目次

    • 《関羽》
    • 《アルセーヌ・ルパン》
    • 《シェヘラザード》
    • 《アルテミス》
  • おまけ
    • 《オウム貝の精霊》





4-107S 《関羽》
中国史

 曹操は、天を仰いで、なお、大笑しながら、
「周瑜の愚、孔明の鈍、いまこの所へ来てさとった。彼、偶然にも、赤壁の一戦に、我を破って、勢い大いにふるうといえども、要するに弓下手にもまぐれあたりのあるのと同じだ。――もしこの曹操をして、赤壁より一気に、敗走の将を追撃せしめるならば、この辺りには必ず埋兵潜陣の計を設けて、一挙に敵のことごとくを生捕るであろう。――さはなくて、無益な煙を諸所にあげ、われをして平坦な大道のほうに誘い、この山越えを避けしめんなど、まるで児ども騙しの浅い計といっていい」と、気焔を吐き、さらに、
「これがおかしくなくてどうするか。あははは、わははは」と、肩を揺すぶりぬいた。
 ところが、その笑い声のやまないうちに、一発の鉄砲が彼方の林にとどろいた。たちまちに見る前面、後方、ふた手に分れて来る雪か人馬かと見紛うばかりな鉄甲陣。そのまっ先に進んでくるのはまぎれもなし、青龍の偃月刀をひっさげ、駿足赤兎馬に踏みまたがって来る美髯将軍――関羽であった。
『三国志 08 望蜀の巻』吉川英治, 青空文庫, No.52416, 2013より

 生、不明。父母、不明。ただ解県の産まれであることが知られている。
 三国志時代、蜀の皇帝、劉備の義兄弟にして将軍。字は長生、のちに雲長。
 9尺(当時の換算で2m超)の大男であり、顎鬚は2尺あったといわれている長い髭から、美髯公という通称もある。義に厚いという人物評もあるが、尊大であり、たびたび人の妬みを買う。

 現在の『三国志演義』である毛宗崗の演義によれば、関羽は三奇(ここでいう「奇」とはほかとは異なる抜きんでた存在のこと)として、奸絶の曹操、智絶の諸葛亮と同列に、義絶の関羽を挙げている。
 ここでいう義とは、徳が高く、人として高い道に依ることを示す。儒教では仁と並んで重要とされ、五常に数えられる。

 しかし陳寿による三国志正史での評価は特段高いわけではなく、彼を述べる文字はわずかに953字。諸葛亮の4310字と比べると遥かに少ない。しかも「剛情で自ら誇りを持ちすぎ」と評価されている。事実、外交下手でもあり、彼の死はそうしたプライドの高さが招いたといわれている。
 また、日本でよく知られている吉川栄治の三国志では、主とされるのは曹操と諸葛亮のみである。

 呉と魏の連合軍と衝突した樊城の戦いにおいて、馬忠という名の、関羽捕縛以外には全く名前の挙がらない武将に捕らえられ、息子の関平とともに処刑される。


(マルチソウル)
 《関羽》は、元は漢の末帝を自称する劉備の部下であり、一種の傭兵隊長のようなものであったが、199年に劉備が徐州を奪ったことで、当時有力者であった曹操に狙われる。主君と別行動をしていた関羽は、劉備の妻子を守るために曹操に降る。その際、猛将で知られていた《関羽》は魏国の将軍として一時席を置いたこともある。演義ではこの背景から、赤壁の戦いで大敗した曹操を伏兵として待ち構えるも、そのまま見逃している。


『オーラ』『速攻』『勇猛』
 《関羽》は正史・演義でともに猛将として知られる人物である。
 特に演義では、呂布の名馬として知られる赤兎馬に跨がり、冷艶鋸という名の巨大な青龍偃月刀を振るって数多の戦いに参加、武名を上げた。
 そうした勇猛ぶりは特に演義で描かれており、彼は最強の武将であった呂布の赤兎馬を受け継いでいる。

 なお、演義では関羽の死後、赤兎馬は馬忠のものとなる。しかし馬は草を一切食まず、まるで《関羽》に殉じるようにして死亡する。


『魂石化』
『ソウルバースト[白][橙]:ターンの終わりまであなたのすべてのユニットのパワーを+500すると共に、それらは「勇猛」を持つ。』
 《関羽》は後世に関聖帝君(関帝)として奉られ、神となった。
 演義曰く、死後、玉泉山の善浄に逃げ込む。そこで一度は成仏したかに思われたが、民を助け、霊験あらたかであったため、廟が立てられ、これが道教神となったといわれている。
 塩で有名な解県の産まれであったことから、財神(商業の神)でもあり、日本では横浜、チャイナタウンに関帝廟が存在する。




