小屋の奥で金属が擦れ合う音が聞こえる。顔を覗かせたのは、光を照り返す曲線で縁取られた金属の顔、4人のBOSのPaladin。


「他の組織に技術や知識を洩らすことは禁じられている」
 Veronicaよ、これはおまえが招いた罪だ。そう言ったBOSの声は、バンカーを出たところでKutoたちを取り囲んだものと同じものであった。
「最後に言い残すことはあるか」とBOSのPaladinは銃を向けてのたまう。
「自分じゃ気付いてないかもしれませんけど、あなたたち、かなりの悪者ですよ」とKutoは言ってやった。「そのヘルメットの下もきっと悪人面で、デートのときも被ってないと駄目なんでしょうけど」
 ヘルメットの下、BOSが青筋を立てて怒っているのを感じた。まったくご苦労なことで、彼は大袈裟な身振りでKutoの言葉を受け流し、「Veronicaは?」とKutoから視線を逸らした。

 ここには、と言ってVeronicaは見開かれたAlevarezの瞳を閉じ、立ち上がる。 
ここでは人間が生きていた。お日さまの陽を浴びて人のために働いていた。あんたたちは、人間じゃない」



「手伝うだけ手伝ってもらっちゃって、ごめんね」
 Veronicaは疲れた表情で礼を言ってきた。Kutoも疲れていて、それは慣れぬ肉体労働をしたからだが、Veronicaのほうは肉体的な疲労というよりは、精神的な疲労のためだろう。
 Followers of the Apocalypseの小屋の傍に墓を作り、そこに死んだFollowersとBOSの死体を埋葬した。BOSのやつらはその辺に放り出しておけば良いのに、とはKutoは言わなかった。代わりに、「手と肩と腰が痛い」と言った。
「マッサージしてあげようか?」とVeronicaが卑猥に指を動かす。無視した。
「で、これからどうするの?」


その辺をぶらぶらしようかな……。BOSには戻れないし、うん、今回のことで、Followersには迷惑かけちゃったし。BOSに襲われることになったのは、わたしのせいだもんね。だから、ちょっとその辺の組織とは縁を切って、ひとりで頑張ってみようかな、って思って」
「そう」
 じゃあ、頑張ってね。そう言ってKutoは別れた。Veronicaは疲れた様子で、しかしながら空元気で手を大きく振ってくれた。

(ま、無理矢理連れてきても使い物にならなかっただろうし、仕方ないのかな)
 Veronicaがいないことによる戦力の低下よりも、色々と策を練ったにも関わらずどれも功を奏すことなく、無駄に時間だけを使ってしまったということのほうが問題かもしれない。


 KutoはBOSのバンカーに戻った。もちろんそのまま入れば、BOSと敵対関係になってしまったKutoは攻撃を受けてしまうので、Stealth Boyを使った。

Aid: Stealth Boy(迷彩効果、Sneak+100)

 BOSにいる間に把握した重要人物の居所を周り、その持ち物からキーカードを抜き出す。
(この人にはついでにおまけもしておこうかな)
 Elder McNamaraの懐からキーカードを盗む際、信管を抜いたFrag Grenadeを代わりに突っ込んでやった。


 背後での爆発音を聞きながら、KutoはBOSのバンカーの最深部を目指した。Elderが爆殺されたことによってバンカー内部は慌しく、気付かれずに進むのは楽なものだった。
 最深部のコンピュータに辿り着くと、Kutoはバンカー自己崩壊のためのプログラムを走らせ始めた。おそらくこの場所を放棄するときのためのものなのだろう、責任者たちのカードキーをすべて集めて、初めて作動するプログラムだ。


 KutoがBOSのバンカーを訪れた目的のうちのひとつは、Veronicaから来てくれるようにと言われたためだが、もうひとつの目的は、CaesarからBOSの壊滅指令が出たためだ。BOSの内部把握や偵察のため、KutoはBOSに協力しているように見せかけていたのだ。最終的に敵対することになったのは計算外であったが、それでも内部の構造や人間関係の把握などは楽になった。
 自壊プログラムが作動を始める。


 何が起きたのかも解らずに戸惑うBOSたちを背後に、Kutoはバンカーを去った。地下の小空洞に出たところで、背後から爆発音がした。もはやひとりとして生き残りはいないだろう。バンカーの外に出ていて難を逃れた隊員もいるかもしれないが、BOSが仲間を増やすことができないのはVeronicaが証明済みだ。BOSという組織としては、もはや問題にならないだろう。
「さて、戻ろうかな」
 Kutoは階段を上がり、Hidden Valleyの砂漠に出る。今日は珍しく風がなく、砂漠は晴れ渡っていた。


 ああ、良いお天気、とKutoが伸びをしたとき、その声は発せられた。

「動くな」

 聞き慣れたというわけではない、しかしはっきりと耳に残るその警告は、以前も聞いたことがあるものだ。
 砂漠を踏み越えてやって来る声の主に、Kutoは両手を挙げた格好のままで言い返した。
「Nellis空軍基地以来ですね……。お久し振りです、牧師さま

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