Scientific Pursuits

ずうっと向う 東の方で
まるで母親が赤ん坊の世話をするみたいに
雨雲が 幼いトウモロコシの世話をしている
だいじに だいじに だいじに だいじに
世話をしている
(「雨雲が幼いトウモロコシの世話をする」ホーピー族の歌 『アメリカ・インディアンの歌』より)

Lynn
Lv. 7
S/P/E/C/I/A/L=8/3/10/5/4/8/2
Tag: Melee Weapon, Science, Unarmed
Skill:
[S] M.Weapon=51
[P] E.Weapon=10, Explosives=25, Lockpick=25
[E] B.Guns=21 ,Unarmed=55
[C] Barter=16, Speech=16
[I] Medicine=23, Repair=21, Science=51
[A] S.Guns=25, Sneak=25
Perk:
[S] Iron Fist
[E] Toughness
[Others] Lawbringer, Charge!, Lady Killer, Tackle, Track Star
Equipment: Wattz 1000 Laser Pistol, Wattz 2000 Laser Rifle, Merc Charmer Outfit, Biker Goggles
Rad: 80


 Super Mutantが人間を捕まえようとする理由はふたつあると言われている。

 ひとつは食べるため。Super Mutantはもとは人間であったといわれている。生来の雑食性は忘れていないのか、何でも食べる。変異した双頭の牛だろうが、巨大化したゴキブリだろうが、成人男性ほどの大きさのある食肉植物だろうが、土だろうが、何でも。
 もちろん人間もその中に含まれている。単に食卓に乗る食材のひとつなのではなく、彼らが友人を呼んで屋外でバーベキューパーティーを開くほどの大好物なのだという評判だ。

 もうひとつの理由として、彼らは仲間を増やそうとしているのだという理由が考えられている。彼らはあるウィルスに感染したことでSuper Mutantと化し、生殖の機能を奪われた。
 しかし個体数を増やそうという本能は残っているのか、彼らは人間を連れ去って自分たちが浸かった水と同じものに浸そうとしているのだ、と。

 寡聞にして実際にSuper Mutantになったという例は聞かないが、バーベキューパーティーに招かれた結果、炙りチャーシューにされてしまったという話は何処でも聞ける。生粋のアメリカ人のSuper Mutantだけではなく、中国系のSuper Mutantもいるという良い例だ。

 だが中国系だろうがテキサス育ちのカウボーイだろうが、目の前にいるのがSuper Mutantであるという事実を和らげてはくれない。
怪我はほとんどしていない。しかし両手両足の拘束と、何より恐怖によって身体が動かない。
 眼前では3体のSuper Mutantが調理のためか、火を起こしていた。どうやら彼ら彼女らは日本人ではなさそうだ。日本人なら生け作りにするはずで、生きたまま食べられるというのは拷問だ。

 Super Mutantに一度捕まったら、否、目の前に現われた時点で死んだも同然だと理解していたはずだった。
 だが信じたくなかった。
 自分が死ぬなんて思いたくなかった。



 しかし目端に迫る漆黒の影を見とめては、もはやそうもいえない。きっと死の臭いを嗅ぎつけて、死神がやってきたのだ。
 不思議なことにその死神は、爆音を撒き散らしながら迫ってきていた
 そしてSuper Mutantのうちの一体に衝突し、血と肉片と骨とを飛び散らせた

 Super Mutantが捕らえた人間ではなく仲間の命を刈り取った死神に向かって武器を構えた。事故の際は示談で事を収められないタイプなのかもしれなかった。なにものだ、としわがれた声で叫ぶ。
 死神は前後に輪のついた、戦前のバイクと呼ばれた機械によく似たものから降りるとこう言った。

「Masked Raider」と。


「Masked Raider」

 残るSuper Mutant二体目掛け、LynnはRitaからの侮蔑の込められた呼称を叫んでいた。おまえなどRaiderに過ぎないという意味が込められたその名を。
 2体のSuper Mutantの武装を確認する。一体はミニガン、もう一体はハンマーを持っており、どちらも既にLynnを標的と見定めて攻撃を開始していた。
 Lynnは一歩引きつつ半身を翻して後方を確認し、避けることはできないと悟る。ミニガンの射線上にはSuper Mutantに捕らえられた人間がいた。女、若い、黒人、叫んでいる。

