来てください/02/06 いにしえの妖精たちが踊った森
第2階層
原始ノ大密林
B6F いにしえの妖精たちが踊った森
キャプテン
Level=17
Class=パラディン
HP/TP=115/45
Skill
:ブースト=DEFブースト(5)
:マスタリー=盾マスタリー(3)
:防御=パリング(1), フロントガード(3), バックガード(3)
:補助=猛進逃走(1), 防御陣形(1)
:探索=発掘(1)
Equipment=ボアスピアソード. ブレストプレート, アスピス, レザーリング
生物学者
Level=16
Class=ダークハンター
HP/TP=107/38
Skill
:ブースト=Hpブースト(1), ATCブースト(5)
:マスタリー=鞭マスタリー(5)
:攻撃=アナコンダ(2), ヘッドボンデージ(2), アームボンデージ(2)
:探索=採取(1)
:常時発動=決死の覚悟(1)
Equipment=レザーウィップ, ブリオー, レザーシールド, レザーリング
技師
Level=16
Class=レンジャー
HP/TP=97/37
Skill
:ブースト=AGIブースト(1)
:マスタリー=弓マスタリー(10)
:攻撃=ダブルショット(3), エイミングフット(1), サジタリウスの矢(1)
:補助=トリックステップ(1)
:探索=伐採(1)
Equipment: ショートボウ, バフコート, レザーグローブ, フラワーネックレス
サイバネティシスト
Level=17
Class=バード
HP/TP=87/68
Skill
:ブースト=TPブースト(5)
:マスタリー=歌マスタリー(7)
:補助=猛き戦いの舞曲(3), 聖なる守護の舞曲(1), 沈静なる奇想曲(1), 火劇の序曲(1), 安らぎの子守唄(1)
Equipment=ショートボウ, バフコート, レザーブーツ, オカリナ
ドクター
Level=17
Class=メディック
HP/TP=87/62
Skill:
:ブースト=TPブースト(3)
:マスタリー:=回復マスタリー(5)
:常時発動=戦後手当(1), 博識(1)
:回復=キュア(3), キュアⅡ(1), キュアⅢ(1), エリアキュア(3)
:補助=医術防御(1)
Equipment: スタッフ, バフコート, リーフサンダル, 朱実の守り
「スノードリフトを倒したな」
巨大な虎を倒した倒したノルン・セカンドの乗員たちに背後から声がかけられた。
戦闘の直後で気が昂っていたために、キャプテンがほとんど跳び退るようにして背後を振り向くと、そこに立っていたのは見覚えがある女性だった。地下3階層で出会った、レンとかいう、ブシドーの女性だ。
「見ていたんですか?」
とキャプテンが問うと、レンは頷いた。「スノードリフトは凶暴だからな。きみたちが腕の立つ冒険者だということは知っていたが、あれを倒せるかどうかというのは判らなかった。だが、よくやったな。狼どもは消え、一階層は平和を取り戻した。スノードリフトを倒したきみたちは、エトリアの街でも上位の冒険者だということになるだろうね」
どうやらキャプテンたちがスノードリフトに負けたときのことを考えて、見守っていてくれたらしい。しかし冒険者として生きたいというわけではなく、単にこの迷宮から発信されている妨害電波を止めたいだけのキャプテンたちにとっては、レンの気遣いは無用なものだと感じた。
キャプテンたちは、レンとカースメイカーのツクスルとともに、樹海磁軸と呼ばれる装置で地上まで戻った。装置とはいっても、一見すると、光が溢れ出てくる床だ。
「これは……、どういう仕組みなの?」
とドクターが問う。
「分からない。かつて執政院の長が発見したものなんだが……」とレン。「誰が何のために作成したのかは判らないが、この光に触れると別の場所へと転送されるようになっている。この迷宮は、不思議なことだらけだ」
