1245年3月27日
5日目
臥竜、里見水軍に身を預けること

名 黒川十兵衛
性 大柄な男
力量 5
属性
体力15, 敏捷9, 知性7, 魅力6
技能
【体力】 鋼の肉体1, 強打2, 強投1, 弓術5
【敏捷】 武器熟練2, 盾防御0, アスレチック1, 乗馬2, 馬上弓術1, 略奪2
【知性】 訓練0, 追跡術0, 戦略0, 経路探索1, 観測術0, 荷物管理0, 治療0, 手術0, 応急手当0, 技術者0
【魅力】 仏門4, 芸能0, 統率力1, 取引0
熟練度
弓121, 投擲74, 長柄武器64
具足 傷んだ弦月前立付当世筋兜, 足軽胴, 重厚な小手, 脚絆
武装 十文字槍, 五郎入道, 半弓, 大袋入りの雁股矢
馬 重い荷馬
仲間 文左衛門
敗北数 0

 旅籠で向かい合って酒を飲むものがある。
 ひとりは隻眼の黒川十兵衛。そしてもうひとりは彼が江戸城で出会った男、名を文左衛門といい、江戸城の元守備頭であった人物である。

「どうだ、言った通りだっただろう?」
 と文左衛門が景気良く酒をあおるいっぽう、黒川十兵衛の表情はどこか険しい。
「ではあったが……」

 黒川十兵衛は念願の武士になった。
 安房国(現在の千葉県南部)、久留米城にて、黒川十兵衛は里見家の頭首である里見義尭に忠誠を誓った。


 だから、そう。確かに武士になったのだ。
 それもこれも、確かに文左衛門のおかげだ。江戸城で出会った彼は、黒川十兵衛の弓術の技を見込み、里見家が弓の強者を求めているという話なので、やりようによっては録を授けてくれるかもしれないと持ちかけてくれたのだ。
 実際、肩透かしするほど簡単に、黒川十兵衛は武士になれた。任地は無いものの、武家に忠誠を誓うのだから、武士に違いない。

「ではあったが………」
 黒川十兵衛の表情が暗いのは、先日の土気城攻めのことが関連していた。敵対する千葉家の城を攻めたのだ。700の兵で100と僅かの兵しか籠らない城を攻める。簡単な話であり、里見家は簡単に土気城をものにした。


土気城攻城戦
里見家(731名) 対 千葉家(124名)
勝利

(だが、わしは………)
 十兵衛はその戦で、何の役にも立たなかった。少なくとも十兵衛自身はそう思っている。
 兵が役立たずだったのは仕方がない。十兵衛の手勢といえば30名に満たないほどであり、十兵衛と文左衛門以外は城攻めのために集めた急ごしらえの兵隊であった。
 それは、仕方がない。


 だが、十兵衛自身が仕留めた敵にしても、わずかに2人。
(わしは………)
 十兵衛は弓の名手である。その技は、忍びの技といえる段階にまで昇華させたものである。
 だが忍びの技は忍びの技だ。狙撃も、曲撃ちも、早撃ちも、すべてが単独で行動しているときの技であった。

 戦場は違う。


 敵も味方も、恐ろしく多数の人間がいる。味方であったとしても、ひどく窮屈であり、邪魔だ。それゆえに十兵衛の技は役には立たなかった。
「大将が落ち込むのも解るがな、戦場ってのはそういうもんさ」などと文左衛門は嘯く。「だいたい武士の大将なんてのは、自分が戦うもんじゃねぇんだよ。後ろで胡坐かいて、支持でも出してりゃいいのさ。そのために必要なのは、金だね。領地がありゃ、少しはましになるだろうさ」

 文左衛門の言葉が正しいかどうかはともかく、領地があれば少しはまともになるというのは同意できる。領地がない武士など、ただの兵隊でしかない。
 とはいえ任官されたばかりの武士に配る領地などあるわけがない。

(やはり戦しかない)
 黒川十兵衛は旅籠を出、戦地に赴いた。


野戦
里見家(129名) 対 千葉家(85名)
勝利


 野戦である。
 未だ大した兵も雇えぬ十兵衛は、千葉家の兵と合戦中の里見家の武将に手を貸した。実力が拮抗していた合戦は、十兵衛の介入によって黒田家の勝利に傾いた。

「黒川どの、此度は救援、かたじけのうございました」
 十兵衛が手を貸した合戦は、主君である里見義尭の息子、里見義弘が指揮を取っていたものであった。


「忠誠を誓う武士として当然のこと」と十兵衛は丁重に答える。「拙者のような素性を知らぬものを迎えていただき、里見どのにはこのような戦程度では、恩を返しきれません」
「いえ、黒川どののような類稀なる弓術の持ち主はおりません。父も黒川どののような方を部下に持つことができて、誇り高いと思います」と義弘は言う。「それはそうと、父、義尭からの伝言なのですが、土気城の傘下にある村、東金をあなたに与えるとのことです」
「任地ですか」
「そういうことになります」

(領地……!)
 領地。領地。そう、領地だ。武士の誉だ。金の出どころだ。守るべきものだ。

 沸き立つ十兵衛に対して、里見義弘の顔はなぜだか暗かった。
 相手は未だ十代の若者である。表情の違いはわかりやすい。十兵衛はふと、甲賀卍谷の杉谷善住坊のことを思い出した。
「何か気になることでも?」と十兵衛は問いかけた。
「気になる、といいますか……」里見義弘は言い難そうに口を開く。「東金は略奪されたばかりの村です。しかも、略奪を働いたのは里見家の兵です」


 その略奪はおそらく、土気城攻めから千葉家の目を逸らすための策だったのだろう。
 だから十兵衛のことを、村民は受け入れないであろう。里見義弘はそう言いたいのだ。里見義尭が割り当てたのはそんな土地なのだ。そう言いたいのだ。

「それがどうした」
 それがどうした。
 十兵衛は村民がどう考えるかなどということは知らない。どうなろうかなどということは知らない。下々のことは気にも留めない。
 愛した女さえも捨てて、ただ立派な武士に、城持ち大名になるためだけにやってきたのだ。
 だから領地が反抗的な村であろうが、知ったことか。これを足掛かりに、出世への道を進むのだ。

 そう息巻いた。息巻こうとした。
 だが東金に向かう途中で千葉家の行軍に出くわした黒川十兵衛は、圧倒的な兵力差の前にその兵を打ち砕かれたのだった。

野戦
里見家(38名) 対 千葉家(128名)
敗北(敗北数1)

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