かくもあらねば/32/11
Cecilia
Lv. 15
S/P/E/C/I/A/L=4/10/4/5/8/6/3
Trait: Logan's Loophole, Wild Wasteland
Tag: E. Weapons, Science, Survival
Skill:
[S] M.Weapon=40
[P] E.Weapon=70, Explosives=30, Lockpick=50
[E] Survival=45, Unarmed=12
[C] Barter=20, Speech=19
[I] Medicine=40, Repair=30, Science=75
[A] Guns=16, Sneak=30
Perk:
[P] Plasma Spaz, Run'n Gun, Light Step
[E] Travel Light
[I] Comprehension, Swift Learner, Robotics Expert
[Other] Brainless, Heartless, Spineless
Equipment: Sonic Emitter, X-2 Antenna, LAER, Stealth Suit Mk2
壁を背にして息を殺し、通路の様子を伺う。徘徊するのはRobotomiteの脳を使って動くRobocobian。
『そんな緊張しないで、ねっ、一気に行っちゃいましょうよぉ』
緊張感のない声はStealth Suit Mk2のものだ。Robocobianには音声認識機能がないのか、でなければStealth Suit Mk2のテストなので、その声は無視するようにできているのか、ありがたいことに賑やかな声を聞いても反応はなかった。
『ほらほら、いま行けますよ! 行っちゃえ行っちゃえ!』
Stealth Suitとしてはサポートをしているつもりらしく、いちいちそんな進言をしてくるのだが、それが非常に邪魔だ。
誰かが傍に居るというのは心強いはずなのに、なぜこんなにも不快感があるのだろう。Roxieが居たときは、あんなに嬉しかったのに。
もしかすると、以前Ceciliaとともに行動をしていた人物というのは、Roxieのように無口な人だったのかもしれない。
(金庫だったら鍵くらい掛かってるもんなんじゃないのかなぁ………)
ようやく辿り着いた、テスト設定上の金庫を開けながら、そんなことを思う。金庫に入っていたのは、Stealth Suit Mk2の設定に関する書類だ。これでStealth Suit Mk2を使って、Dr. Mobiusの居る不可侵領域に行けるようになった。
Added: X-13 Document
『X-13に進入していたか、Robotomite……』
恒例のように、Dr. Mobiusの声が響く。Stealth SuitではRoboscorpionからは逃げられないだとか、ここがおまえの墓場だとか、定例の台詞を言ってくる。
出現したRoboscorpion相手に、CeciliaはX-2 Antenbaを振るってX-13を脱出する。
『Dr. Mobius、われわれはSonic Emitter、Antenna、Stealth Suitを手に入れたぞ。おまえもこれで終わりだ』
外に出たところで、違う声が響く。Think Tankの、Dr. Kleinの声だ。
『馬鹿なことを、Klein。わしが居るのは不可侵領域だぞ。おまえたちに到達することは叶わん』
『そうだろうな、Mobius。だがわれわれのRobotomiteは違うぞ』
その当のRobotomiteであるところのCeciliaは、追い詰められていた。X-2を出たところまでは良かったが、そこでも大量のRoboscorpionが待ち構えていた。おまけにCyber DogやNightstalkerまでもが追いかけてきて、戦いようがなかった。
(頭、痛い………)
逃げ続けていると、いつのまにか広けた場所に出ていた。RoboscorpionやCyber Dogも近寄ってこない。なぜだろうかと見回してみると、その理由が理解できた。Big Mtをぐるりと囲むように設置されている鉄塔の包囲網の外に、Ceciliaは出てしまっていた。
きぃんと頭の中で金属が響くような耳障りな音がする。立っていられなくなる。Dr. Dalaは、Ceciliaは逃げられない、と言っていた。
「このまま、死んじゃうの?」
そんな声も、言葉にはならずに消えた。
目を覚ましたときには以前と同じように、Think Tankの展望台に立っていた。荷物を確かめるが、Sonic Emitterも、X-2 Antennaも、Stealth Suit Mk2も無事だ。どうやら鉄塔の外で倒れると、そのままThink Tankに運ばれるらしい。たぶん、鉄塔の外に出てTesla Coilの機能が停止したCeciliaは、異物と見なされないため、Cyber DogやLobotomiteの敵対対象とはならず、重要物資として回収されるのだろう。
とりあえず、目的の物が手に入ったということをDr. Kleinに報告に行く。
『そうか、では不可侵領域に行け。Mobiusを倒せ』
とkleinの返答は短かった。
「あの、ちょっと質問いいですか?」とふと気になったことがあって、Ceciliaは尋ねてみる。返答はなかったが、続けた。「このアンテナとかがあると、どうして不可侵領域に入れるんですか?」
『不可侵領域には、人間の脳と、脊髄と、それに心臓が必要だ。だから………』
Kleinのその言葉の先はなかった。
Ceciliaは思いついて、言ってみる。「もしかしてこのX-2 Antennaは脳波を模したパターンを作りだすためのものでは?」
Challenge: Science≧65→Succeeded
『たぶん、そうだろう』
とKleinの返答は曖昧なものだった。
「じゃあ、Stealth Suitが心臓の代わりになって、Sonic Emitterは背骨の代わりになる……、だからあなたがたの言う、不可侵領域に入れる、と、そういうことなんですね」
『そう……、そうだ。それで………』
とまたKleinの言葉が続かなくなる。
「それで?」
『いいか、これは非常に複雑なことなんだ。Robotomiteごときに理解できることじゃあない。それより、早く不可侵領域へ行け』
そんなふうに、ほとんど追い出される格好でThink Tnakから旅立つことになった。
(まぁ、いいか)
べつにどんな機能であれ、Ceciliaとしては己の過去を取り戻せさえすれば良いのだ。Dr. Mobiusを倒して。
言われたとおりにBig MT北にある不可侵領域に向かおうとしたCeciliaだったが、待っていたかのようにRoboscorpionが3体、Think Tankの正面で砲塔を構えていた。
これまでも何度も戦ってきているため、Roboscorpionの対処に慣れてはいるのだが、それでもエネルギー光線を喰らってしまった。Sonic Emitter用のEnergy Cellの残量やStimpacの数も不安があるため、一度The Sinkに戻って装備を整えることにした。
Central Unitで装備を整えていると、何か音がした。床に硬質の物が落ちたような、硬い音だ。心臓や脊髄が保管されている部屋からだった。あの部屋には、何も落ちるようなものはなかったはずだが。
そう思って確かめに行くと、心臓の前で、銀色の銃を拾い上げる女の姿があった。
Ceciliaが入ってきた物音に気付いた女が顔を上げると、その銀色の髪が揺れ、琥珀のような緑色の瞳が覗いた。
「Kuto?」
「え?」
銀髪の女、Kutoは明らかに驚いた様子であったが、それよりもCeciliaのほうが驚いた。
(わたし……、この人のこと、知ってる………)
だが目の前の女とどんな関係なのか、そしてなぜKutoはCeciliaが彼女の名を呼んだのを聞いて驚いた表情になったのかが解らない。
そしてもうひとつ気付いたことがある。
(あの心臓は……、わたしのじゃない)
Kutoが眺めていた心臓、あれはKutoのものだ。Ceciliaのものではない。なぜだかそれが、直感的に解ったのだ。
わたしの心臓は、わたしの心臓は………。
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