◆目次



■ライトジーンの遺産


 天空神セゴナが創造した世界、レムリアナ。
 天空編1では導入、天空編2では【戦導姫】が現れたものの大きな動きが無かったこの世界で、ついに物語が動く。
 その火種がとある浮き島に現れたとき、物語の紡ぎ手たる少女——セレネカは聖砂王国ティルダナでパンを焼いていた

 セレネカ。偉大なる聖騎士である祖父を持つ、ティルダナのパン屋の娘である。
 これはパン屋の娘がパンを焼いていた手で剣を握り、そしてまたパンを焼く平穏な生活に戻るまでの物語である。


9-022R《異邦からの訪れ》
追手から逃れ降り立った世界……そこで倒れ込む直前、エルニィが発した大魂話術は、世界に神秘の声として響き渡った。

 のちに判明することになるが、この火種こそが浮き島に現れたときに発した言葉、『大魂話術』という魂に呼びかける奇妙な術によって、《勇愛の戦導姫 ぺネタ》などの【戦導姫】に語りかけ、光碧の玉を与えた者であった。


9-118R《瞳眠りの神秘湖》
ようやく眠りから覚めたエルニィが告げたのは、戦導姫たちが持つ光碧の玉……その巨大結晶こそが、女神の魂の欠片だという事実だった。

 だが【戦導姫】たちが光碧の玉を受け取り、才能を開花させて戦線に赴いていた頃、セレネカはまだパンを焼いていた。
 彼女がパンではなく剣を握るためには、浮き島の火種によって新たに開花された才能を捜しに来た《聖知の護神官 クロルト》の来訪を待たなくてはならない。

 ティルダナの大神官を若くして務めるクロルトは新たな才能を探すことに熱心だった。ある時を境にして、【戦導姫】のような光碧の力を得た人間が出現し始めたからだった。
 彼は己の法術の目によって、才能ある人物を選出していた。
 ――そしてその目に留まったのがセレネカだった。

 《聖求の勇者 セレネカ》となった彼女をリーダーとする組織、メルアンが直ちに編成され、浮き島探しのための船が選出された。
 選ばれた船は《聖求の旗艦 メルアンタ》。《神略の聖軍師 シェスナ》が直々に選んだ船であった。


9-024S《聖求の旗艦 メルアンタ》
シェスナの提言により、レーテの大型戦艦よりも、小回りが利き快速を誇る飛空艇を旗艦に選んだこと……それが、聖求の旅でセレネカらがゼスタールに一歩先んじた要因だった。

 シェスナが大型戦艦ではなく、中型戦艦を選出したのは他国よりも探索に先んじるためであったが、聖なる力を動力とするこの船こそがセレネカの力を最も生かすことができる船だということを理解していたからだろう。


9-020U《メルアン式光破砲》
セレネカが破聖の儀仗剣を天にかざし、天に祈りを捧げた次の瞬間……巨大な光の柱が、メルアンタの舳先からほとばしった。
(ハンドブックより)

 浮き島の探索を始めたセレネカたちは多種多様な人々に出会う。
 《翼刃の王 シュワルカ》。
 《剛力の空戦士 ジン・デ》。
 《美麗なる氷刃 ソニヤ》。
 彼女は持ち前の人懐こさで彼らを仲間へと引き入れていく。


9-110R《美麗なる氷刃 ソニヤ》
あそこの冬は退屈だし、窮屈な宮仕えはまっぴらだ! よし、腕の立つ姉さん、セレネカと言ったね? あんたにこの剣、貸してやろうじゃないか!

 そうして仲間を増やしながら旅を続けていたメルアンの一行は、とある浮き島を発見する。
 降り立ったその島には、ひとりの少女が倒れていた。

 周囲を魔法障壁で囲まれた中、まるで親鳥に見守られている雛のように眠り続ける少女は、セレネカらの手によって保護された。
 しばらくたって目を覚ましたとき、彼女は記憶の大部分を失っていた。

 覚えていることは僅かではあったが、彼女の言葉はメルアンに大きな衝撃を与えた。
 何者かに追われていたこと。 
 彼女が【戦導姫】らに光碧の力を与えた者であったこと。
 セゴナの遺産が隠された場所があるということ。
 

9-046R《心臓眠りの墓所森》
エルニィが世界に捧げた秘宝、セゴナの魂の欠片……、そのうち特に巨大な一つは、浮き島に隠された聖地の奥に眠っていた。

 少女は名乗った。エルニィと。


■主よ、人の望みの喜びよ


 ところで、太平洋の熱帯域では貿易風の東風が常に吹いており、海面付近の温かい海水が西に向かって流されている。海の水は基本的に上が温かく、下が冷たい。上の水が西に流されれば、下から冷たい水が湧き出してくる。
 ここでもし、何らかの要因で東風が弱まったとしよう。すると通常は西へ向かっていた温かい水が東へ伝わっていき、下からの冷たい水の湧昇が妨げられる。こうなると、温かい海水を求めて魚が移動することで漁業に大きな影響を与え、雲の発生位置やその微物理特性が変化することで気象にも影響が生じる