4-116S 《アルセーヌ・ルパン》
小説

「ルパン湾!」とルパンが叫んだ。
 ルパンは少年とレイモンドを助けながら上陸させ、部下にはエイギュイユ城へ様子を見にやった。ルパンはいった。
「ボートルレ君、我輩はここで農園を開いて、妻と母と共に、バルメラに成りすまして、平和な生活を送ろうと思うのです。紳士強盗はもはや死んだ。紳士百姓として生きるんだ。」
『鬼厳岩』モーリス・ルブラン著, 菊池寛訳, 青空文庫, No.46187, 2006より

 変装を得意とする、神出鬼没の怪盗。
 紳士怪盗の異名を持ち、けっして人に手をかけないとも言われているが、実際は子どもに薬物を使って脅したり、邪魔な存在を誘拐するなど、全く無害な存在というわけではなく、ときに入ったばかりの部下が銃で人に怪我を負わせたりすることもある。

 また、一般にイメージされる怪盗というと単独で行動するものであるが、《アルセーヌ・ルパン》は単独で仕事を働くというよりは、多くの手下を引き連れて大胆に仕事を行う。

 好敵手に、警部ガニマール、英国の名探偵エルロック・ショルムス、学生探偵イジドール・ボートルレなどがいる。
 ちなみにエルロック・ショルムス(Herlock Sholmes)の姓名の頭を逆にすると、シャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)になることからわかるように、エルロック・ショルムスはもとはコナン・ドイルの作品に出てくる名探偵の名前と個性をそのまま使用していた。


『アルセーヌ・ルパンが戦場に配置されたとき、ユニットカードのカード名を1つ宣言する。あなたの戦場にアルセーヌ・ルパンがいるならば、すべてのプレイヤーはそのカード名のユニットカードを戦場に配置できない。
1:カテゴリを1つ宣言する。ターンの終わりまでアルセーヌ・ルパンはすべてのカテゴリを失い、宣言したカテゴリを持つ。』
 《アルセーヌ・ルパン》は変装を得意とし、劇中でさまざまな人物に姿を変える。彼の変装は大胆であり、ときに変装をしたまま警察や探偵の前に姿を現したり、結婚式を挙げたりすることさえある。
 もちろん、同じ人物がふたりいれば不自然になってしまうので、部下などに根回しをして、その人物を登場させなくさせるということは容易なことである。




PR-029 《シェヘラザード》
イスラム民話

「なぜならば」と王は言った。「この大地の表面には、今も昔も貞節な女などひとりもいないからだ」
『バートン版 千夜一夜物語Ⅰ』, 大場正史訳, 筑摩書房, 2003, p64より

 ササン王朝の大臣の娘。絶世の美女であり、あらゆる伝説や物語に通じる才女。
 千夜一夜物語の語り部。

 ササン王朝のシャーリヤル王は弟王のシャー・ザマンとともに賢王と名高く、国を豊かに統治していた。しかしあるとき弟王のシャー・ザマンは、王妃が料理人と姦通している現場を目撃、怒りに燃えて殺害してしまう。
 さらに彼は、兄王の妻までもが奴隷たちと浮気をしている現場を目の当たりにする。弟から妻の不義を聞いたシャーリヤル王は、己の眼で妻の不義を確かめ、また魔人と姦通しながら、何人もの男と交わる女に出会ったことで、女というものが根本的に信用できなる。
 そしてシャーリヤル王は王妃を処断したのち、一夜を交わるために花嫁を娶るや、翌朝には切り殺す狂王に成り果ててしまう。

 三年ののち、大臣の娘である《シェヘラザード》は事実を知るや、女と狂った王自身を救うために、王の花嫁として名乗りを上げる。
 

『 ハーベスト 物語1 』
シェヘラザードから物語カウンターを1個取り除く:ユニットを1体選ぶ。ターンの終わりまでそれは攻撃と防御ができない。
シェヘラザードから物語カウンターを1000個取り除く:このゲームに勝利する。
 一夜限りの王の妻になった《シェヘラザード》であったが、妹のドゥニャザッドを交えて王に寝物語を聞かせる。
 あらゆる知識を備えた才女、《シェヘラザード》による物語を聞いた王は、その続きが気になってしまい、《シェヘラザード》を殺すことに躊躇する。
 《シェヘラザード》の語る物語、アラビアン・ナイトとも呼ばれるそれは、各地の民話の集大成ともいえ、その内容は、王や魔人などが関わる壮大な物語から、鳥獣を主役とした物語まで、多岐に渡る。

 そして《シェヘラザード》は寝物語を千夜一夜、つまりおよそ三年続ける。最終的に《シェヘラザード》はシャリヤール王との間に3人の子をもうけ、王は賢王に戻る。彼女は勝利したのだ。

