第四行
Slashterpiece
死がふたりを別つまで

Name: Azalea
Clan: Toremere
Sex: Femele
Disciplines: Auspex (1), Dominate (1). Thaumaturgy (2)
Feats:
-Combat: Unarmed (1), Melee (1), Ranged (2), Defense (2)
-Covert: Lockpicking (3), Sneaking (3), Hacking (2), Inspection (3), Research (3)
-Mental: Haggle (2), Intimidate (2), Persuasion (2), Seduction (4)
-Soak: Bashing (1), Lethal (0), Aggravated (0)
Equipment: Tire Iron, Light clothing
Humanity: 10
Masquerade: 5

 目の前に広がるのは非常にありきたりな場面だ。
 ああ、ありきたりな場面だ。安っぽいB級映画なら


 場所はGimble義肢治療院という義肢製作所の地下である。
 そして、「お嬢ちゃん、いまばらばらにしてあげるからね」などと口の端から涎を垂らしながら叫ぶ男は、この店の主であるところのStanley Gimble氏である。
「わたしのことはStanと呼んでください」
 などと言っていたのは十数分前までの話。いまは生きた人間から切り取った腕を武器代わりにぶんぶんと振り回す狂人でしかない。


 こんなことになったのも、Bail BondのArthur Kilpatricに貸しを作ってしまったためだ。Thin Bloodのときの貸しを返せ、と依頼されたのは、突如として行方をくらましてしまった賞金稼ぎのCarson McGeeという男の捜索であった。
「何もあんたに逃げた保釈者を探してくれ、なんて依頼じゃない。ただ賞金稼ぎを探してくれりゃ良いのさ
 とKilpatric氏は大仰な身振りで言ったが、いまの状況を考えると、賞金稼ぎの真似事のほうがまだしもマシだったという気がする。

 McGeeの部屋を訪ねたAzaleaは、彼のPCに残されていた情報から、タトゥーショップに向かったことを知った。

Retrieved: Tattoo Parlor Key

 無人のタトゥーショップに電話をかけてきたのがGimbleで、彼もMcGeeを探しているということだったので、話を聞くことになった。Gimbleの店を訪れると、彼はMcGeeに関して見せたいものがあると言って奥に引っ込んだのだが、なかなか帰ってこなかったので、Azaleaのほうから探しに行った。


 店の奥に進むにつれて、固定ベルトのついた頑丈そうな椅子だの、撮影用のビデオカメラだの、血塗れのメスや鋸だのと出てくれば、もう予想がつくというものだ。狂人じみた叫びと共にGimbleが現われたとき、Azaleaは思わず溜め息を吐いてしまったほどだった。
「おい、あんた! 逃げろ……、いや逃げるな! おれを助けてから逃げろ!」
 と部屋の奥の牢から、精悍な顔の男が顔を出して叫ぶ。
「McGeeさん?」
「そうだ……、いや、そんなことはどうでもいい! その男は狂ってる! 危険だ!」
「知ってる」


「お嬢さん、そんなふうに喋ってる余裕はありませんよ!」
 とGimbleが死体の腕で殴りかかってきた。ぶらぶらと揺れる死体の腕で殴られるのは、生きた人間の手で殴られる程度には痛い。Azaleaは尻餅をついて倒れる。

 倒れたままで、Azaleaは周囲を観察した。この角度なら、牢にいるMcGeeからは見えない。
 それを確認してから、Azaleaは指を銃の形に 構えた。
「"Blood Strike”」
 指先から射出された血弾がGimbleの頭と胸を貫く。Gimbleはにぃと笑ってから、倒れて動かなくなった。人間相手なら、ご覧の通り、こんなものだ。

Retrieved: A Severed Arm

「ほぉ、そりゃ貴重な体験だったね。映画のヒロインみたいな気分だったろう?」
 とGimbleの店からBail Bondに戻ってきたAzaleaを出迎えたArthur Kilpatrickは、でっぷり太った身体を椅子に押し込んだままで尋ねてきた。


B級映画じゃなければ良かったかも」
話聞かされるおれのほうも同感さ。で、McGeeは?」
「銃の引き金が引けない身体になってしまったので、賞金稼ぎは引退させて欲しいって言付けを貰いました」
「はぁ!? 冗談だろう?
証拠が欲しいですか?」
「切れた腕振り回されんのは、狂った義肢工学者の店だけで十分だ。勘弁してくれ」

 Arthur Kilpatrickは小言をぶつぶつと零していたが、McGeeが賞金稼ぎとして働けなくなったことに諦めがついたらしい。今度はAzaleaに更なる仕事を依頼しようとしてきた。Azaleaは、報酬の金だけを受け取って、さっさとBail Bondをあとにした。

Retrieved: $201

 Bial Bondから、自分のアパートへと戻り、ベッドに寝転ぶ。
「あぁ……、疲れた」
 ベッドにばたりと倒れ込んだとき、机の上のPCが小さな電子音を立てた。電子メールの受信を知らせる音声である。Azaleaは殆ど這いずるようにしてPCの画面を見たあと、無理して見なければ良かったと思った。
 メールはPrinceこと、LaCroixからだった。緊急に解決して欲しい要件がある、という忙しない言葉から始まるそのメールは、ある人狼の血が病院で輸送されてしまったため、人間によって研究される前にそれを奪い返して欲しい、とのことだった。
 いつもだったらたぶん、なぜ自分がそんな仕事を引き受けなければならないのか、くらいのことは返信していたかもしれない。いや、Prince相手にそこまで言い返すことは無理でも、今日一日はメールを見なかったふりくらいはすることは可能だったはずだ。