 近年では大気・海洋の相互作用が重視されるとともに、南方振動と関連付けられてエルニーニョ・南方振動(El Niño-Southern Oscillation; ENSO)と一括されることも多いこの現象は、El Niño(エルニーニョと呼ばれる――スペイン語だとたエルが男性冠詞(英語では名詞に性はないがTheに相当)でニーニョが子ども(Child)、単なる子どもではなくイエス・キリスト、すなわち「神の子」である。
 エルニーニョ現象は原因と結果だけを見れば風と水温の変化に過ぎないが、それが与える影響は太平洋全域に及び、遠隔地にも影響を及ぼすテレコネクションである。

 レムリアナに突如として出現した少女、《神告の秘使者 エルニィ》の力はエルニーニョと同様、世界へと広がった。
先に述べたように、【戦導姫】となった《勇愛の戦導姫 ペネタ》に代表される少女らに光碧の力を与え、セレネカの力を目覚めさせた。

 そして何者かに追われて記憶を失いながらも、己を保護するであろう《聖求の勇者 セレネカ》に出会ったのだった。
 セレネカらメルアンにとっても、彼女との出会いは幸運だった。というのも、彼女は記憶を失いながらも、セゴナの遺産に関してだけは覚えていたからだ。


9-005U《砂エルフの偵察兵》
浮き島にある不思議な遺跡をまっさきに見つけたのは、優れた目を持つ砂エルフの斥候だった。


 目的の遺跡は《砂エルフの偵察兵》によってすぐに見つかった。
 浮き島の奥深くにある遺跡の中にあった大壁画。それこそが、セゴナの欠片が眠る場所への門であったのだ。


9-021C《浮き島の神門壁画》
浮き島の奥深く、古き遺跡に隠された大壁画は、神秘の小世界に通じる門でもあった。
(ハンドブックより)

だが同時刻、独自のルートによってその壁画に辿り付いた集団があった。浮き島探しはメルアンの独走ではなかったのだ。
 黒き船、《魔導戦艦 ゼスタナス》の甲板から、銀髪の男が眼下にある遺跡を見下ろしていた。彼は呟いた。骨が折れるな、と。 


9-076C《ゼスタムの戦闘員》
伝説の浮き島を見つけたはいいが、次はメルアンとの争いとは骨が折れる……文字通りな。


■心地よく秘密めいたところ


 男の名は《魔血の破戒騎士 ゼスタール》。その二つ名の通り、彼はレーテの暗黒騎士でありながら、その道を破門とされた人物である。

 これまで《レーテの浮き島探し》のフレーバーで述べていた通り、レーテの頭ともいえる慟哭城の主は、伝説の浮き島についての情報を手元に置きながら、その探索については積極的ではなく、他勢力との小競り合いを繰り返すばかりであった。


B9-080S《魔血の破戒騎士 ゼスタール》
慟哭城の主すら、その野心とティルダナへの対抗心を抑えることはできなかった。彼は最新の魔導戦艦を奪うと、付き従う者たちとともにレーテを離反し、孤独な航海に旅立った。
(ハンドブックより)

 だがゼスタールはそれを良しとせず、レーテで絶対的な権力を持つ慟哭城の主に反逆。《魔戦技の異端姫 シェネ》や《沈黙の黒牙 ザ・ジ》を従えてゼスタール派――ゼスタムと称し、ついには新造船、《魔導戦艦 ゼスタナス》を奪って出奔したのだった。


9-082R《魔戦技の異端姫 シェネ》
オセロテ族の中での居場所を失ってまでも、ゼスタールに付き従うことを選んだ……それが彼女たちが背負った宿命だ。

 競うように《浮き島の神門壁画》を通して船ごと門を潜ったメルアンとゼスタム。その先には3つの小世界が広がっていた。

 《異界森の守護精 アデルタ》の守護する異界森。
 《聖炎山の守護龍 ヴァナ・ズー》の守護する聖炎山。
 そして《氷魔界の守護王 ガスタルフ》の守護する氷魔界。


9-058C《聖炎山の燭台番》
神門の壁画を通じ、セレネカとゼスタールが送り込まれた異界の火山……そこに待ち受けていたのは、異形の守護者たちだった。

 セゴナの遺産を動かすための大いなる魂の欠片を守護する彼らは、セゴナの欠片を受け継ぐにふさわしいかどうか、セレネカとゼスタールに試練を与える


9-121S《神告の秘使者 エルニィ》
さあ、目覚めし者たちよ、私とともに!
女神の魂の欠片を三つ集めることで、奇跡は舞い降ります。
そのときこそ、この天空世界に迫る邪謀の力は大きく削がれましょう!
(ハンドブックより)

