1257年04月25日
43日目
未亡人、美少年をこよなく愛する元騎士によって活路を開くこと

Name: Bill
Level: 10
HP: 52
Attributes: STR15/AGI10/INT9/CHA9
Skills:
【STR】鋼の肉体1/強打3/弓術5
【AGI】武器熟練2/馬術3/馬上弓術3/略奪3
【INT】訓練1/戦略3/経路探索1/観測術1/荷物管理1
【CHA】捕虜管理1/統率力3/取引1
Proficiencis: 弓140/片手武器99/長柄武器78
Equipment: ベージャー兵の兜/ラメラーベスト/革のブーツ/革の手袋
Arms: ひび割れたエレガント・ポールアックス/黒檀の剛弓/黒檀の征矢
Horse: 駿馬

酒場に入った途端に一斉に視線が注がれるのを感じた。

サラン朝の大都市、アーメラッド。傭兵隊、白の一角獣は現在繁華街にある宿酒場に居を構えていた。
視線を注がれてまず思うのは、柄が悪い。人相が悪い。下品で、粗野で、囁きあう言葉は、隊長がまた女を連れてきただとか今度のは貴族の令嬢かだとか、いやあれは未亡人だなだとか、とにかくまさしくマテルドが考えていた傭兵そのものだった。

ビル隊長」と声をかけてきたのは髭を生やした背の低い中年男。粗野な顔つきは、傭兵というよりむしろ盗賊だ。「この女は、今日の戦利品ですかい?」
傭兵隊の隊長、ビルという名の男は、ボルチャ、と盗賊然とした男に命令した。「マンスールを2階へ連れてきてくれ」

マテルドはそのまま2階の一室へと連れて行かれた。下の酒場と比べると、段違いの綺麗な部屋だった。
ビルはマテルドをベッドの上に降ろすと、そのまま去ってしまった。
後からやってきたのは豊かな髭を生やした焦げ茶色の髪をした男だった。精悍な顔立ちで、体格も良い。物腰は優雅で、傭兵というよりは騎士のように見える。
「なるほど、なかなかの観察眼ですね」と男はにっこり笑った。「自分はマンスールと申します。サラン朝でマムルーク隊におりました」

マムルーク隊というと、単なる騎兵隊ではない。サラン朝の軍隊の中で選び抜かれたものだけが入ることが許される、エリート中のエリートだ。そんな騎士が、なぜ傭兵隊に。

「それは良い質問ですな、お嬢さん」実は自分は、以前に愛ゆえの決闘を行いまして、と芝居がかった口調でマンスールは語った。「自分には恋人がいたのですが、ええ、ある男が横恋慕をしてきたのです。自分は騎士の手続きに則り決闘を行い、見事その恋敵を討ち果たしました。ですが、ええ、自分は相手のことを見誤っておりました。ええ、まさか相手が権力者を頼るような卑怯な男だとは思っていなかったのです。自分は卑劣な策謀ゆえに獄中に落とされ恋人は悲観をして自殺をしてしまいました。自分は劇中で恋人の死の報せを聞いて激怒し、決死の思いで獄中を脱出すると、あの憎き恋敵を一刀のもとに切り伏せたのです。ええ、自分はやり遂げました。ですが脱獄をした上に権力者を味方につけた男を殺した自分は、もはや国にはいられなくなりました。そうして国々をさ迷い歩いていたところを、隊長に拾ってもらったというわけです」

なるほど、なかなか波乱万丈な人生を送っているというわけだ。話をすべて信じるならば、マテルド以上である。元が騎士で末が傭兵とは、墜ちたものである。

「いえいえ、傭兵も言うほど悪くないものです。特に率いる人間が優れている傭兵隊は、ね」マンスールは言いながら、マテルドの衣服に手をかけていく。「ウィリアム隊長の人柄は自分が保証します。彼は良い隊長です。誰でも、来るもの拒まずですしね」
「あなたは何をしようとしているんだ」
「服を脱がせようとしているだけです。脱がせないと治療ができないでしょう。治療をしてくれと、隊長に頼まれたんですから」何を言っているのか、とでも言いたげに首を傾げるマンスールだったが、やがて合点がいったというように手を打った。「ああ、なるほど、恥ずかしがってらっしゃるのですね。気にしないでください。自分は女性には興味はありませんゆえ」

女性に興味がない。
そして男だらけの傭兵隊に所属している。
この符号が意味するものは。マテルドの頭の中で閃光が走った。

「いえ、勘違いしないでいただきたい」服を脱がせてマテルドの治療をしながら、慌てたようにマンスールが言う。「あなたは自分と隊の人間が関係を持っていると思っているのでしょう。ですが、違います」ええ、違うのです。そんな失礼な勘違いはしないでいただきたい。マンスールはそう言うと、厳しく口を開いた。「自分が愛するのは、見目麗しい美少年だけです」

「おまえの性癖はどうでも良い」
その言葉は部屋に入ってきた傭兵隊隊長、ビルのものだった。傷の手当をするために上半身を脱がされていたため、マテルドはシーツで胸元を隠した。
「は、隊長」とマンスールは姿勢を正す。「どうでも良くはありません。隊長だって、困るでしょう。このお嬢さんに誤解されたままでは」
「どうせ売り飛ばすんだから、関係ないな」

売り飛ばすだと?」マテルドは言葉を返した。
「当たり前だ。え、おまえ、何考えてるんだ? おれたちは傭兵だ」ビルはゆっくりとマテルドに近づく。「おまえは言ったな。アーメラッドに親戚がいる、そこまで護衛しろ、報酬は親戚に払ってもらう、と。だが実際は、どうだ。え、おまえなんて知らない、なんて返答だったじゃねぇか。おまえがおれたちに支払う金を購うには、身体を売るしかないな」
ビルはマテルドの身体をベッドに倒した。
「他に、おまえは何を払うんだ?
「あなたたちは、これからどうする予定だったんだ?」マテルドはベッドの上に押し倒された体勢のままで尋ねた。
ロドック王国に向かう。あっちで戦争の人手が入り用らしいんでね。なんだ、売り飛ばされるんだったら、サランよりロドックのほうが良いか?」
「わたしも傭兵になる」
マテルドはマンスールの、目の前の隊長は来るもの拒まずであるということを思い出し、言った。
「今回の依頼料は、稼いだ金で払う。そして払い終わったら、またわたしの軍に加わってもらう。わたしはすべてを取り戻したい。それが次の依頼だ。それでどうだ、傭兵。どうだ、白の一角獣


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