 Azaleaがそうせずに、素直に病院へと向かったのは、彼に任されている仕事を達成できていないという後ろめたさがあったためだろう。
 人狼の血は病院の二階に保管されていた。Azaleaは血力を使って警備員を誘惑して鍵を手に入れ、コンピュータをハッキングして金庫の鍵を解除して、人狼の血を手に入れた。


Retrieved: Werewolf Blood

 メールで指示があったように、Azaleaのアパートの郵便受けに人狼の血の入ったボトルを入れ、部屋に戻り、ようやく一息吐く。

Lost: Werewolf Blood

 ごろごろとベッドに寝転がりながらAzaleaが弄ぶのは、病院の警備員を誘惑したときに手に入れた.38口径の拳銃である

Retrieved: Thirtyeight

銃の撃ち方とか、勉強しておいたほうがいいのかなぁ………)
 黒光りする銃身を見つめて、そんなことを考える。Azaleaは銃なんて撃ったことはないが、Princeに課された仕事を達成するためには、撃たねばならないときがあるかもしれないのだ。血弾には限りがある。

Tutorial: Ranged Combat (遠距離射撃)
 銃はインベントリ(Iキー)もしくはF3キーで装備し、左クリックで射撃を行う。Rキーでリロードする。
 銃の精度や威力は銃固有の性能もさることながら、使用者のRangedのFeatsも影響する。

(Mercurioの話じゃ銃や弾丸も売ってるって話だし、射撃の本があるかもしれないから、あとで質屋でも覗いてみよう)
 
Tutorial: Tome (本)
 本を読むことでAttributesやSkillsを上昇させることができる。
 ただし本の種類によっては、ReserchのFeatsを一定以上要求する場合がある。

Tutorial: Pawn Shop(質屋)
 質屋では物品の売却や購入が行える。
 銃や弾丸は条件を満たすことで購入可能になる。

 いまの問題は、しかし射撃のことではない。そこに達する以前だ。
 Ocean Houseホテルで幽霊の遺品を取ってくるという仕事をこなしたので、AzaleaはThereseからTungの居場所を聞くことができるはずだった。だがAsylumにはThereseはおらず、代わりにJeanetteが居た。
「Thereseは当分帰ってこないよ。彼女の居場所が知りたいんだったら、わたしのお願い、聞いてくれないかな?」
 と彼女はそんなことを言った。表情は穏やかであったが、口調は殆ど脅しのそれだった。

 出直してくる、と言って殆ど逃げるようにAsylumを出てから3日。その間、何度もAsylumを訪ねたものの、会えたのはJeanetteだけで、Thereseには一度も会えなかった。
(これはJeanetteに聞かないと駄目かな………)
 そうは思うのだが、しかしそうしたくないと思うのは、彼女の「お願い」というのが何か恐ろしいものであるような気がしたからだ。

 だがいつまでもこうしてはいられない。PrinceはAzaleaの命を握っているに等しいのだ。指示すれば、Azaleaを殺すために動く人材が幾らでもいるのだろう。となれば、彼の依頼を違えるわけにはいかない。
 観念して部屋を出る。郵便受けを確認すると、いつの間にやらPrince LaCroxの部下が回収したのであろう、郵便受けに人狼の血は既に無く、代わりにと報酬ということなのか、150ドルがピンに留められて入っていた。

Retrieved: $150

 Asylumの2階のオーナー室には、やはりThereseの姿はなく、Jeanetteが居た。彼女は嬉しそうにAzaleaを出迎え、「お願い」の内容を話した。


「通り沿いに画廊があるでしょ? そこの絵をこれで滅茶苦茶にしてきて」
 と彼女が差し出してきたのは何の変哲も無いナイフである。

Retrieved: Knife

「それだけ?」
「あら、物足りない? じゃあ募金箱から金でも盗んで、ベルベットのリボンでも買ったらどう?」
「いや……」
 と首を振り、AzaleaはJeanetteの様子を観察する。彼女の瞳は猫のようで、何を考えているのか、さっぱり解らない。いったい画廊に何があるというのだろう。
 だが彼女に聞く以外にThereseの行き先の手掛かりが無い以上、彼女の「お願い」を達するしかなかった。

 画廊は太った警備員が見張っていたが、血力で魅了するのは簡単なことだった。ついでに鍵を手に入れ、裏口から忍び込む。


Retrieved: Gallery Noir's Key

 Noir画廊は小さな画廊であった。幸いなことに人は誰もおらず、簡単に目的は達せられそうだ。


(高そう………)
 ナイフを握り、絵の前に立ったAzaleaは、何度も何度も深呼吸しなければならなかった。

 遂に決心して、ナイフを振り上げ、絵に向かって振り抜く。
 が、その刃が絵を貫くことはなかった。


 視界には木目調の天井だけが見える。
 Azaleaは絵の反対側の壁まで吹っ飛ばされていた。
「いまのは………」
 いったい、何が起きたのだ。

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