展覧会/『War of Brains』/Season Blast フレーバー&ストーリー考察(後編)
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純粋にお金のために闘いし乙女
おとぎの国のキャラクターが平和に暮らす国「ワンダーパーク」
ヒーローもヒロインも悪者も、ここではみなが仲良く暮らしている。
中心にあるお城では、裸の王様が国の平和を守っていた。
毎朝、王様は謁見の間に現れ、みなの陳情に耳を傾ける。
「仔ヤギが柱時計にハマり込みました」
「仔ブタのレンガが一個たりません」
「オオカミがまた井戸に落ちました」
うむ! この我輩にまかせておけ!
すぐさま仔ヤギを救出、仔ブタにはレンガを与え、オオカミを井戸から引きあげる。
そんな調子でワンダーパークは平和だった。
そんなある日、「眠れる森の姫が起きました!」という一報のもと、おとぎの国のキャラクターが次々とバグ化する事件が発生。
次第に国の存亡をゆるがす事態に発展する。
この事態を解決すべく、
便利屋アリスの物語がいま始まる。
MAGNA世界では王子さまの接吻によってしか目覚めないはずの『眠れる森の美女』が《覚醒妖姫 モニー》として目覚めたことをきっかけとして、物語世界ワンダーパークの物語住民に次々とバグが生じ、6人の乙女のうちのひとりである《守銭少女 アリス》がそれを解決しようとする、というのがおおよそのあらすじである。
物語を歪めようとしている存在は《流行感染 ワンスアポン》、《感染暴走 ウラシマ吾郎》、《彷徨の艶女 キジモナカズバ》などが存在する。《ウラシマ吾郎》は明らかに『浦島太郎』で、となれば《ワンスアポン》あたりにも元ネタがあるのだろうか。ワンスアポン……Once upon times……まさかタカラトミーは『荒野の用心棒』『ウェスタン』などのマカロニ・ウェスタンで知られるセルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・タイムズ』をキャラクター化したというのか。違うか。違うな。
《ワンスアポン》はさておき、気になる存在は《キジモナカズバ》である。見た目やフレーバー(物語の中で不幸な結末を辿っている)からは『鶴の恩返し』のような気がしないでもないが、雉なのに鶴とはこれいかに、という気もしないでもない。
そんな《キジモナカズバ》に関していえば、ニュートラルに似た名前のユニットが存在する。
明らかに同一人物であろうこのユニットとMAGNA世界のユニット。この二者を関連づけるためには、上位世界を覗きこまなければならない。
正義と秩序のため闘いし乙女
全ての物語線を見守る組織「OWS (Organization for World Sheets)」
この組織のボスであるボグズは常にすべての物語線が問題なく進行しているか監視し続けている。
最近、物語を変えてしまうという「物語修正主義者・ノヴァリスト」達の活動が活発になっており、彼の右腕のプリノウズの予知能力を頼りにノヴァリストの活動を抑止することが多くなってきており、ボグズは神経を尖らせていた。
そんなある日、ある物語から不穏な動きがあるとプリノウズが予言する。
予言した少女プリノウズの物語がいま始まる。
NEUTRAL世界は物語監視者OWSと物語修正者ノヴァリストたちの対決の物語であり、6人の乙女のうちのひとりである《予言システム プリノウズ》はOWSに所属している。
その対決そのものはさておくとして、注目すべきはOWSのボスである《次元を見守りしもの ボグズ》の衝撃的なフレーバーである。
ここで重要なのは、《次元を見守りしもの ボグズ》のフレーバーの中で「MAGNA」という用語が出てきていることである。「ワンダーパーク」で異常が出ている、という言い方ではなく、「MAGNAで」怪しい動きがあったという表現は非常に大きな意味を孕む。
Season Aの考察の最初に見た通り、ウォーブレの世界は最低でも三層の領域を持つ世界観となっている。もっとも上位層に位置するのが現実世界、下層に位置するのが獣が跋扈したり、プログレスたちが戦っていたりといったカードの中に描かれている世界、そしてその中間に位置するのがWar of Brainsというゲームを通して各国が代理戦争を行っている近未来世界。
- 上層 - 現実世界 - 現実に存在する人々
- 中層 - LAPIS、SHEDO、TAOSINなどの国々が代理電子戦争を行う世界 - MEIYO、WHITEなど
- 下層 - パノプティコン、イデアなどの国々が存在する多種多様の物語世界 - 八重、ウィットフォードなど
ワンダーパークは明らかに下層に存在する世界である。ではその上位存在であるOWSが存在しているのは中層世界なのか?
もうアレすぎて脳内から消し去ってしまったかもしれないが、ストーリーモードを思い出してみてほしい。ストーリーモードの話は中層世界に関するもので、ナビゲーターたちはプレイヤーを中層世界の代理電子戦争(兼単なるゲーム)に参加するプレイヤーとして扱っていた。
その中のLAPISのストーリーモードではバグが発生し、《戦士見習い ニボ》などの下層世界のキャラクターたちの存在が歪められていた。これはワンダーパークで起きた出来事にも似ているようにも感じる。
だが《ボグズ》らOWSやノヴァリストといったBシーズンNEUTRAL存在を中層世界の存在とただちに断定してしまうと、問題が起こる。中層世界でもウォーブレはカードゲームなのだが、基本的に中層世界の存在であるナビゲーターたちはそのカードゲームやカードそのものを理解しているということだ。もし《ボグズ》らがナビゲーターたちと同じ時空間に生きる存在であるなら、同一の世界線に存在している《ボグズ》らをカードとして認識できなくなってしまう。
ありそうなのは、OWSとノヴァリストたちの戦いは中層世界では現実のことだが、NEUTRALのカード群はあくまでそれをモデルとしたものであるという可能性だ。
つまり、Aシーズン時点では中層世界では実際にOWSとノヴァリストたちの争いが繰り広げられていて、それがAシーズンのストーリーモードに影響していた。が、現在はすでにその争いは鎮火したため、Bシーズンで新たに発売されることになったカード群に中層世界で実際に起きた争いをモデルとしたカードが組み込まれた、ということだ。
この考え方が効果的だと感じるのは、ナビゲーターたちもカード化されているからだ。(ナビゲーターたちにとっての現実世界である)中層世界をモデルとし、カード化するという発想は間違いなく行われている。
また《ボグズ》を配置したときのエフェクトでは各国家にSHINO、ANILAといったナビゲーターたちの名前も表示されており、《ボグズ》側から中層世界のナビゲーターたちを理解しているということも理解できる。各国のパーセンテージはノヴァリストたちの侵攻率だろうか。
であれば、あの悪評ばかりだったストーリーモードの今後の展開は、Bシーズンの世界観に十分影響しうるということになってくるのかもしれない。
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2 件のコメント:
「キジも鳴かずば撃たれまい」が元ネタと思います
コメントありがとうございます。
>「キジも鳴かずば撃たれまい」
諺としては知ってはいましたが、そういう童話があるのは初めて知りました。調べる限りだと信州の民話ということなんですが、これは有名だったりするんでしょうか。他の童話民話に比べるとマイナーな気がして、やっぱり気になってきます。
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