かくもあらねば/32/03

Cecilia
Lv. 3
S/P/E/C/I/A/L=4/10/4/5/8/6/3
Trait: Logan's Loophole, Wild Wasteland 
Tag: E. Weapons, Science, Survival
Skill:
[S] M.Weapon=16
[P] E.Weapon=42, Explosives=24, Lockpick=30
[E] Survival=27, Unarmed=12
[C] Barter=14, Speech=14
[I] Medicine=20, Repair=20, Science=50
[A] Guns=16, Sneak=16
Perk:
[I] Swift Learner
[Other] Brainless, Heartless, Spineless
Equipment: Sonic Emitter, Proton Axe, Patient Gown

 痛い。
「痛いよ………」
 背中には穴が空いている。撃たれた穴だ。エネルギー兵器での傷なので、熱で半ば傷口は塞がっているとはいえ、じんじんと痛む。


 Transmitter AntennaがあるX-2には命辛々到着した。

Discovered: X-2 Transmitter Antenna Array

 逃げ込んだ塔の中で、Ceciliaは必死に入口の扉を固定しようとした。Lobotomiteが2体と、死体を動作補助のスーツが動かしているという奇妙なTrauma Override Harnessが1体追いかけて来ているのだ。


 がんがんと、扉を破壊せん勢いで叩かれる。開けるわけにはいかない。あんなやつら、同時に相手にはできない。

 しかし背中に焼け付く痛みを感じ、Ceciliaは扉から手を離してしまった。咄嗟に視線で確認する。撃ったのは、X-2内部を徘徊していたProtectronだった。


 ProtectronをSonic Emitterで撃ち抜き、入り込んできたTrauma Override HarnessとLobotmiteに相対する。

(熱い)
 Microfusion Cellの弾丸に身体を焼かれながら、CeciliaはProton Axeを振るった。最初よりも迷いがないぶんだけ、首を3つ落とすのは簡単だった。


 熱いのは全身に血を浴びているからだ。レーザーで身体を焼かれたからだ。
 Ceciliaは重い身体を引き摺るようにしてX-2の塔内を登った。梯子を登った先にあったのは、擂り鉢上の屋外スペースである。目的のTransmitter Antennaを探す。
「あんな所に昇るの……?」
 すぐに目的のものは見付かった。梯子が張られた高い位置に、突起状のものが立っている。形状から考えて、あれがTransmitter Antennaで間違いないだろう。


 泣き言を言っても、だれも助けてはくれない。Ceciliaはほとんど四つん這いになって梯子を登り、ようやくTransmitter Antennaの前に辿り着いた。
「えっと………」
 どうすれば良いのだろう。Transmitter Antennaはケーブルに接続されてはいるものの、簡単に外れそうである。しかしそのものがCeciliaの身長より長く、かなり重そうだ。引き摺って持って帰ることになるかもしれない。


 そう重いながら掴んでみると、意外なことに簡単に持ち上がった。軽いというわけではなく、十分に重いことが解るのだが、なぜか持てる。これはCeciliaがLobotomiteになった影響なのかもしれない。

Perk: Spineless (STR+1、DT+1)

Added: X-2 Antenna

(でも、けっこう昔から自分の身体よりも大きいものを持っていたような記憶も………
 ふと、己のことに疑問が浮かび上がってくる。Ceciliaという名、それは自分の名前ではない。では、自分はなんだったのか。誰なのか。本当の名は。どんな人間だったのか。

『X-2 Antennaを盗むか』
 声が轟く。あのDr. Mobiusの声だ。どうやらこの場所は見張られていたらしい。
『まぁ良い手際だな。褒めてやろう。だがおまえが無事に帰ることは叶わん。なぜならわしの可愛いRobo-Scorpionsがおまえを八つ裂きにするのだからな!』

 CeciliaはすぐにX-2 Antennaを引っ掴んで塔の中に戻る。だがそこに、なるほど確かにこの形状ならRoboscorpionという名は適当だな、と納得したくなるような蠍型のロボットがいた。赤と黄色のツートンカラーは可愛らしいが、穏やかにその動きを見ている余裕はなかった。それは青白いビームを撃ち出してきたのだ。


 狙いが甘かったのか、紙一重ででそのビームは当たらなかった。だがビームの威力は壁の焼け焦げた跡で実感できた。
 逃げようとしたが、既に入ってきた地階の入り口は大量のRoboscorpionで塞がれてしまっている。Ceciliaは中階にあるもうひとつの出入り口からX-2を出た。

 外に出てすぐに、やはりRoboscorpionがいた。しかし一体のみだ。
 Ceciliaは咄嗟に、手にしたばかりのX-2 Antennaを振るった。Roboscorpionが弾き飛ばされ、火花を飛ばして動かなくなる。


(やった!)
 ビームの威力は高いようだが、耐久力はそうでもない。おまけにこのX-2 Antennaは重量もあって、Proton Axeより使い易いように感じる。これを使えば、逃げられる。

 そう思った瞬間、目の前のRoboscorpionが爆ぜた。
 自爆だ。


 咄嗟に顔と腹は庇ったが、破片が突き刺さった。

「死にたくない」
 Ceciliaは必死で歩を進めた。屋外にも大量のRoboscorpionが跋扈していた。ビームが乱舞した。Ceciliaは崖を転がり落ちるように逃げる。


「死にたくない」
 それにしても、ああ、どうして死にたくないんだっけ。
 Ceciliaには思い出せなかった。自分の本当の名前も思い出せないのだから、当然だ。

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