 この3つの欠片を集めることで、ついに最終兵器《大翼神像 セゴナ・レムリアス》が起動する。

 果たしてセゴナの遺産を手にするのは産まれながらに祝福された勇者、《聖求の勇者 セレネカ》か、それとも己の力で伸し上がった暗黒騎士、《魔血の破戒騎士 ゼスタール》か。


B9-122S《大翼神像 セゴナ・レムリアス》
「ああ、あの厳粛で神々しい姿! 今、聖求の旅が終わる……この天空世界の歴史が動くのね……!」
~ティルダナの勇者 セレネカ~
(ハンドブックより)

■ドレイクの方程式


 ここまでが天空3のストーリーのあらましだ。
 だがとあるフレーバーに書かれている内容は、ストーリーや他のフレーバーではまったく触れられていない、とある世界の謎を暗喩するものである。



9-038R《虹毛の宝石かじり》
「これは、ルバルスに住む小動物に似ている……もっともこいつらは、より多彩な魂石を好むようだが。」
~異邦の冒険者 テルマ~

 《虹毛の宝石かじり》のフレーバーに登場する人物、《異邦の冒険者 テルマ》。この名は既に《緋色遺跡の黄金斑》で登場している。
 が、《緋色遺跡の黄金斑》のフレーバーと明らかに違うのは、彼が述べている単語にある。

 ルバルス。

 その名は《ルバルス鉱山》や《ルバルスの宝飾士》で登場している地名であり、彼の述べている小動物というのは《ルバルスの宝石かじり》で間違いなかろう。それは、いい。それは、理解できるのだ。
 問題は、なぜ彼が『ルバルス』という地名を、《ルバルスの宝石かじり》の存在を知っているのか、ということだ。

 異邦というのは、呼んでそのまま異なる邦(クニ、国)のことだ。異国といえば現代であれば海ひとつ隔てた場所のことを指すが、たとえば統一以前の戦国時代なら現代でいう県はひとつの国であり、貨幣や言語も違う場合もあった。
 ではこの場合、具体的にはどこか?
 この世界で、異邦という単語は既に登場している。《異邦からの訪れ》だ。このとき訪れたのは、《神告の秘使者 エルニィ》であった。
 ではテルマも、エルニィと同様の場所からやって来たのだろうか?
 いや、そもそもエルニィは何なのか?

 先に述べたように、エルニィという名前がエルニーニョから来ているのであれば、すなわち彼女は神の子ということになる。
 では神とは何かといえば、セゴナだとか、ザインだとかよりも、もっと身近な存在として、アトランティカ第6弾で登場した【継承神】たちがいる。

 《光継の神龍王 ラ・ズー》らも、セレネカやゼスタールと同様に出現した門を潜り、試練を乗り越えた結果として精霊神となってアトランティカに戻ってきた
 であれば、セレネカやゼスタールの受けた試練もまた、神になるための試練に通じるものなのだろうか?


9-041U《アデルタの地還縛》
すべてを地に帰そうとするアデルタの試練……それは、聖地に踏み込む意志を示した者にのみ襲いかかる。

 だとすれば、アトランティカもレムリアナも、「神になる・神の力を手にするための試練」の場所は共通であり、《異邦の冒険者 テルマ》はその場所を通って試練は受けたものの、神に成り損ねたような存在なのかもしれない。

 何にせよ確実なのは、アトランティカを知る存在がレムリアナに居るということだ。
 ――近いうちにレムリアナとアトランティカが出会う日が来るのかもしれない。


2015-09-13:追記

 《異邦の冒険者 テルマ》だが、その名前はラストクロニクルショートストーリー『希望の地宝の章』に登場していた。
→ストーリー|Last Chronicle

 彼は《トレジャーディガー マルカ》の父であり、冒険でアルバネスの村を訪ねた際、作動した《古き精霊門》から案内人を庇い門の中に飲み込まれてしまったのだという。
 《古き精霊門》はアトランティカとは別の世界に通じているという伝承があり、実際その効果はCAヤードと戦場を繋ぐ効果である。CAヤードと戦場を繋ぐという点は、《異邦からの訪れ》や《異界森の守護精 アデルタ》に似ており、この門を通ることでアトランティカやレムリアナといった下層世界から、それらを繋ぐ上位世界に移動することができるのであろう。


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2 コメント :

  1. テルマさんはトレジャーディガーマルカのお父さんだってショートストーリーで書いてあったよー。

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    1. コメントありがとうございます。

      >テルマさんはトレジャーディガーマルカのお父さん
      あ、ほんとですね。情報ありがとうございます。
      その辺の周り追記しましたー。

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