アメリカか死か/22/02 Broken Steel -2

Shock Value

(おいおい………)
 確かにLiberty Primeの戦いぶりは見ることができた。Enclaveの兵を薙ぎ倒し、基地の壁を破壊し、そして突如として降り注いできたミサイルに破壊されるまでは。

 どこから狙ったものなのかはわからないが、ミサイルは執拗にLiberty Primeを攻撃した。首が捥げ、機能が停止するまで。


「やばいんじゃないの?」
 とRitaがTristanに問えば、彼は蒼白の顔色のままで器用に青筋を立てていた。
「おしゃべりしている暇はない! この場に立ち会ったきみにも、基地を捜索する義務がある」
「あんた、見学してろって言ってただろうに」
「現場では状況は刻々と変化するのだ」


 大袈裟に溜め息ひとつ、諸手を上げてでもしてやりたかったが、事実状況は変化しつつあった。主力であったLiberty Primeが破壊されただけではなく、ミサイル攻撃の余波でBOSの隊員の殆どが負傷してしまった。動けるのはRitaとTristanのほかは数人だ。手伝わないというわけにはいかない。
 Ritaたちは基地内部に進行し、Enclaveを殲滅した。そのうえで、奥の部屋で何やら重要そうなデータを発見、ダウンロードに成功した。


「衛星による距離測位のためのデータだな」
 と端末を検めてPaladine Tristanが言った。
「なんだ、そりゃ」
「ミサイル発射のためには着弾点をあらかじめ設定する必要があるが、そのために衛星によって座標と高度のデータを取得している。そのためのプログラムと、取得したデータだ……。なんてことだ」Tristanは舌打ちする。「まだこんな兵器を隠していたのか」
「衛星兵器?」
「違う、移動要塞だ。くそ、これを破壊するのはLiberty Prime以外では……、いや………」Tristanはひとりでぶつぶつ言って何やら考える様子を見せたのち、Ritaに向き直る。「Knight Rita、Old Olneyの旧軍部施設に向かってくれ。そこに必要な道具がある」
「報酬は?」
「何を言っている。そんなものはない。きみは傭兵ではなく、BOSの一員だ。Knightだろう。ならばWastelandの人民のために尽力するのは当然のことだろう」

 当たり前のように言うTristanに、Ritaはなんと言葉を返すかしばらく考えた。
最終的に承諾したのは、現状ではバイクに乗れるRitaしかその場所へ移動できる人間がいないということと、「簡単な任務」という説得があったからだった。地上がDeathcrowだらけなのは、以前Vaultを探索したときに知っていたが、場所は地下施設だということである。そこなら大丈夫だろう、という話だった。
 が、実際に行ってみれば、Old Olneyは地上だけではなく、地下もDeathcrowだらけだった。というより、地上より酷い。巣になっているのかもしれない。


 狭い場所では、DeathcrowはSuper Mutantより厄介だ。Ritaはできる限りDeathcrowとの戦闘を避け、忍び足で進んだ。
 辿りついた場所は、まさしく旧軍部の研究施設であった。未だ動作中の防衛機械を破壊し、奥へと進めば、まるで雷を閉じ込めているかのような空間があった。
 避雷針のような棒がそこら中から突き出た実験室の中央に、目的のものはあった。Paladine Tristanに言われた通り、部屋の四隅にあったスイッチを切ってから、目的の物を取り外す。

Added: Tesla Coil


(こんなもん、何に使うんだ……?)

 実験室の状況を見たところ、電池のようなものだろうか。取扱いに不安は無いではなかったが、触れて爆発するようなことはなかった。
 施設の非常口から外に脱出し、バイクでCitadelへと戻り、Tesla CoilをTristanに渡す。
「ご苦労だった」という台詞に腹が立つ。「きみがTesla Coilを探している間、われわれはEnclaveの基地がある場所を発見することができた。Adams空軍基地だ。そこに潜入し、ミサイルの発射装置を破壊しなければならない。Tesla CoilをTesla Canonに使えるようにしてやろう」
「あんたの口振りだと、またわたしをそこに送り込もうとしているように聞こえるんだが」
「安心したまえ。White House近くから向かえる大統領専用地下鉄から安全に向かうことができることは調べがついている。しかも、あちらにはTesla Canonがある」

Ritaは溜め息を吐いてみせてから、ホルスターに収めていた14mm PistolをPaladine Tristanの顎に押し当てた。
「いいか。おまえらはEnclaveと同じだ。他人に勝手に役割と自分の文化を押し付けてくる。わたしはそれが気に食わない」
「わたしを殺す気か」
 銃を突き付けられながらそんなことを言ったのは立派だったが、声は震えていた。
 Ritaは銃をホルスターに戻し、背を向ける。「行ってやるよ。だがそれで終わりだ。Elder Lyonsには伝えておけ。Knight Ritaはもう辞めだってな」


 Citadelを出て、東のWhite Houseへ。
 200年前は国の長、大統領が居た場所だったということだ。観光でもしたいところだが、そんな余裕は無い。大統領専用の地下通路へと向かう。
 地下通路は稼働中の防犯ロボットがいたが、途中の統率しているらしいMARGoTというロボットを言いくるめて、味方につけることができた。

Challenge: Speech (18%) → SUCCEEDED


 地下鉄を進み、列車に乗り、ようやくAdams空軍基地に到着する。

(ふぅ………)
 Ritaは息を吐いた。他人に見せつけるためのものではない、諦めと苦しみが混じった息を。
 Enclaveの基地なので当たり前だが、Adams空軍基地はEnclaveの兵士だらけだった。それだけではなく、砲台や生物兵器、Vertibirdなども置かれている。こんなもの、ひとりでどうにかなるものではない。
 とりあえず、忍び足で探索し、BOSの指示にあった木箱を見つけた。

Added: Tesla Cannon

 見たところ、ロケットランチャーの類に見えるそれを担ぐ。見た目より随分と軽いその中に、改造したTesla Coilを挿入する。
 半信半疑ながら引き金を引いてみると、遥か彼方にあった待機中のVertibirdが爆散した。


「うーむ……、こりゃなんとかなりそうだな」
 Ritaは呟き、北へと向かう。まずはEnclaveの移動要塞に入らなければいけない。

0 件のコメント:

Powered by Blogger.