かくもあらねば/24/01
Render Unto Caesar
王への供物
Kuto
Lv.17
S/P/E/C/I/A/L=3/6/3/10/4/7/9
Trait: Good Natured, Looser Cannon
Tag: Speech, Barter, Explosives
Skill:
[S]: M.Weapon=11
[P]: E.Weapon=17, Explosives=51, Lockpick=26
[E]: Survival=48, Unarmed=8
[C]: Barter=90, Speech=100
[I]: Medicine=30, Repair=30, Science=36
[A]: Guns=20, Sneak=54
Perk:
[E]: Travel Light
[C]: Ferocious Loyalty
[I]: Demolition Expert, Educated
[L]: Mysterious Stranger
[Others]: Black Widow, Cherchez La Femme, Intense Training
[Implants]: Luck Implant, Monocyte Breeder, Sub-Dermal Armor
Equipment: Maria, Cattle Prod, Thump-Thump, Plasma Grenade, Pulse Grenade, Great Khan Simple Armor
1
「良い脅しになっただろう」
とCaesarはBoomersに関するKutoの報告を聞き、頷いた。
本来の目的はBoomerに協力を取り付けることで、指導者の排除は最終手段だったはずだが、想像していたような叱責は受けなかった。むしろ、「よくもまぁ、あの恐ろしい砲撃の嵐を抜けてきたものだ」と喜んでいた。
「さて、戻ったところで早速で悪いのだが、次は、White Glove協会と協定を結んで欲しい」
「White Glove協会っていうと……、Stripにあるカジノですか」
「そうだ。Topsの向かいの………」
言いかけ、Caesarの言葉が止まる。
と、急に悶え始め、短い叫びをあげる。両手を頭へ。仰け反る。
それは一瞬のことであった。信頼されているのか、KutoがCaesarに報告するときには周りに誰もおらず、おかげで叫びを聞いたのも、Kutoだけだっただろう。
「あの、お加減でも悪いのですか……?」
頭を抑えたままのCaesarに、おずおずとKutoは尋ねた。
Challenge: Medicine≧40→Failed
「五月蝿い、この商売女が」
と、返ってきたのはCaesarという男らしからぬ、口汚い罵りの言葉であった。間違ったことは言っていないのだが、しかし面食らってしまう。
「わたしは休む。White Glove協会へ行け」
と言って、彼はふらふらとした足取りでベッドへと向かってしまった。
(あのベッド、Auto Docが付いてる……)
ちらと見かけるところでは、戦前の道具が少ないCaesar's Legionにしては、珍しいくらいの高級な設備であった。Caesarは何か病でも抱えていて、今のは何かの発作なのだろうか。
Kutoはそれとなく、土産持参でLuciusに話を訊いてみることにした。
LuciusというのはCaesar直属の親衛隊のひとりで、渋い髭と低い声を持つ、一言でいえばKutoにとってタイプの男である。彼には故障している迫撃砲の修理を頼まれていた。土産というのは、Boomersの迫撃砲のデータである。
「助かる。あれはNCRの狙撃手を排除するのに役立つだろう」
と彼は僅かに口の端を持ち上げて頷く。
普段なら、かっこいい、で済ませていただろうが、Caesarのあの様子を見た後だと、何も考えずに悶えてはいられない。Caesarは何か持病を患っているのか、と問いかけてみる。
が、返って来たのは、そんなものはない、の一言だった。
(知られないようにしているのか、でなければ、まだ症状が起きて間もないのか……)
胸中を不安と期待を高鳴らせながら、Kutoは一先ずCaesarの指令通り、StripのWhite Glove協会へと向かった。もちろん、正装をして。この店はまだ訪れたことがなく、追い出された経験もなかったので、協定の取り付けは順調に達成できた。
Fortに戻ってきたのは4日後だったが、そのときには何事もなかったかのように、Caesarは玉座にて満足げに座っていた。Kutoの報告に対しても、よくやってくれた、今回の協定はStripの掌握のためにも重要だ、などと闊達な喋りを崩さなかった。
が、それも僅かな間のことだった。
「さて、次はBrotherhood of Steelだ。BOSは、あー、BOSは……」
BOSは、BOSは。
急に目つきが変わった。前回と同じ、発作だ。しかし症状が違う。瞳の色が濁り、口がだらしなく開く。発せられているのは怒気ではなく、脱力感。口の端から涎さえ垂らすその姿は、まるで一瞬にして二十歳も老けてしまったかのよう。
「初めてではありませんね。その頭痛は、脳卒中では? その症状は、これで何度目ですか?」とKutoはCaesarの状態を知るために、かまをかけてみる。
Aid: Today's Physician (Medicine+10)Challenge: Medicine≧40→Success
「解らない……。二度……」
と覚束ない様子ながら、Caesarはなんとか口を利いたが、その後は、BOSを、BOSをと繰り返すだけになってしまったCaesarをAuto Docつきのベッドに連れて行きながら、Kutoの思考は駆け巡った。
まず頭を過ぎったのは、この状態のCaesarを殺すのはどんなに簡単かということである。銃を向けられは逃げられぬだろうし、もしかすると舌を引っ張れば息ができなくなって死ぬかもしれない。だがそれを実行した日には、Kutoの命もないだろう。
ふとKutoはかつてLegionに所属していた男から聞いた言葉を思い出した。
「賢しいことこそがCaesarの弱点なのだ」
あるいはCaesar's Legionの弱点も同じなのかもしれない。すなわち、Caesarという男が指揮を執るからこそ、Caesar's Legionという組織は恐ろしいのであり、その中心人物が崩れればすべて瓦解するのだ。
だがいま、その組織を台無しにしてしまうわけにはいかなかった。己の安全のために。
Caesarを殺せば、同時にCaesar's Legionという組織の命も絶たれることになる。だがさらに同時に、NCRという組織も殺さねばならない。
Kutoにとって、Caesar's Legionという組織は味方ではない。当たり前だ。女を奴隷として扱うような集団なのだ。だがいまはその集団に従じなくてはならぬ。
敵対してはいるが、NCRのRangerであるあの牧師とも、考えとしては同じようなものかもしれない。違うのは立場で、KutoとしてはこのままLegionを壊滅させれば良いわけではない。Legionを壊滅させ、なおかつNCRも共倒れになるのが理想だ。西海岸最大の軍に追われたくはない。
そのためには、Caesarに生き延びてもらわなくてはならない。いま彼が死んだら、NCRが勝ってしまう。Legionが勝つのは駄目だが、NCRが勝つのも駄目だ。ふたつの巨大組織が共倒れになり、そうして己は生き延びる。それがKutoの歩くべき道なのである。
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