Eye for Eye
汝、左の頬を打たれたら、倍にして返せ


 妖精の目、Ranger Fairy EyeことSi1st Reconの狙撃手であるBooneの相性は思いのほか良かった。
まずSumikaが周囲を探索する。敵を発見し、その敵が眠っていればそのまま接近し、SiがCosmic Knife Cleanにて仕留める。起きて見回りをしている兵士ならば、やはり背後から接近する。気付かれなければそのまま首を掻き切って殺せば良し、もし気付かれた場合にしろ、SiはCaesar's Legionの装束を身に着けているため、そうそうは警戒されない。相手がひとりならば、そのまま殺せる。
敵が複数の場合、もしくはSiが誰かを殺すところを見られた場合にBooneが活躍する。殺害現場を見られたときは、遠距離からBooneが目撃者を消す。彼の射撃精度は高く、それゆえ音はそれほど問題にならなかった。

 外にいた見張りとテントで眠っていた兵士をすべて殺し、SiとBooneはCottonwood Coveの中央にある作戦会議室らしき建物に侵入した。
戸を開けた中には4人のLegion兵士がいた。
ちょうど外の異変を嗅ぎつけて出ようとしていたのか、戸のすぐ傍らに立っていた男は、武将が身につけるような古風な被り物をしていた
おそらくは、まさしく将であったのだろう。男はSiが自分の配下の者ではないと気付いたのだろう。自らのBlode Machetに手をかけて叫ぶ。
「ぬぅん、きさま、NCRの手合いだな! このCottonwood Coveまでやってくるとは良い度胸だ! わが名は不死鳥Aurelius! 正々堂々勝負だッ!」
みなまで言う前にSiが身体を滑らせるように背後に回りこみ、Cosmic Knife Cleanの刃を叩き込んだ。接近戦での格闘術はCaesar's Legionだけのものではない。NCRも日々研究を重ねている。

他に部屋の中にいた男たちも、BooneとRexとで葬っていた。
こうしてCottonwood CoveのLegion兵士は全滅した。しかしKutoの姿は見つからなかった。

「となれば、The Fortだ」
とBooneが言った。幸い、The Fortへの足となる船は湾に繋がれていた。これに乗っていけば、Caesar's Legionの本拠に辿り着ける。そしてCaesarの喉下に喰らいつける。復讐できるのだ、Legionに。今まで散々苦渋を舐めさせられた分、熨斗をつけて返してやるのだ。彼はそう主張した。

 以前のSiであれば、一も二もなく彼に賛同してボートに乗り込んでいただろう。Caesarの尻の穴に銃口突っ込んでやると息巻いて、Legionの本拠に突入していただろう。
だが。
「Silas………」
心細そうに呟くSumikaがいた。彼女の姿は、もはやSiには見えない。見えないということは、意思疎通を不便にさせているだけでなく、守ってやることも難しいということだ。彼女を危険な目に遭わせるわけにはいかない。
何より、今のSiの目的は、NCRから受けた任務を達成すること、KutoとPlatinum Chipを追うことである。Caesarへの復讐ではない。KutoがThe Fortへ向かったかどうかの確証がない以上、The Fortへ向かうのはリスクが高すぎた。

 そう告げると、Booneは無感動な視線をこちらに返して頷いた。もう少し引き止められるかとも思ったが、意外な反応である。
その後、SiたちはCottonwood Coveに捕らえられていた奴隷たちを解放した。首にはSierra Madreで見たものに比べれば原始的に見えたが、しっかりと固定された爆弾首輪が嵌められていた。
Siは周囲に倒れていたLegion兵士の死体を探り、解除するための鍵を発見した。首輪を外してやると、奴隷たちは心の底からの感謝の意を示した。近くのRanger Echo基地へと送り届けてやる。

ひとまず、Forlon Hope基地に戻ることにしたSiたちは、行きも通過したSarchlight駐屯地を通過した。Feral Ghoulだらけの危険な汚染地域だったが、Legionの危険さに比べればなんでもない。Feral Ghoulの頭を砕きながら、強引に通過しようとしていたとき、NCRの兵士たちから声をかけられた。どうやら彼らは、Siたちを一般の旅人と勘違いして、汚染地帯の危険さを警告してきた。
「おれたちはNCRだ」
言って、Rangerの証であるNCR支給のHunting Revolverを見せてやると、Astor曹長と名乗ったその兵士は驚いた顔で敬礼を返した。
「Rangerの方でしたか……。こちらへは、任務で?」
「ある女を追っている。褐色の肌に銀髪の女だ。曹長、見てはいないか?」
「銀髪の……」とAstor曹長は少し考えた様子を見せた後、Siの背後のBooneへと視線を移した。「その……、そちらの方と一緒にいたのを見たのですが……」
Siは振り返る。Booneは無言。
「いつだ?」とSiはAstor曹長に向き直って尋ねる。
3、4週間前だったと思いますが………」
それはSierra Madreへ向かう前だ。Booneが言っていた、彼女と最後に別れたときの話だろう。
「その後は?」
「いえ、すみません」とAstor曹長は申し訳なさそうに首を振った。

そうか、と頷いて返しながら、初めからここで聞いておけば良かったとSiは後悔した。Cottonwood Coveへ向かうには、このSearchlight駐屯地を通るか、Ranger Echo基地を通るしかない。末端の兵士にはともかく、RangerにはKutoの情報は伝わっているだろう。Echo基地を通るはずがない。ということは、KutoはCottonwood Coveへは向かっていないらしい。

考え事をしていると、Astor曹長がかしこまった口調で言葉を発した。「あの、ひとつよろしいでしょうか」
なんだ、と返すと、Cottonwood Coveに行っていたのか、と尋ねられた。
「そうだ」
「われわれはCottonwood Coveを監視しておりまして、Legionの動向に何か変化があったのなら、教えていただけないかと思いまして………」
「あそこはもう対処した」
「は?」
頓狂な声をあげて、Astor曹長は口を開いた。
「Cottonwood CoveのLegion兵士はすべて殺した」

SiはAstor曹長たちに背を向けた。背後で、たったふたりでLegionの基地を壊滅させるなんて、というAstor曹長の呟きと畏怖の声が聞こえた。


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