意味ねぇんじゃねぇのと思わないでもないけど、そもそもアクセプトされる前提で作り始められねぇわけで。特にイラストとか内製なら制作期間伸ばせば作れるだろうけど、外注だと完全に枚数=コストなのでどうにもならない。


 とにかく、『山が笑えば』は比較的低コストなプロジェクトで、キャラ数も(『霜夜ゆく』ほどではないけれど)少なく、キャラ絵が固まっているほうが動かしやすいし、イラスト上がってくるとモチベーションが上がるので(個人制作の数少ないモチベーション上がるタイミング)さっさと発注しておきたいわけなのです。


 というわけで特になんも情報が出ていない新作の制作録第一回でした。

 次回、1月頃に移植作業が終わっていて発注がひとつくらい終わってキャラを見せられたりできればいいなぁ。




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