巨大なロボが頭部から発するレーザーによって、道に立ち塞がるEnclaveが、地に根付く障壁が、空を翔るVertibirdが破壊されていく。


 竜巻を追うようにして、SarahとRitaを乗せたバイクは駆けた。
 Liberty Primeが撃ち漏らした敵は、バイクに乗ったまま、Ritaが器用にライフルを使って仕留めた。これだけ揺れるバイクの上、しかも病み上がりなのにこれだけ戦えるのだから、彼女に戦闘に加わってもらったのは正解だったのかもしれない。


「もうすぐJefferson記念館か」とRitaが後部座席から呟く。「なんか楽勝ってかんじだな」
「まだ……、たぶんあそこには防備も厚いし、シールドも硬いはず」

 Sarahの予想通り、Liberty PrimeはJefferson記念館の目の前まで辿りつきはしたものの、その直前のシールドを停止させたところで止まってしまった。


「壊れた?」
「わかんないけど……、一時的にエネルギーを使い果たしたっぽい」
 Ritaの疑問に答えながら、Sarahはサイドミラーで背後を確認する。現在、Sarahたちのバイクが突出している状態で、Pride隊やほかのBOSのメンバーは遥か後方にいる。彼らを待つべきだろうか。
 しかしシールドが停止している現在はチャンスではある。後方の援護を待っていたら、シールドが回復しているかもしれない。
「このまま突っ込む!」
 Sarahに決断をさせたのは、Ritaの声だった。言われるがままにアクセルを捻り、加速する。


 障壁を超えた瞬間、軽い爆発のような音がした。それとともに、急にグリップが弱まる。後部のタイヤがパンクしたらしい。復活した障壁が、バイクの後部タイヤを削り取ったのだ。
 殆ど投げ出されるようにバイクから降りる。
「Rita!」
 無事か、と問いかける間もなく、目の前にEnclaveの兵士の姿があった。
 銃を抜くまえに兵士の姿が消える。兵士は側頭部に弾丸を受け、側転するように吹っ飛んでいた。撃ったのはRitaだ。無事だった。
 ふたりでJefferson記念館の中に突入する。たった、ふたりだけで。
「ふたりだけ?」
「バリヤーが切れたのが一瞬だけだったね。たぶんほかの隊員が来るまでは時間がかかる」
「だから言っただろ、突っ込むのが正解だって」
 というRitaの言葉に、Sarahは肩を竦めるだけにしておいた。



 Jefferson記念館の中はEnclaveだらけだったら、RitaとSarahの敵ではなかった。浄化櫓へと向かう。

「またきさまか」
 浄化装置の部屋に入った途端に銃を突きつけられる。3人。うちふたりはPower Armorを着込んだ兵士、ひとりはAutmun大佐という司令官の男だ。
「諦めろ、Autmun」銃を突き付けられながらも、Ritaは果敢に言う。「もうEnclaveは終わりだ。Jeffeson記念館はBOSが包囲している」


Challenge: Speech (28%) → FAILED

「だからなんだ。きさまのような蛮族に何ができる」
 死ね、というその言葉が切られるまえに、Ritaが動いた。身体を捻ってAutmunの斜線から逃れ、手はホルスターのSIG Sauer Pistolへ。



 腰のホルスターから僅かに浮かせた状態で狙いを定め、.45AP弾が発射される。2発。その両方が、Autmunの頭を貫く。
 衝撃でAutmunはバク宙のように跳び、階段に頭を打ち付けて動かなくなった。


「Rita!」
 SarahはRitaの身体を引き寄せ、己の身体で庇った。残ったふたりのEnclaveの兵士が、Gatling Laserの引き金を引いていた。



 身体がじぶんのものではないように感じた。
 意識しなければ、息ができないような気がした。
「Sarah……」


 倒れているのは、4人。Ritaが倒したAutmunとふたりのEnclaveの兵士たち。それに、Sarah。立っているのは、Ritaひとりだけ。
 Ritaを庇ったSarahの傍らに跪き、脈を診る。大丈夫だ。生きている。息もしている。ほっとする。
『Rita! Sarah! 応答して、こちらDr. Li! ふたりとも、返事をして!』
 安堵したところで、浄化装置傍のインターコムから神経質な女の声が発せられた。Liだ。

「生きてるよ……、わたしも、Sarahも」とRitaは痛む身体を引き摺ってインターコムに近づき、応じてやる。「なんとかね、終わったみたい。Jefferson記念館内部のEnclaveは全滅させた。たぶん、だけど」
『落ち着いて聞いて。浄化櫓に異常が発生しているの。いまそちらの状態をモニタリングしているのだけれども、戦闘で発生したダメージのせいで、櫓が爆発しそうになっている』
 Ritaは一瞬で、水を浴びせられたようになった。既に終わったと思ったが、何も終わっていなかったのか。
「どうにかならないの?」
『貯水タンクを切り離せば、爆発は避けられる。でも……、そのためには隔壁の中に入らなければならない。操作室の中は、未だ致死レベルの放射能で満たされている』
「入ったら、死ぬの?」
『たぶん、数分と持たないでしょう。でも、死ぬ前に操作をすれば、爆発だけは避けられる。Project Purityだけは……』


 Ritaはインターコムを切った。
 隔壁越しに、浄化装置の操作盤を見つめる。あれを操作しなければならない。パスワードを打ち込んで。
 だが、入れば死ぬ。
 Ritaは死にたくない。

Use: Rad-X


 いままで何度も、死にそうな思いをしてきた。自らを危険に曝したことさえもある。
 だがそれらはすべて、生きるためだった。
 生きるためだと思えば、痛くても、辛くても、気持ち悪くても我慢できた。
 後悔するような生き方をしたくなかった。
 ただそれだけだった。

Use: RadAway

(あいつは違ったな………)
 死ぬとわかっていたはずなのに、少なくとも延命治療をする選択はあったはずなのに、死を受け入れて戦った。


 Ritaはそんなのは、間違っていると思っている。
 だがたまには、彼の生き方を受け入れてみようと思った。
 隔壁を開け、中に踏み込む。Pip-Boyのガイガーカウンターが五月蠅い。
 パスワードを打ち込む。216。浄化櫓が分離される。


 Ritaは冷たい床に倒れた。何もかも、終わった。死んだら、終わりだ。それはわかっていたが、最後に友の生き方を受け入れた。友の生き方が間違っているとは思っても、否定はしたくなかったから。


 床に倒れたRitaを、黒い影が見ていた。

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