アメリカか死か/17/01 Rescue from Paradise -1

Rescue from Paradise

以前は、きれいな石ならなんでも、私の目には宝物に見えていたし、
生えている木ならどんなものでも、尊敬の心をかきたてていた。
それが今では、ものの価値をドルで計る、色づけされた風景の中で
白人といっしょになってペコペコしているありさまだ。
(オヒィエサ, インディアンの現代作家 『インディアンの言葉』(智慧の手帳/ミッシェル・ピクマル編)より)

Lynn
Lv. 12
S/P/E/C/I/A/L=8/3/10/5/4/8/2
Tag: Melee Weapon, Science, Unarmed
Skill:
[S] M.Weapon=45
[P] E.Weapon=15, Explosives=25, Lockpick=25
[E] B.Guns=31 ,Unarmed=100
[C] Barter=20, Speech=16
[I] Medicine=30, Repair=25, Science=86
[A] S.Guns=25, Sneak=25
Perk:
[S] Iron Fist
[E] Toughness, Strong Back, Lead Belly, Olympian, Rad Resistance
[Others] Lawbringer, Charge!, Lady Killer, Tackle, Track Star, Power Armor Training (BA), Power Armor Training (Adv)
Equipment: Metal Blaster, Shocker, Jingwei's Shock Sword, Trench Knife, Reflex Power Armor (MOD), Reflex Armor Visor (MOD)
Resist: 62%
Rad: 416 (Advance Rad Poison; -2END, -1AGL, -15AP)

Rita
Lv. 11
S/P/E/C/I/A/L=5/9/4/6/4/10/3
Tag: Lockpick, Repair, S.Guns
Skill:
[S] M.Weapon=14
[P] E.Weapon=29, Explosives=30, Lockpick=80
[E] B.Guns=35 ,Unarmed=14
[C] Barter=30, Speech=38
[I] Medicine=36, Repair=60, Science=14
[A] S.Guns=80, Sneak=54
Perk:
[P] Infiltrator
[C] Child at Heart
[I] Ammunition Engineer, Daddy's Girl
[A] Thief, Gun Nut
[Others] Black Widow, Gunslinger, Intense Training (STR), Fineness
Equipment: Browning High-Power Pistol, SIG Sauer Pistol, Silenced 10mm Alloy Steel Pistol, Infiltrator, M79 Grenade Launcher, Vault Exile (MOD)


 がりがりがり、と、Pip-Boyが酷く喚き散らして、放射線密度の増加を示している。
(60Rad超え……!?)


 汚染が酷いCapital Wastelandでも、10 Radに達すれば高いほうだ。それなのにこの場所は、それを遥かに凌ぐ汚染濃度である。いや、60どころではない。もっと上がっている。確かに汚染区域であるという看板はあったが、ここまで酷いとは思わなかった。

 場所はCapital Wasteland西方、Vault 87付近である。
 Pittから戻ったRitaは、一度Citadelへと帰った。RitaもLynnも、勝手にCitadelを出たことを咎められ、ほとんど軟禁状態になった。
 だが復旧したVault-Tecのコンピュータから、Vault 87に特殊装備としてG.E.C.K.があるということを聞いたRitaは、いてもたってもいられなくなり、再度バイクを使ってCitadelを抜け出したのだった。


 今回もLynnには声をかけなかった。彼はPittの一件で自己嫌悪に陥っていたし、何よりPittで放射能汚染区域を動き過ぎた。除染ができない体質上、彼をこれ以上連れまわすのは得策ではない。
 だが放射能による汚染の問題は、この場では彼だけの問題では済まなさそうだ。
(このままだと、間に合わない………)
 現在Capital Wastelandで一般に行われている放射線治療の根本は、塵灰などに含まれて体内に吸収された放射能物質の除去と、癌化しつつある細胞の自然死誘導だ。完全に癌化したり、ミュータント化が進行してしまった場合は治るものではない。
 早く戻らなくては。
 Ritaはバイクのブレーキを踏まずに、そのままアクセルを捻った。速度を抑えてゆっくりと方向転換する余裕はない。旋回して戻る。