 余談だが、『千夜一夜物語』を実際に読めばわかるが、寝物語は《シェヘラザード》によって語られることで読み進められていくものの、ときには物語の中で物語が語られ、その物語の中でさらに物語が語られることもあり、物語の構造の把握は一見して非常に難しい。その全容を理解することに比べれば、カウンターを1000個乗せるなどというのは屁でもないことである。




PR-033 《アルテミス》
ギリシャ神話
ギリシアの王アガメムノンがアルテミスのものである一頭の鹿を殺した時には、アルテミスは、その償いとして自分の娘を生贄にさしだすよう王に要求した。
『大英博物館双書Ⅳ 古代の神と王の小辞典1 ギリシア・ローマの神々』リチャード・ウォフ著, 細井敦子訳, 学芸書林, 2010, p13より

 月と乙女と銀の女神。処女神。狩猟神。同じく月の女神であるセレネと同一視される。ローマ神話ではディアナ。
 オリュンポス十二神の芸術の神、アポロンを兄に持つ。
 
 《アルテミス》は白馬に曳かれる銀の戦車に乗って夜空を駆け、銀の弓で光の矢を放つ。
 ギリシャ神話で海はポセイドンの領域だが、《アルテミス》のみがその領域を侵し、潮の満ち引きを銀の鎖で操る。

 女性を象徴する神であり、女性が不意に死ぬことを、古代ギリシャでは「アルテミスの矢に射られた」と言う。


[W]:対戦相手のすべてのユニットに500ダメージを与える。
[CB]ユニットを1体選ぶ。ターンの終わりまでそれのパワーを500、ATKを0にすると共に、それはすべてのカテゴリを失い、【カテゴリ(熊)】を持つ。
 《アルテミス》は激昂しやすい性格であり、時に冷徹で残忍である。また自らの気に入らないものには徹底的に罰を与える。
 たとえばアクタイオンという狩人が水浴びをする《アルテミス》を目撃したことに対して激怒し、彼を牡鹿に変えて、彼自身が連れていた猟犬に襲わせて殺したことがある。




PR-031《オウム貝の精霊》
古生代―現代

 オウムガイは、オウムガイ目の頭足類。
 南西太平洋からオーストラリア南西岸にわたるサンゴ礁領域に生息している。
 殻は観光客向けのアクセサリーとして人気があるため、近年は乱獲が問題になっている。
 

対戦相手のすべてのユニットと対戦相手のすべてのヒストリーのトリガーアビリティは時代の発展によってトリガーしない。
 オウムガイは生きた化石である。
 生きた化石という呼称は比較的曖昧なものではあるが、簡単にいえば「昔 (古代)から形質があまり変わっていないもの」である。
 有名どころだとシーラカンスだが、身近なものでいうとゴキブリだろう。
 オウムガイも、原始的な性質を備えており、古代の趣を残す。であるがゆえに、《オウム貝の精霊》は時代の発展を嫌い、その効果を妨害する。

 ちなみにオウムガイはペットショップや熱帯魚店などで購入可能である。価格は1万円前後。飼育設備は一般的な海水魚と同程度のものが必要であり、特に遊泳時に勢い良くガラス面にぶつかる可能性があるため、十分に広い水槽で飼育することが望ましい。餌は小魚やエビなど。


引用・参考文献
『三国志 08 望蜀の巻』吉川英治, 青空文庫, No.52416, 2013
『大英博物館双書Ⅳ 古代の神と王の小辞典1 ギリシア・ローマの神々』リチャード・ウォフ著, 細井敦子訳, 学芸書林, 2010
『ギリシア神話物語辞典』バーナード・エヴスリン著, 小林稔訳, 原書房, 2005
『関羽 神になった「三国志」の英雄』渡邊義浩, 筑摩書房, 2011
『鬼厳城』モーリス・ルブラン著, 菊池寛訳, 青空文庫, No.46187, 2006
『アラビアン・ナイトの世界』, 斉藤栄三郎, 厳南堂書店, 1975
『バートン版 千夜一夜物語Ⅰ』, 大場正史訳, 筑摩書房, 2003
『メトセラの軌跡 生きた化石と大量絶滅』, ピーター・D・ウォード著, 瀬戸口烈司・原田憲一・大野照文訳, 青土社, 1993
『<生きた化石> 生命40億年史』リチャード・フォーティ著, 矢野真千子訳, 筑摩書房, 2014
『研究者が教える動物飼育 第1巻 ゾウリムシ、ヒドラ、貝、エビなど』, 日本比較生理生化学会編, 共立出版, 2012

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