『山が笑えば』制作録イベント編
旧世紀網膜博物館2作目→『山が笑えば』(『山が』)進捗報告です。ここ最近はずっとイベント画面を作っていました。
現状だいたいこんなかんじ。
イベント画面、だいたいそれっぽくはなってきたっぽいので一回これで進捗書こうかなぁ。細かいところ(日数とか強制ページ切り替えとか地図上の地点表示とか)まだだけど。
— ブリキの (@buri_kino) June 26, 2022
フォント、試しにKaisei使ってみたが乙女チックすぎるか? pic.twitter.com/GTkRS3q6NO
『山が』のゲームプレイの流れをざっと説明すると、南極大陸を旅行する「旅行パート」と基地で調整をする「基地パート」を交互にプレイします。
基地パートではまずイベントが起こってPerkを取得し、その後車体の決定や休養期間を決めたうえでルート設定し、旅行パートで実際に旅行します。旅行パートで目標を達成するか、行動不能になった場合、基地に帰還してまた基地パートが開始されます。
つまり、1回の旅行(=他ゲームでいえばダンジョン攻略やミッション)を行って終えるたびに生じるのがイベントです。Perkと一対一の対応になっているため、Perkを選択します。
Perk/イベント選択画面
Perkは恒久強化要素です。すべてのイベントにはPerkが付随し、イベントが発生することで取得できます。Perkは簡単にいえばプレイヤー(《観測》さん)に永久的に生じるアップグレードのようなもので、基本的には3種類の候補が提示されます。くぅ〜ローグライトっぽいぜ!
単体の効果は(基本的に)弱いですが、効果が乗算されるものが多いので複数取得するとわりと効果が大きくなります。
ぶっちゃけてしまうと昨今のローグライトに多い恒久的な強化ってあまり好きではないです。何が厭って1回目と10回目のプレイがさも同じであり1周目でもクリアできるような顔してて、実際はそうではないのがのが厭。面倒くさいというか、面倒くさい顔なのが厭。
たとえば『風来のシレン』だったら直接的な強化要素はないし、倉庫使えば最初からある程度強化できるけど失うリスクがあり、そもそも初周でもクリアできるバランス。
『Risk of Rain』(ローグライトか?)なら強いアーティファクトは増えるけど必ずしも状況に合うわけではなく、また選択できるわけじゃないし、追加パイロットも上位互換というわけではない。
『FTL』だと使いやすい配置や船が解放されはするけど完全上位互換というわけではないし、強化されるというよりモードが違うという考え方ができる。
こういったものは好ましいのだけれど、そういうものじゃなくて単純に繰り返しプレイしているうちにキャラ性能が上がっていく(というより上げなければいけなくて、そうでないと後半の敵にまともにダメージが通らない)、というのが厭。キャラじゃなくてプレイヤーの能力上げてほしい。
などと言いつつ恒久的な強化要素を導入したのですが、今回は試行回数が有限(1年間)という限界があり、1回1回のプレイが完全に同じものではないというゲームプレイなので問題ないかな、という考えで今作はこのPerk制を導入しました。基本的にコンセプトが「たくさん負けて強くなれ」「歩いてきた軌跡が力になる」みたいな話なのでまぁ良かろう。
ちなみにPerk制は実は『霜夜ゆく』(『霜夜』)の初期の初期でも構想があったシステムだったりします。物資の管理や基本システムとの食い合わせが悪すぎて消えたけれども。
Perkを選択するとイベントが始まります。基本的に『霜夜』とほぼ同じ形式の吹き出し形式なのですが、以下の3点が違います。
- 立ち絵
- 0ページ目の地点表示
- 背景
1) 立ち絵
そのページでフォーカスされているキャラ(基本的にはもっとも喋っているキャラ)が立ち絵になります。
これはべつに『霜夜』でも可能だった要素なのですが、基本的に(画面内にいる人型の)キャラが《少女》しかいない『霜夜』では意味がないというか、TALK画面とほぼ絵面が変わらないせいでむしろ見栄えがマイナスになる要素だったので導入しませんでした。
今回はメインキャラが4人いて喋りを動かせるので導入……したは良いのだけれど、ひとつ問題があって、狭い。
横に立ち絵が出てきたから当然なのですが、横に立ち絵があってさらに顔が表示される、というような状況だと吹き出しのがかなり狭くなってしまう。
解決策として、立ち絵に吹き出しが被るようにして、可能な限り吹き出しの幅を取れるようにしています。当初は吹き出しより立ち絵を上に表示したかったのだが……文字が読めないとすごいストレスなので致し方なし。
また、若干フォントサイズを下げています。これに関してはテキスト表示をuGUIのテキストからText Mesh Proのテキストに変更したことで若干ながら解像度が上がっている(はず)なので大丈夫(なはず(のはず))。