「逃げて!」
 という声が聞こえた。どうやらLynnがSuper Mutantの仲間ではなく、人類の味方であるということを正しく理解してくれているらしい。もっとものっけからSuper Mutantを一体殺して登場したのだから、それくらいのことを理解してくれるのは当然かもしれない。

 しかし当然のことでも、わかってくれたのは嬉しかった


 Lynnは諸手を頭上で交差させて、できる限り頭部の損傷を避けるようにした。弾丸の嵐の中、踏ん張って吹っ飛ばされないように耐える。女性に当たらぬよう弾を弾きながらじりじりと進む。ミニガンの目前まで到達し、銃ごとSuper Mutantを吹き飛ばす。
 残り一体。
 後方から気配を察知し、反転しつつ頭の上で両腕を交差させてハンマーを受け止める。

 戦いの最中、LynnはふとRitaのことを考えた。彼女の射撃は正確無比だった。それは彼女が幼い頃から射撃の練習をしていたためか、それともCapital Wastelandに出てから訓練をしたのか、Lynnは知らない。しかし彼女は確かな技術を持って、RaiderやFire Ant、そしておそらくSuper Mutantに対応している。

しかしLynnにはその技術はない。
 あるのはこの身、そしてこの力のみ。

 ハンマーを両の手で受け止めた姿勢のまま、頭を突き出してSuper Mutantに頭突きを喰らわせる。血と脳漿が飛び散り、Super Mutantは静かになった。


 戦闘が終わり、変身が解けそうになるのを気を引き締めて押し留める。Behemothと戦ったときは緊急時だったので忘れていたが、人前でこのスーツの力を見せるべきではない。やむを得ない状況ならば、正体を明かさぬようにすべきだ。

 Lynnはスーツを維持したまま、黒人の女性に歩み寄り、拘束を解いやった。「大丈夫ですか?」
 彼女は起き上がり、無言で頷いた。身体が震えている。Super Mutantに殺されかけたのが怖かったのか。否、数日前のRitaの反応を思えば、Lynnが怖かったのかもしれない。女性に大きな怪我がないことを確認したLynnは、慌てて彼女から離れた。
「Rivet Cityの方ですか?」
 Lynnの問いに、やはり彼女は黙って頷いた。
「この辺りは危険なようですから、早く離れたほうが良い」と地元住民ならわかりきっているであろうことを、Lynnはわざわざ言ってしまった。「では」

 バイクを起こして跨る。Moiraに直してもらって以来、かなり荒っぽい使い方をしているが、今のところ故障はない。Moiraがよほど丁寧に修理してくれたのか、バイクの保存状態が良かったのか、どちらにせよRivet Cityまでの道程をかなり短縮できたのだから、感謝しなければいけない。
 エンジンをかけたとき、背後から声がしたのでLynnは振り返った。
「あの……」黒人女性が唇を湿らせ、言葉を発していた。「あなたは………?」

「Masked Raider」
 Lynnはもう一度言って、アクセルを全開にした。恥ずかしかった。

 女性がSuper Mutantに襲われていた地点からしばらく行ったところで、Lynnは目印とされていた巨大な物体を見つけた。
「ここがRivet Cityか………」
 Lynnは嘆息した。


 でかい。
 Rivet Cityは戦前の大型船を街として使っているというのは聞いていたが、まさかここまでの規模だとは思わなかった。おそらく長大な船のほぼ中央にいるものの、海霧のせいもあるのだろうが、両端が見えないほどだ。
LynnはRivet Cityの名が入った門を通り抜け、階段を上がる。インターホンを押すと、返答がすぐさま返って来た。
『ちょっと待ってろ。今降ろす』


 Lynnは眼前の船に設置されていた回廊が回転し、橋を形作るのを驚嘆しながら見ていた。こんなもの、戦前にもなかったはずだ。もちろん技術的には作れただろうが、エネルギーと安全性の問題で、こんな大袈裟なものは遊園地でもないと作らない。おそらく戦前の技術を核戦争後に生き延びた人々が応用したのだろう。
「止まれ」
 橋を渡っていくと、途中で呼び止められた。銃を持った男が首を回しながらやってくる。どうやらRivet Cityの番兵らしい。
「さて、Rivet Cityになんか用か?

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