「地下一階に降りるときに使ってる乗り物にも似てますね」とサイバネティシスト。
「あれは箱の中に入る必要があるが……、そうだな。たぶん魔法の一種なんだろう。ああ、そうだ」とレンは思いついたように手を打つ。「そういえば、さっきのスノードリフトとの戦いを見ていたが、きみたちの魔法は変わっているな。見たことがない。武器が変形したり、光が出ていたりしていたぞ。あれはどういう魔法なんだ?」
キャプテンは生物学者と顔を見合わせた。自分たちの本当の出自については言わないほうが良いのだろうが、どう説明すれば良いのか判らない。
「科学技術」
ぽつりと答えたのは技師だった。
「科学……、技術?」
と、彼女の言語形態にない言葉だったのだろう、レンは首を捻る。
「えっとね」と生物学者がフォローに入る。「わたしたちは北のほうから来たんだけど、そこではわたしたちみたいなのがふつうなの」
「ふむ、そうなのか」と苦し紛れの説明に、レンは納得したように頷く。「科学技術、科学技術か……、面白いな。世界は広いものだ」
そんなふうに感心してみせるレンと一言も発さなかったツクスルとは、エトリアの街に入ってから別れた。
完了→ミッション: スノードリフトの恐怖
取得→2000エン
執政院ラーダのギルドの窓口役、眼鏡をかけたオレルスという男は、いつもは仏頂面で対応する男であったが、スノードリフト討伐の旨を聞くと、珍しく頬を緩ませた。
「新米冒険者だと思っていたが………、変わるものだな。エトリアの街で、新たなものが成長していくことほど望ましいことはない。これからも樹海の探索にはげみ、その腕に磨きをかけてくれ」
『提案します。世界樹の迷宮に存在した樹海磁軸という装置が気になるので、それに関する資料がないか聞いていただけませんか?』
急に耳に入ってきたのは、 ノルン・セカンドのAI、ヴェルダンディの少年のような高い声だった。長時間迷宮に潜っていたので、声を聞くのは久し振りだ。
ヴェルダンディの頼みを実行したのは、ドクターだった。迷宮に関する資料を閲覧することはできないか、と尋ねる。
「すべてではないが、閲覧が許可されているものもある」見るか、とオレルスは答える。
「お願いします」
「わたしも磁軸のことは気になるから……、朝永さんと一緒に行く」と技師。
「了解しました。じゃあ、終わったら宿に集合ということでお願いします」
とキャプテンは告げて、生物学者とサイバネティシストとともに執政院ラーダを出た。
「じゃあ、わたしは宿に戻るけど……、ふたりはどうするの?」
と生物学者が訊いた。
「もう戻るんですか?」
「スノードリフトとかの生態が気になるから……、死体は持って帰れないけど、DNAの解析はできるしね。宿で研究してるよ」
「ぼくは特に何もないですね」
「あ、じゃあ」とキャプテンはすかさずサイバネティシストに提案する。「サクヤさんのところで何か依頼が入っていないか確認しに行きませんか?」
「そうだね。先立つものは必要だし……。行ってみようか」
「じゃあ、あとはふたり若いもんで仲良くね。よろしく」
と老人のような言葉を吐いて、生物学者は足早に宿へと戻っていってしまった。よほど迷宮の生物のことが気になるらしい。
受領→クエスト: 樹海にうごめく闇(地下5階での討伐)
受領→クエスト: 5つの星への祈り (星型の種子x5 の取得)
受領→クエスト: 老いたる大富豪の花への願い (花の種を植える)
世界樹の迷宮を探索するギルドが減り、依頼する人間がいなくなった、ということは以前にも聞いたような気がするが、サクヤからは幾つも依頼を渡された。
「どれも迷宮絡みなんですか?」
「そうね。いまじゃあ、宝はない、なんて言われてるけど、財宝を抜きにしても迷宮は魔物と植物の宝庫だから、色んな依頼が来るの。特にこの大富豪の依頼なんて面白いわよ。花を咲かせて欲しいんですって」
「花?」
