あれは流れの音か
おや わが家のほうにやってくる
(チッペワ族 ミデの歌 『アメリカ・インディアンの詩』金関寿夫/中公新書 より)

Lynn
Lv. 10
S/P/E/C/I/A/L=8/3/10/5/4/8/2
Tag: Melee Weapon, Science, Unarmed
Skill:
[S] M.Weapon=45
[P] E.Weapon=10, Explosives=25, Lockpick=25
[E] B.Guns=31 ,Unarmed=75
[C] Barter=20, Speech=16
[I] Medicine=30, Repair=25, Science=69
[A] S.Guns=25, Sneak=25
Perk:
[S] Iron Fist
[E] Toughness, Strong Back, Lead Belly, Olympian
[Others] Lawbringer, Charge!, Lady Killer, Tackle, Track Star, Power Armor Training (BA)
Equipment: Gauss Rifle, Jingwei's Shock Sword, Trench Knife, Merc Charmer Outfit, Biker Goggles
Resist: 20%
Rad: 210 (Minor Rad Poison; -1END, -5AP)

Rita
Lv. 10
S/P/E/C/I/A/L=5/9/4/6/4/10/3
Tag: Lockpick, Repair, S.Guns
Skill:
[S] M.Weapon=14
[P] E.Weapon=29, Explosives=30, Lockpick=80
[E] B.Guns=25 ,Unarmed=14
[C] Barter=30, Speech=38
[I] Medicine=36, Repair=60, Science=14
[A] S.Guns=80, Sneak=50
Perk:
[C] Child at Heart 
[I] Ammunition Engineer, Daddy's Girl
[A] Thief, Gun Nut
[Others] Black Widow, Gunslinger, Intense Training (STR), Fineness
Equipment: Browning High-Power Pistol, SIG Sauer Pistol, Silenced 10mm Alloy Steel Pistol, L86 LSW, M79 Grenade Launcher, Vault Exile


「死んでるな」
「死んでるねぇ」
 Capital Wastelandであるからには、死体のひとつやふたつ、転がっていたとしても、驚くべきことではない。


 場所はCapital Wasteland東部、Vault 108である。Brotherhood of Steel Outcastの前線基地にあったコンピュータに残された座標を探して辿りついた場所だ。
 幸いというか、既に場所が知られているのだから当たり前なのだが、入口は開いていた。しかも内部はだいぶん錆びついていて、開かれてからだいぶん経っているように見える。


 Ritaは己の装備、Browning High-Power PistolやSIG Sauer Pistol、そしてOutcast基地で手に入れたSilenced 10mm Alloy Steel Pistolの装弾数を確認した。

 Vaultの入り口で死んでいたのはRaiderだった。壁には生々しい血の跡があり、死体も腐敗が進んでいないことから、まだ新しいものであることがわかる。ほかのRaiderと仲違いしたか、でなければVaultの住人の反撃を食らったか、あるいはそれ以外の原因か
 ともかくとして、警戒しておくに越したことはない。


「おまえは大丈夫か」
 と、のほほんとした表情のLynnに対して、Ritaは問いかける。
「え?」
「武器とか」
「ああ、まぁ、たぶん……、いや、こんなの使えるかな」とLynnは背負っているGauss Rifleを手に取る。同じく、Outcast基地から持ち出してきたものだ。「もっと小型の扱いやすい武器のほうがいいんじゃ………」
「どうせ当たらないだろ。だったらいちばん威力がある武器を使ったほうが良い」
 接近戦もできないんだし、とRitaは付け足す。
 Lynnの格好はいつもの Merc Charmer Outfitで、Power Armorは脱ぎ捨ててしまっていた。べつだん、趣味じゃなかったから、だとかいう理由ではなく、古いものだったためか、少し動かしたら使えなくなってしまったのだ。ほかの武器類は普通に使えるので、もしかすると40mm榴弾の直撃を食らったのがいけなかったのかもしれない。
 
 そういうわけで、Ritaは武器庫の中にあった、最も威力が高そうな武器、Gauss RifleをLynnに渡した。彼の腕前では命中させるのは困難だが、どうせ何を使っても当たらないことは、Operation: Anchorageのシミュレータで分かっている。ならば万が一当たったときのために、威力の高い武器を持たせておいたほうがマシというものだ。

 視界の隅で何かが動いた。Ritaは反射的に武器を構え、Lynnも遅れて構えた。
「Mole Ratだ」
 物陰から現れたのは、だぶついた皮膚の獣だった。そう脅威ではないが、人間を見れば襲い掛かってくる。RitaはBrowningを一発撃った。一撃でMole Ratは頭から血を吹いて倒れた。