 が、Super Mutant。


 黄土色の巨大な塊が目の前にあった。さすが汚染が酷いだけあり、Super Mutantの巣のようになっているらしい。
 危ういところでハンドルを切り、Super Mutantが伸ばした手から逃れる。逃れたはずだった。
 だがなぜか次の瞬間、Ritaの身体は宙を舞っていた。
 それもそのはずで、Ritaを追っていたSuper Mutantは1体ではなかった。2体。いや3体、4、5。Outcast基地で見たような変異種や、Super Mutant以外のミュータントまでがいた。

(やばい、囲まれ……!)
 囲まれた、と思考を固める前に、Ritaは地面に叩きつけられた。呼吸が止まり、頭の中が一瞬で真っ白になる。
 幾らか汚染濃度は低くなったものの、完全に抜け出せてはおらず、Pip-Boyがやかましく警告音をがなり立てている。
 それを打ち消すように、目の前のSuper Mutantが歓喜の声をあげた。人間の肉が食えることへの喜びの声を。


 だが次の瞬間には、その声は怨嗟と恐怖のそれに変わっていた。
 飛び込んできたのは黒い影だ。BOSのPower Armor、いや、それよりももっと威圧的なフォルムの鎧を身に纏った影。
 それがRitaを守るように立ち塞がるや、その両の腕と脚で、周囲のSuper Mutantたちを瞬く間に撃退した。


「Lynn……、か?」
 動くもののいなくなった空間で、Ritaはようやく声を発することができた。
「あれ、わかった?」
 黒いPower Armorのヘルメット越しに聞こえてきた声は、確かにLynnのそれだった。

 そのPower Armorは、これまで見たこともないようなものだったが、動きを見ていればわかる。拳と蹴りとでSuper Mutantを粉砕できるのは、Wasteland広しといえども、Lynnしかいないに違いない。
 Citadelに置いてきたはずの彼が、なぜこんなところにいるのか、という疑問はあったが、それを問うている暇はなかった。ここは未だ放射能汚染区域だ。負傷したRitaは、Lynnにバイクごと担いでもらって、汚染区域を出る。

「この辺なら、大丈夫かな」
 Pip-Boyの警告が出なかったところで下ろされる。岩の上に腰かけて、Ritaは息を吐いた。骨は折れてはいないが、身体中が痛かった。
「で、なんでおまえがここにいるんだ」
「いや、きみが抜けだしたって話を聞いたから、また追いかけてきただけ」

(こいつは犬か……!)
 Ritaは絶句した。前回もそうだったが、Ritaが出かけると追いかけずにはいられない性質らしい。
「おまえ、身体は……? あとそのPower Armorはなんだ」
「特に問題はないよ」と言って、LynnはPower Armorのヘルメットを外した。平時と変わらぬ様子のLynnの顔が現れる。「このPower ArmorはBOSの発掘品のひとつで、どうもおれの変身するスーツと関連付けられて開発された戦前のものみたい。このPower Armorを着ていれば、室内とか夜でも変身できる、便利なものだ。BOSのひとから貰ったんだよ。いちおう、研究がひと段落したから」


「ひと段落したってのは? あんたの身体から除染技術を取り出すってのは、成功したのか?」
「それは知らない。おれは自由にしていいって言われただけだから。ちゃんと許可を貰って、きみのあとを追いかけてきたんだよ。あと、GECK探しも頼まれた」
「頼まれた、だ?」
「BOSはGECKの捜索まで手を裂けないんだってさ。だから、どっちにしろRitaにVault 87に行ってもらうつもりだったって話だったよ。無駄に抜け出すことになったね」
「む………」

 Lynnの表情に、嘘の色は見えない。彼の言っていることは事実なのか、それともうまい具合に事実を隠しているのか。彼とは特段長い付き合いというわけではなく、彼が隠そうとしている心の裡までは見通せそうには無い。
 なんにしても、RitaがVault 87に向かうのは変わらないのだ。

「直接Vault 87に向かうのは無理だな。放射能密度が濃すぎる」
 Ritaは身体についた土埃を払って立ち上がる。
「Rothchildが言うには、この近くにVault 87に続いている地下通路があるらしい。そこを探そう」とLynn。

 以前のようにバイクに二人乗りをし、周辺の捜索に取り掛かる。
 しばらく探し回って辿りついたのは、いやに華やかというか、無意味に装飾がなされた場所だった。


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