1257年09月08日
176日目
白の一角獣、体良く利用され、敵国から城を奪取したものの反乱軍として扱われること

Name: Bill
Sex: Male
Level: 22
HP: 61Attributes: STR18/AGI12/INT12/CHA13
Skills:
【STR】鋼の肉体4/強打6/弓術6
【AGI】武器熟練4/馬術4/馬上弓術4/略奪4
【INT】訓練1/戦略4/経路探索1/観測術1/荷物管理1
【CHA】捕虜管理2/統率力4/取引1
Proficiencis: 弓242/長柄武器232/片手武器107
Equipment: 壮麗なバシネット/ベージャー・ラメラー・アーマー/錆びた鉄の脛当て/革の手袋
Arms: ベージャーハルバード/黒檀の剛弓/大袋入りの黒檀の征矢/強化された重カイトシールド
Horse: 逞しく優秀な駿馬
Companion: マンスール/ボルチャ/バエシュトゥール/マテルド

 戦いの火蓋が切って落とされたのは明け方であった。

正確にいえば、その瞬間は戦いと呼べるほどのものは始まってはいなかった。始まっていたのは、いうなれば虐殺である。
ノルド王国の城、ルンド城は以前からベージャー王国との国境にあった。不安定な土地柄ながらも、傾斜の大きな地形とそれを利用した城壁によって、長年ノルド王国をベージャー王国の侵略から守り続けてきた屈強な城砦である。

傭兵隊、否、今ではベージャー王国の騎士団となった白の一角獣は、その城に潜入した。
国境を警備する堅城である。ゆえに強固だ。だがこちらは血統書つきの騎士ではない。所詮は傭兵。そして傭兵はありとあらゆる卑怯な戦い方に手馴れている。戦うのは騎士に劣っても、奪うことにかけては誰にも負けない。

明け方、まだ兵たちも寝静まったルンド城で、城の一角獣は行動を開始した。武器を奪い、食料に火をつけ、寝ている兵の首を掻き切った。簡単なものだった。
あるいは城を守る将でもいれば、兵たちの間にも多少の緊張はあったかもしれない。そうすれば、白の一角獣の潜入破壊活動にも気付いたかもしれない。だが、彼らを統率する兵はいなかった。気付いたところで混乱から抜け出す術はなかった。

攻城戦
ベージャー王国 対 ノルド王国
自軍 103名
ビル(ベージャー王国)
敵軍 198名
ノルド戦士(ノルド王国)
結果 勝利

2倍近い兵力差からの勝利である。しかもこちらの死傷者はこれだけの規模の戦いで20人程度。十分な勝利だった。
「これで文句はないだろう」
傭兵隊隊長、ウィリアムがそう言ったのは、つまりは彼が城を得るための権利は十分だということだった。城を略奪した場合、その権利が生じるのはその国の王か、でなければ城を落とした将で、つまりはウィリアムだ。
死傷者の埋葬を終え、ヤレグロク王へと城を受け賜る旨の手紙を書いた後、ウィリアムら白の一角獣は早速宴会を始めた。
酌をするのも面白くなかったので、マテルドはそっと宴会場を抜け出した。

城壁を登り、外の風景を眺めた。ひとりは気楽だ。だが寂しくもある。

「誰か、いるのか?」
マテルドがひとり城壁に腰掛けて月見酒をしていると、そう声をかける者があった。聞き覚えのあるその声は、傭兵隊隊長のものだ。
マテルドが返事をしないでいると、ウィリアムは階段を昇って城壁まで上がってきた。なんだ、おまえか、と彼は言った。
「こんなところで、何をしている?」
「中は五月蝿いから、外に出てただけだ」
なるほど、と頷くウィリアムに、マテルドは問い返してやった。あなたこそ、なぜこんなところに、と。
べつに、というのがウィリアムの回答だった。「それよりも、今回は助かった」

彼が珍しく、そんなふうに礼を言ったのは、このルンド城の奪還作戦の要となったのがマテルドだったからだ。マテルドはルンド城の見取り図を描き、何処に何があるかを克明に伝えておいた。そのために弱いところを突き、白の一角獣は簡単に城を奪うことができたのだ。
「それで、なぜおまえはここまで城の構造をよく知っていた?
ウィリアムがそう問うのも当然のことだった。一度や二度、城を訪れたくらいでは、城の構造を完全に把握し、人に伝えるなどということはできはしない。
そう、マテルドはかつてこの城に住んでいた。ノルド王国の貴族の妻だった頃の話で、つまりは過ぎ去ってしまった過去のことである。今では手の届かぬ昔のことである。

が、そのことを言う気にはならなかった。べつに、なんだって良いだろう。そんなふうに返した。
すべてが今更だった。夫は死んだ。この城とて、この城とて他の貴族に奪われた。女の身ひとつでできることは何もなかった。白の一角獣が城を奪った今このときも、この城はマテルドのものではない。既に失われたのだ。ならば、語っても無為だ。

そうか、と頷き、あっさりウィリアムは引き下がり、そのままとっとと階段を下りて行ってしまった。いったい何をしに来たというのか。
不意に先日、ガンディグ岬での出来事を思い出し、まさか立ち小便をする気だったのではあるまいな、とマテルドは溜め息を吐いた。

ヤレグロク王からの書簡が届いたのは、ルンド城を落として手紙を書いた後、四日後のことだった。
ヤレグロク王は、ウィリアムが、白の一角獣が、元は下賎な傭兵であり、寒村を与えて上手く戦で使ってやろうとしただけの兵隊が城を持つことは良しとしなかった。
ウィリアムが城を有することは認めない。代わりに900デナルを下賜する。それがヤレグロク王からの返答だった。
「なんだ」
なんだ、これはなんなんだこれは
「ふざけるな」
ああ、ふざけるな。

ウィリアムは怒りに任せて、再度手紙を書いた。

王に家臣の誓いを立てたにも関わらず、それを裏切りルンド城を奪ったとして、白の一角獣に反逆の罪が着せられたのは、その直後のことだった。


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