「Mole RatでRaiderが殺されるとは思えないな」
 とBrowningをホルスターに収め、Ritaは呟く。Lynnも頷いて同意した。

 慎重に進んでいく。
 すぐに異変があった。錆び土地と汚物だらけの通路に、Vault Suitの青が目立って見えていた。骨に埋まったそのVault Suitに近づけば、服だけではなく、身体があった。人間の死体だ。周囲の死体は白骨化しているが、それだけまだ新しいように見える。


 性別は男で、年齢は見たところ20代だろうか。
「Pip-Boyを着けていないな」
 死体を検分して、Ritaは呟く。見た目はVaultのそれだが、このVaultはPip-Boyが存在しないVaultなのだろうか。Pip-Boyの代わりに、左腕には「42」という刺青があった。

 意見を聞こうとLynnのほうを見れば、彼は死体の顔を凝視していた。
「なんだ? 見覚えがある顔なのか?」
「いや………」Lynnは言い辛そうに唇を濡らしてから、「この人、Outcastの死体と似てないか?」と言った。

 Ritaは死体の顔をもう一度見る。地中海出身のような肌の色で、目の色はグリーンだ。Outcastの死体は薄汚れていたうえに腐敗が進んでいたが、いわれてみれば似ているような気がしないでもない。
「きょうだいか何かかな」
「うーん………」
 とLynnは何処か納得がいかない様子だった。

 さらに進んでいく。
 と、Ritaは手を出してLynnを制した。人の気配を感じたからだ。通路の十字路を見れば、ぽつねんと男が立っていた。


 背を向けているため、表情は判然としなかったが、Vault 108に入ってから初めて出会う生存者だ。LynnとRitaは互いに目配せをした。
 刺激せぬよう、ホルスターに銃を収めてから、ふたりは男に近づいた。

「Gary」
 発せられた言葉は、振り返った男の口から漏れ出たものだった。
 はじめ、Ritaは男が何を言ったのか理解できなかった。
 次に、ここはそういうVaultなのかもしれない、と思った。Vaultというのは、Vault-Tecによる様々な実験が施された場所なので、ここでは英語以外の言語が実験的に使われていたのかもしれない、と。


 だが男がナイフをRitaに向けたときには、そうした考えが平和的すぎるのだと理解できた。

 ナイフがRitaの腹を切り裂かなかったのは、男が吹っ飛んでいたからだ。胸にGauss Rifleの一撃を受け、Vault Jumpsuitは壁まで吹っ飛んだ。
「Gary」
 まるで断末魔のように、男の声が発せられた。


「おまえ………」
 振り返ってLynnを非難しかけたが、踏みとどまった。理由はふたつあって、ひとつは彼が助けてくれなかったら、Ritaが刺されていたからだ。
 そしてもうひとつは、Lynnの背後にVault Suitを着た男が迫っていたからだった。
「Gary」
 その男も、最初の男と同じ言葉を発した。
 いや、言葉だけではない。その姿、その形、その声。胸に弾丸を受けて倒れるその様。その血。その肉。


「なんなんだ、こいつら………」
 息を荒げて、Ritaは抜き撃ちしたBrowningをホルスターに戻す。
 Ritaは信じられない想いで、自分とLynnが撃った死体の顔を見た。同じ顔。同じ顔だ。まったく、瓜二つ。双子? いや、入口付近の死体も同じ顔だった。じゃあ、三つ子か? Outcast基地のも含めて、四つ子?
「こっちは41」とLynnが死体に近づいて呟く。「向こうは29だった」
「なに?」
「刺青だ。ここ、もしかすると………・」

「Gary」
 声がした。
 振り返れば、そこには大量のVault Suitを着た男たちが立っていた。
 すべて、同じ顔。同じ形。同じ声。

「Gary」


 Gary、Gary。
「Gary、Gary、Gary!」


 Gary、Gary、Gary、Gary………。

 頭がおかしくなりそうだ。


 死体の顔はすべて同じだ。


「な、なんなんだ、こいつら………」
 Ritaは殆ど半泣きで、喋る内容は言葉になっていなかった。

 彼女のこんな表情を見るのは、たぶんJefferson記念館以来だ。実際には、たぶんVault 101だとかで辛い目にあったものの、Lynnの前では怒りは露わにすることはあっても、悲哀を表に出すことは無かった。
 いまなら、たぶん頭を撫でたりだとかしても、殴られはしないだろうな、と思いながらLynnは声をかけてやった。
「たぶん、クローン発生装置があったんだろう。そういう実験がされていたVaultだったんだろうな」
 不思議とLynnの心は平静だった。まるで、この程度のことなど当たり前だ、とでもいうように。そんなふうに感じる自分が不思議だった。

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