かくもあらねば/32/14
Picking Your Brains
Cecilia
Lv. 19
S/P/E/C/I/A/L=5/10/4/5/8/6/3
Trait: Logan's Loophole, Wild Wasteland
Tag: E. Weapons, Science, Survival
Skill:
[S] M.Weapon=40
[P] E.Weapon=80, Explosives=30, Lockpick=50
[E] Survival=50, Unarmed=12
[C] Barter=20, Speech=50
[I] Medicine=40, Repair=40, Science=75
[A] Guns=16, Sneak=30
Perk:
[S] Weapon Handling
[P] Plasma Spaz, Run'n Gun, Light Step
[E] Travel Light
[I] Comprehension, Swift Learner, Robotics Expert
[Other] Brainless, Heartless, Spineless, Intense Training
Equipment: Sonic Emitter, X-2 Antenna, Elijah's Jury-Rideged Tesla Cannon, Stealth Suit Mk2
Ceciliaは手を握り、広げた。
「わたしの身体………」
Big Mtに来てから、色々な場所へ行った。色々な敵と戦った。そのたびに、傷ついた。
「その傷跡は………」
もはや、ない。残っているのは、Kutoの知り合いだというElijahの野営地でTarretから受けたレーザーによる熱傷だけだ。
ずっと、勘違いしていた。
脳を取られたのだと思った。脊髄を奪われたのだと思った。心臓を盗まれたのだと信じていた。
だが、違った。
最初から、なかったのだ。むしろこの身体も、借り物だった。Cecilia自身のものではなかった。
CeciliaとKutoは、Elijah's Watchからの帰り道、Securitron De-Construction PlantでMuggy用の人格モジュールを発見、インストールした。
Discovred: Securitron de-construction plant
Added: Sink Project: Muggy
Added: "Muggy" Upgrade: Parts Production
Installed: Muggy
『見た! 見た! おれは見たぞ』人格モジュールをインストールされた小型のSecuritron、Muggyは忙しなく言う。『おれは見た。ほんとだからな』
「なにを見たの?」
『おれが見たのは、妖精だ!』
「妖精?」
『Dr. Dalaが持っていた瓶の中には、妖精が入ってた! あんたとそっくりな、ちっちゃい、羽の生えた妖精だ!』
Ceciliaは思い出した。
Vaultで産まれ、育ったこと。親がいて、きょうだいがいて、友がいたこと。VaultがEnclaveという組織によって破られ、住民たちは実験材料にされてしまったこと。Ceciliaも実験に使われ、偵察兵器にされたこと。
「わたしの脳なんて、もう何処にもなかった」
Enclaveに、原型を留めぬほどに改造された。脳も、心臓も、脊髄も、妖精のような小さな身体には収まりきらなかった。だから、一部の機能だけ抽出されて、小さな躯体に無理矢理押し込まれた。
生物兵器にされたCeciliaは、その能力を遺憾なく発揮して、Enclaveの元から離れた。偵察兵器として、誰の目にも留まらない存在になってしまったCeciliaだったが、あるとき、ひとりの少年と出会った。いや、当時はまだ赤子だったか。
彼の目にも、Ceciliaの姿は映らなかった。当たり前だ。彼はふつうの人間だったのだから。だが、Raiderに頭を撃たれてから、彼は変わった。Ceciliaの姿が見えるようになり、意思疎通が図れるようになった。
それから、Ceciliaは彼と共に生きた。たったひとり、心を通じ合わせる相手だった。
だがその彼の眼にさえも、Ceciliaの姿はだんだんと映らなくなっていった。最後には、触れてもその温かさを感じることすらできなくなっていた。
だから、Ceciliaは彼の元を離れた。彼は見えなくなっても優しかったが、それではふたりとも駄目になると思った。Ceciliaはたったひとりで、元の姿に戻るための旅を始めた。だがその途中で、行き倒れたのだ。きっとそのあとで、Big MTの科学者たちに拾われたのだろう。
ああ。
「あの子の名前は、なんていったっけ?」
たったひとつ、たったひとつだけ戻らなかった記憶が、それだ。赤子の姿から、ずっと傍で見守ってきた男の名前が、Ceciliaには思い出せなかった。いや、自分の名前も同じく思い出せないのだから、ふたつか。
「Sissy!」
KutoがCeciliaを引き摺りながら、偽りの名前を叫ぶ。Sissy、どうしたの、しっかりして、前を見て、と。
それもそのはずで、目の前には巨大なRoboscorpionの姿があった。X-42 Giant Robo-scorpion 。Forbidden Zoneを訪れたCeciliaたちを迎撃すべくDr. Mobiusが起動させた、超巨大兵器ということらしい。
Discovred: Forbidden Zone
『警告。戦闘実験が施行されます。ゴーグルを装着の上、Rad-Xを服用してください』
そんな警告アナウンスが響き渡る。
CeciliaはKutoに引き摺られるようにして、手近な小部屋の中に逃げ込む。Giant Robo-scorpionはレーザーを乱射しているが、一先ずはそれを避けることができた。とはいえ、この部屋の壁がいつまでもつか怪しい。何より、放射線密度がだんだんと上昇している。このまま隠れてはいられない。
「大丈夫?」とKutoがCeciliaの顔を覗き込む。
「もう……、大丈夫」
とCeciliaは頷いた。思い出した記憶を説明する暇はなさそうだ。
「あんなのがいるなんて、聞いてないんだけど………」とKutoはRad-Xを服用しながら言う。「あんなもん、どうしようもないじゃない」
Ceciliaは手近なターミナルに近づいた。Target Droneに関する項目があった。それを起動させる。
『Target Droneだと? 小癪な真似を………』
とMobiusの悔しそうな声が響き渡ると同時に、Robo-scorpionの矛先が出現したDroneへと向いた。
「何をやったの?」とKuto。
「Target Droneを起動した。たぶん、これで時間が稼げるはず……。あと、このターミナルから見る限りだと、奥のほうの部屋にBackup Generaterの起動端末があるから、それが使えるかも」
「よくそういうの、解るね。わたし、コンピュータとか駄目だな」
「伊達に40年生きてないから」
「40年?」
Kutoは首を捻ったが、細かい説明をしている暇はなかった。Sonic Emitterで障壁を掻き消しながら、奥の部屋へと進む。
(『Backup Generaterの起動』……、『Backup電源に切り替えると、現状のマシンにダメージが生じる可能性があります』……。これだ!)
Cecililaは奥の部屋の端末から、Backup Generaterを起動する。小さな爆発が起き、Robo-scorpionの動きが止まった。
KutoがMissle Launcherを構える。
Ceciliaは Elijah's Jury-Rideged Tesla Cannonを構えた。
Perk: Weapon Handling(武器のSTRペナルティ軽減)
Perk: Plasma Spaz (E.WeaponのAP消費低下)
Perk: Run'n Gun (移動時の射撃精度ペナルティ減少)
Perk: Robotics Expert (機械へのダメージ増加)
並んで発射されたミサイルと収束ビームが、巨大なRobo-scorpion粉々に打ち砕いた。
「よっしゃ!」
KutoはCeciliaに手を向ける。Ceciliaはその掌と、己の掌を打ち合わせた。
良かったね。
良かったね、Kuto。
わたしの脳なんて最初からなかったけど、あなたのものは取り返せるよ。
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