あとフォントそのものをだいぶん悩み中。当初は『霜夜』で使ったマメロン互換のKiwi Maruにしようと思っていたのだけれど、うーん今回のと合うのだろうか。明朝系としてKaisei系列をお試し中。
2) 地点表示と3)背景
それぞれすごく瑣末な要素ですが、今回は南極という特徴的な場所での話ということで導入しています。
最初のページから会話が始まっていた『霜夜』とは違い、『山が』では最初の0ページ目は会話がなく背景に緯度・経度・地点が表示されます。それ以後のページでも、場所に合わせて背景が表示されます。これらは場所を強調するためです。
場所の主張は立ち絵と違って『霜夜』では「やらなかった」ではなく「できなかった」要素で、だってずっと最終緊急艇の中なんだもん。
『山が』ではイベントで昭和基地のある東オングル島のさまざまな場所(といっても基本的に北側だけど)を歩き回り、それらの場所の写真もあるため場所場所を紹介できるのです。
ちなみに南極の写真は基本的に隊次行動が終われば自由に使えるのだけれど、基地内の写真は許可が必要なので完成前に「銀髪巨乳獣耳美女が南極観測するゲームに使っていいですか?」という伺いを立てなければいけないという。ちゃんと通るかな。
0ページ目。自衛隊のヘリ(CHヘリ)が降りるAヘリポート近く。自衛隊関係は規約がわからないので自衛隊そのものは写ってない写真を選んでいるぜ
南極というと遠い場所のようですが、まぁ遠くてね(なんだこの文章)、あまり身近ではない場所だと思います。
わたしは越冬(1年以上滞在する)経験者なのですが、越冬経験者で長期内陸旅行をしたことがあるインディーゲーム開発者はおそらく日本ではただひとりだと思います(海外にはいるかも。フランスとか。変態が多いし)。そういった個性を出す、強みを活かす、という観点から立案されたゲームなので、現実の南極観測らしい要素はべっしゃんべっしゃん導入していきます。
イベント画面の構成についてはこんなところ。
『霜夜』と同様にイベントでストーリーが進む形式なので、不安がめちゃくちゃあります。『霜夜』はシナリオけっこう評判が良かった(と思う)のだけれど、あっちはかなり変化球よりのデッドボール。
対して今回はストレートのデッドボールなので、だいぶ球種が違う(バッター全員倒せば勝ち理論)。
正直言ってストーリーラインの手触りは実際に当ててみないとよくわからなくて、当たるかもしれないし当たらないかもしれない。だから一般的なゲームとしてはシステムとかアクションとか(あとは「豪華声優陣!」みたいな謳い文句)で差をつけるのが本来正しい売り方なわけで。
とはいえこのへんの構造は最初から打算的に組み立てられるものではないわけで、うまい具合にストーリー(というかストーリーとシステムの調和)が受け入れられることを祈るしかない。
Perkとイベントは一対一で対応しているので、全部のPerkにイベントつけなきゃいけないわけで、これが大変……かというと案外そうでもない気がする。
『霜夜』では通常のイベントはそこまで多くはなかったですが、代わりにそれぞれの物資でミスしたときに生じる物資ヒントイベントが(イベント物資を除いたほぼ)すべての物資に設定されていました。こっちは大変だった……いやぁ大変だった。なぜならほぼキャラが《少女》ひとりなうえ、場所も動かないし何もかも変化がない状況でひとり芝居しなければいけないので。
『山が』ではメインキャラが少なくとも4人存在しているうえに、東オングル島内を歩き回れるのでいろんなロケーションでイベントが起こせるので楽勝です。
Perkは旅行ごとに取得でき、なおかつクリアまで途切れることなく取得できるとすると、だいたい平均的な旅行が2週間として、1年の間に27個取得できる。条件を常に満たしているとは限らないのでこの倍の54個は必要で、さらに周回して同じイベントばかりだとつまらないのでさらに2倍くらいいるので108個。ヴッ! いや大丈夫このくらいは。イベントの内容より、どっちかというとPerkの効果考えるほうが辛い。
というわけで、やっと基地・旅行それぞれのモードでの基礎部分が(まだ直すところがたくさんあるけれど)できたので、ここからは時間がかかる部分(イベント作成とか)をちまちまやりつつ、実際のゲームプレイに関わる要素を導入していくことになるかな。たとえば今回は地形がプレイヤーごとに異なる状態でのスタートで、地形の生成について考えなければならない。
完全にランダムだと綺麗じゃないし、現実的な地形というか路面状態を反映できないので、ある程度決まった形状をランダムに配置することで全体の地図がプレイヤーによって異なるような地図を作りたいなー、といったところか。
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