ホモというのは、どこか可笑しいかんじがする。

あなたがそばにいてほしい(小林瑞代/新書館)


 今回の記事で単純に「ホモ」と表記する場合、基本的に男性の同性愛者を指します。
 いちおう念のために書いておくと、べつに今回の記事は同性愛蔑視というわけではないし、逆に肯定するわけでもなくて、単に「なんか変なかんじがする」という経験的に蓄積された感覚を素直に書いていったものです。

 アメリカとかだと、ホモの男性はお洒落でかっこいいイメージがある、というのを何かで聞いたような気がする。ラジオか何かだっけ。
 曰く、アメリカからの留学生が、「日本人の男の人はいいね」と言って、なぜかと尋ねると、「ホモじゃなくてもお洒落だから」だそうです。
 この留学生というのが、実はホモの男の可能性もあるな、などと疑うときりがないので止めておきます。

(『あなたがそばにいてほしい』 p88より)


 日本だと昔からホモというのは珍しくなくて、たとえば戦国時代の武将だと寵童を囲っていたというのは有名な話。
 では海外(こういう書き方をする場合、多くは欧米を指す)ではどうなのかというと、こちらもべつだん珍しい話ではなく、たとえばオスカー・ワイルドなんかは同性愛の罪で投獄されたりもしたし、芸術分野では同性愛者も多い。少年愛の団体なんかもあったということです。

 で、その珍しくもないホモが、実際のところ海外でどういう扱いなのかは知らないが、少なくとも日本では「可笑しい」イメージがある(と思っていて)のは何故なのかな、と考えると、武家社会が破壊された影響なのかもな、と思わないでもないです。
 江戸から明治に移行する中で下級階級の人々が、かつての上層階級の人々を風刺する。その中でホモというのは格好の標的で、だからホモの存在はあげつらわれたのではないかな、と。

(『あなたがそばにいてほしい』 p91より)


 でまぁ、このようにつらつら書き連ねて来たことでわかるかと思いますが、『あなたがそばにいてほしい』はホモの漫画です

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(Amazonの内容紹介より)

 ところで関西で長話をすると、「で、オチは?」と聞かれるそうですが、話の顛末というのは大事です(この文章自体が急激な方向転換で、ちゃんとオチをつけなければならないなぁ)。

 話のオチをつけるというのは、存外難しいことです。
 そもそも物語は語る中で、常に語りが一定の方向へ向いているはずもありません。進めていくうちに、さまざまな方向に飛散するのです。
 もしそうしたばらばらの方向のベクトルをひとつの方向に収束させたとしても、それが面白いかというと、怪しいものになってしまうことも多々あります

(『あなたがそばにいてほしい』 p65)


 ただ個人的には、「終わり良ければすべて良し」だと思っています。

 じぶんの好きな小説や映画を考えてみると、ほんとにそういう「終わり良ければ」タイプのものが好きで、わかりやすいところだと三谷幸喜の『THE 有頂天ホテル』なんかが典型だと思います。
 べつだん大きく物事が進行したわけではないのだけれども、最後の最後で歌って踊って終わり。

それはまったくの誤魔化しで、過程を何もかもぶち壊すようなものだけれども、でも、そうあってほしいのです。

(『あなたがそばにいてほしい』 p94より)

 なぜかといえば、物事というのはそう上手くいかないものだ、と思っているからかもしれません。
 世の中、筋書通りにことが進むなんてことはそうそうありません。
 これはたとえば、「努力しても無駄なんだ」というのとは違うし、「いろいろ嫌なことがあるかもしれないけれど、ちゃんと努力している人は神さまが見ている」というのとも違う

 単に、納得できるかどうか、ということなのです。

(『あなたがそばにいてほしい』 p120より)

 努力してきた人間と、努力していなかった人間。どちらのほうがより良い結果に辿りつけるか?
 それはそのときの運や環境次第で決まります。努力すれば何もかもがうまくいくなんて、そんなことを思うのはティーンエイジャーか馬鹿でしかない。

 でも、もし同じ結末を迎えたとしても、あるいは努力した人間のほうが悪い結末だったとしても、それでも自分がやってきたことが正しいのだと思えれば、これで良かったんだと納得できるならば、最後の最後に笑えるならば、それはそれで良いのだ。

 『あなたがそばにいてほしい』で凄いなぁと思うのは、話を進めるにつれて厭なことは沢山あって、頑張って障害を乗り越えていっても、最後の最後まで上手くいかなくて、それでも「これで良かったんだ」と思えるような、そんな終わり方だからなのだと思います。

(『あなたがそばにいてほしい』 レビュー/感想)

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