「咲かない花の種なんですって。でもあの迷宮は土壌が特殊だから、咲かない花でも花実をつけるかもね。確か、地下6階に良い土の場所があるって聞いたことがあるよ。早朝あたりに植えに行くと良いんじゃないかな。地下6階まで行けたなら、楽勝な依頼だよね」
「花か……。ここは平和だね」
と金鹿の酒場を出たところでサイバネティシストが呟くように言った。
「良いことですね」
「この星の文明は、ぼくらの文明でいえば中世くらいのものだけど、中世っていうと戦争ばっかりしていたイメージがあるね。でもここは戦争とは縁遠いみたいだ。戦争がないのかな。隣国が離れているとか、領土や宗教の問題が薄いから戦争に発展しないとか、いろいろと理由がありそうだけど……、そこまで調べている余裕はないかな」
「この星に来てから、殆ど宿屋と迷宮を往復するだけですからね。詳しくなったのは、だから迷宮の歩き方とご飯には詳しくなったけど、ほかのことはからきし駄目ですね」
キャプテンは言って、微笑んでみせる。サイバネティシストも笑った。
サイバネティシストとふたりだけの、金鹿の酒場までの短い道程を、キャプテンは楽しんで歩いた。
「いまのところ、ぼくたちにとってはこの星は解らないことだらけだからね……。そもそも、エトリアの人間やほかの生き物が、どうして地球の生き物と殆ど同じ形なのか、なんていうのも解らない。エレナさんは、地球の生物を真似ているみたい、なんて言ってたけど………」とサイバネティシストは生物学者の名を挙げる。
「SETIの衛星が回収した電波や、迷宮から発信されている妨害電波にも関係があるんでしょうか?」
「それこそ、かなりSF的になるね」と言って彼は少し笑ったように見えた。「まるで、ぼくらはこの星に誘き寄せられたみたいだ」
しかし誘き寄せられたというのは妥当な表現かもしれない、とキャプテンは思った。おかげでノルン・セカンドの乗員たちは、このエトリアという惑星に閉じ込められてしまったのだ。
宿屋へ戻る帰り道、キャプテンとサイバネティシストは執政院ラーダで調べ物をしていたドクターと技師に遭遇した。
「よくわかんなかった」
というのが、首尾はどうだったか、と尋ねられたときの技師の反応であった。
「というか、あれだね、予想していたことだけど、やっぱり魔法ってあるんだね、この星は」とドクター。「あのワープ装置は、完全に魔法扱いだったよ。特に科学技術的な見地から解析したりはしていないみたいだ」
「レンさんの反応を見ても、そんな感じでしたね」とキャプテンは頷いてみせた。
「ワープ魔法っていうのは存在しているんですか?」
とサイバネティシストが訊く。魔法の存在そのものについては謎だが、彼の質問は鋭い。そうした魔法が存在しないならば、あの世界磁軸はそれほど珍しがられないはずだが、存在しているなら存在していないで、魔法であると執政院が判断してしまっているのは盲目的だ。
「失われた古代魔法みたいな扱いらしいよ」とドクター。「よくある感じだね」
「成る程、確かによくある感じですね」
宿の生物学者のDNA解析も、たいして目新しい結果はなかった。DNAは解析可能ではあるものの、地球生命とはまったく異なる、しかしその結果として発現する形質のみはまったくよく似た生命を生み出している。
何も理解できないまま、キャプテンたちノルン・セカンドの面々は迷宮に挑み続けるしかなかった。
翌日になって、クエストを達成するためにサクヤに言われたとおりの場所に花の種を植えにいったキャプテンたちは、軍隊バチが2体、蜂がさらに2体、蜂2体にスリーパーウーズ、そして最後には蜂が2体に大ナマケモノと、野生動物たちに襲われた。おかげで、この星には理解できないことがたくさんあるが、サクヤの「簡単」だとか「楽勝」だとかいう言葉は、簡単には信じてはいけないのだということが身に染みて理解できた。
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