The Waters of Life

 いのちとは何か
 それは、夜を照らす蛍のきらめき
 凍てつく冬の空気に野牛の吐く吐息
 草の上に落ちつかない姿を映しながら
 日没とともに消えていく、ちっぽけな影
(ブラックフット族の首長、クロウフットの言葉 『インディアンの言葉』智慧の手帳 ミッシェル・ピクマル編 より)

Lynn
Lv. 8
S/P/E/C/I/A/L=8/3/10/5/4/8/2
Tag: Melee Weapon, Science, Unarmed
Skill:
[S] M.Weapon=45
[P] E.Weapon=10, Explosives=25, Lockpick=25
[E] B.Guns=31 ,Unarmed=61
[C] Barter=16, Speech=16
[I] Medicine=25, Repair=21, Science=61
[A] S.Guns=25, Sneak=25
Perk:
[S] Iron Fist
[E] Toughness, Strong Back
[Others] Lawbringer, Charge!, Lady Killer, Tackle, Track Star
Equipment: Wattz 1000 Laser Pistol, Wattz 2000 Laser Rifle, Merc Charmer Outfit
Rad: 76


 走る。


 走る。

 丑三つ時に出発し、殆ど休憩らしい休憩も取らずに、ひたすら東へ、東へ。既に陽は地平線より上に出ていた。
 自由な散歩を楽しんでいるかのようなDogmeatはともかくとして、Ritaのような年齢の娘がいる、白髪頭のJamesには、この道程がどれだけ厳しいものだろう

「さすがに水際だと涼しいねぇ。いやぁ、走るのも楽だ」
 いや、前言撤回である。Jamesは未だ、余裕綽々といった様子で走り続けていた。さすがに汗だくだが、水を補給し、缶詰を食いながら走り続けるのだから恐ろしい。
「交代しましょうか」
 と念のため、バイクの上から提案してみるも、「いやぁ、たまには運動しないとね」などという言葉で軽く返されてしまった。


「この辺は、Citadelだね」
 とJamesは足を休めずに首を動かして言った。
 周囲に広がるのは建設機械や巨大な倉庫で、戦前でいえば工場のような施設だろう。
「Citadel?」
「BOSの拠点だよ。Brotherhood of Steelは知ってる?」

 入口でPower Armorを着てMinigunを担ぐという重装備のBOS隊員が見張りをしているからには、確かにBOSの拠点なのだろう。そういえば、以前に出会ったBOSのSarahも、Citadelという場所がBOSの基地だと言っていたか。
「この辺はSuper Mutantが多いから、警戒しているんだろうさ。Super Mutantにはもう会ったかい?」
 Lynnは頷いた。会っただけではなく、戦い、倒したこともある。巨大なBehemothという種とも。
「そりゃ凄い。きみが倒したのかい?」
「いや………」Lynnはサイドカーの中で眠るRitaを一瞥する。「彼女です随分と銃の扱いに手慣れているみたいでしたけど……」
「ああ、この子は子どもの頃から銃の玩具とかが好きだったからね。FPSとかもよくやっていたし、だからすぐに慣れたんだろう」
 玩具やゲームと実戦ではだいぶん違う気もするが、Jamesがそう言うのなら、そういうことなのだろう。

 Lynnはといえば、あまりゲームの類はやったことがなかった。本物の銃も、駄目だ。いちおうEnergy兵器は持ってはいるが、自分の身を守るのが精いっぱいで、戦うには至らない。
 だからSledge Hummerを持ったSuper Mutantが瓦礫の陰から現れたとき、一瞬躊躇した。


 だが今は朝。太陽の光を受けて、Lynnは変身した。バイクを止め、Super Mutantへと殴りかかる。
「Lynn、きみは………」
 Jamesが呆けた様子で呟くのが聞こえた。

(この人は……、知らないのか?)
 なぜLynnが、この姿に変身できるのか。Lynnという存在は、そもそも何なのか。
 彼は知らないのか。
 唯一の手がかりである彼でさえも、わからないのか。

 そんな想いが絶望として圧し掛かり、目の前に迫るSledge Hummerに対する反応が遅れた。
 巨大な石槌が、振り切られるその瞬間、Lynnの身体は宙を舞っていた。ただ、跳んだだけだ。


 Super Mutantは振り切った槌を両手で握り、宙空のLynnへと再度振り抜いてきた。避けられない。
「Lynn、ライダーキックだ!」
 Jamesの叫びが聞こえた。

 LynnはSledge Hummerを蹴りつけ、再度跳んだ。太陽を背に、Super Mutantの目を眩ませる。
(レイダーキック?)


 Jamesの叫びの意味は理解できなかったが、兎に角、蹴りは決まった。蹴りを受けたSuper Mutantの首が180度回転し、ばたりと倒れる。絶命したようだ。


「Jamesさん、あなたは……」Lynnは倒れたSuper Mutantの傍らで深呼吸。変身が解かれる。「おれのこの変身のことを、知らなかったのですか?」
きみの身体が特殊だということは知っていたよ。だが……、まさかそんなふうに変身するとは思わなかった」
「そうですか………」
 失望とともに、Lynnはバイクに戻った。Rivet Cityまで、あと少しだ。

「あの、ちょっと訊きたいことがあるんですけど、いいですか?」
 とバイクを走らせながら、LynnはJamesに問うた。
「なんだい?」とJamesが走りながら応じる。
「さっきの、レイダーキックってなんですか?」
「レイダーじゃなくて、ライダーだよ。知らないの?」とJamesは目を瞬かせた。Masked Riderだよ」
「Masked Rider?」
「ホロとか漫画で見なかった? 特撮ヒーロー」
「ヒーロー……、っていうと、スーパーマンとか、スパイダーマンとか、そういう類ですか」
「うん、まぁ、そう。アメリカのじゃなくて、日本のヒーローだけどね」
「日本の………」
 Lynnは日本のことをよく知らない。中国の隣にある小国というイメージしかないのだが、しかしそんなに有名なヒーローがいたのか。

「Masked Riderは、アメリカじゃあ、べつに有名ってわけじゃないけどね」
「Masked Rider……、Raiderじゃなくて?」
「Raiderじゃないよ。Masked Riderはいろいろいるけど、基本的に仮面を被って、バイクに乗ってるもんだからね。だからMasked Rider。仮面ライダーさ。わかりやすいだろ。きみと同じだ。キックが必殺技なんだ。
 で、なんだい、Masked Raiderなんて、駄洒落みたいなこと、誰かが言ったのかい?」
「いや、彼女に………」
 とLynnがサイドカーで眠り続けるRitaに視線を投げると、Jamesは苦笑した。
「成る程。ヒーローみたい、ってことだろ。この子らしい洒落だ」

 そうなのだろうか。
 Grayditchでの会話を考えれば、Ritaが皮肉以上のものを込めたとは思えなかった。おまえは人殺しなのだ、という。

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