• 《シンデレラ》
    • 《ギルガメッシュ》
    • 《八岐大蛇》
    • 《芭蕉扇》


8-001S《シンデレラ》
民話/童話

 筆舌につくしがたい悲劇から、幸福が芽生えることはある。それは力強く、目がくらむような花を咲かせ、青あおと勢いのいい茎を伸ばす。セレスティーナは、そう信じることを作品を生み出す主な原動力にしているし、この世界にくだされた神の恩寵の証拠だと考えていた。人間は、いずれ究極のよろこびが来るという確約があるからこそ耐えていけるのかもしれない。
ディーン クーンツ (著), Dean R. Koontz (原著), 田中 一江 (翻訳), 『サイレント・アイズ』下, 講談社, 2005. p323より

 初出は不明だが、日本で有名なペローの童話『シンデレラ、あるいは小さなガラスの靴』では美しい貴族の娘である。
 彼女は実母の死後、後妻となった高慢な継母とふたりの義姉に苛められ、一切の家事を押し付けられていた。
 継母や義姉から隠れるため、仕事が終わるといつも暖炉の灰の上に座っていたため、 娘は「灰尻娘」あるいは「灰娘」(《シンデレラ》)と呼ばれていた。

 王宮での舞踏会の報せがあったとき、《シンデレラ》の実父(殆ど登場しないが、彼は新しい妻に尻を敷かれている状態であり、《シンデレラ》のことに口出しをしない)は貴族であったため、招待状を受け取る。家族らは粧し込んで舞踏会へ出かけ、《シンデレラ》はひとり家に取り残される。

[F]このユニットのパワーとATKをこのユニットに置かれている時間カウンター2個につきそれぞれ+500、+1する。
 《シンデレラ》の境遇を哀れに思った仙女、あるいは魔女は、彼女のためにさまざまな魔法をかけていった
 まず庭の南瓜に魔法をかけて黄金の四輪馬車に変え、次に罠にかかった鼠を葦毛馬と立派な口髭の太った御者に変えた。
 さらに庭の如雨露の後ろにいた蜥蜴を六人の派手な従者に変化させ、《シンデレラ》のみすぼらしい服を金糸銀糸と宝石で彩られたドレスに変えた。

 こうして《シンデレラ》を貴族の令嬢らしい姿に変えていった仙女/魔女は、最後に《シンデレラ》に最も美しい靴を与えた。

 この靴はペローの童話、あるいはその後に一般に広まった物語では「ガラスの靴」である。
 しかしそれ以前の民話で、この靴は(栗鼠の皮と推定される)「灰色の毛皮の靴」であった。
 この改変はペローによる「最も美しい改変」のひとつであると評されている。

[T]あなたがクロノチェックを行ったとき、このユニットの上に時間カウンターをそのクロノチェックでCAヤードに置かれたカードのCAに等しい数だけ置く。その後、このユニットの上の時間カウンターが12個以上あるならば、このユニットを手札に戻す。
 ペローによって美しいガラスの靴を履くことになった《シンデレラ》は、魔女/仙女からひとつの忠告を受ける。
 それは、すべての魔法は真夜中12時を過ぎれば解けてしまうということだった。

 南瓜の馬車に乗り、舞踏会へと向かった《シンデレラ》は王子に見初められ、すぐにダンスを踊り、ともに食事を摂る。
 魔女/仙女の忠告を忘れていなかった《シンデレラ》は真夜中12時になる前に王子と翌日の舞踏会の約束をし、帰宅。
 翌日にも魔女/仙女に同じように魔法をかけてくれるようにと頼む。

 翌日、同じように舞踏会に出かけて行った《シンデレラ》だったが、今度はあまりに舞踏会を楽しみ過ぎて、真夜中12時を過ぎてしまう。
 慌てて城を逃げ出した彼女は、ガラスの靴を片方落としてしまった。

 翌日から、ガラスの靴を片手に王子の花嫁探しが始まる。
 ついに《シンデレラ》の家を訪れた王子の前で、彼女はガラスの靴を履く。彼女が舞踏会に現れた美女であったことは誰にも認められ、ついには王子と結ばれた。



8-028S《ギルガメッシュ》
神話/民話/メソポタミア史

 ところが、天界のおきてによれば「天の牛」を殺した者は死なねばならない(第七の書板、一・六―七行)。こうして神々の決定により、エンキドゥが死ぬことが決められ、彼は十数日にわたって熱病に苦しんだ末に死ぬ。ギルガメシュは親友の死を悲しみ、こののち「永遠の命」を求めてさまようことになるが、これがアッカド語(アッシリア・バビロニア語)版『ギルガメシュ叙事詩』の全体を貫く主題となっている。
矢島 文夫 (翻訳), 『ギルガメシュ叙事詩』,  筑摩書房, 1998. p237-238より

 《ギルガメッシュ》は神々による大洪水後、古代メソポタミアで最初に王権が天から降ったとされる都市、キシュのウルク(エアンナ)王朝の王であり、人類最古といわれる文明、シュメール文明に登場する物語『ギルガメシュ叙事詩』(アッカド語での原著の題は『あらゆることを見た人』)に登場する古代オリエント最大の英雄。

 ルガルバンダ神の父とニンスン女神の母を持つが、2/3が神、1/3が人間と伝えられている。
 1/3の人間性から、老いや死について悲観するという人間らしい側面を持つ。

 紀元前2800年頃の実在の王、あるいはそれをモデルとした人物であると推測されている。オリエント地方では文書や円筒印章の図柄などでその物語『ギルガメシュ叙事詩』は残されており、非常に人気が高かったことが伺える。
 
 《ギルガメッシュ》はアッカド語であり、シュメールでは「ビルガメシュ」の発音になる。ビルガは「祖先」、メシュは「英雄」を表すため、「祖先は英雄」という意味になり、冥界の神として通じる。
 また、この名は『ギルガメシュ叙事詩』の第11書版で登場する不死の草の名としても登場する。

[T]このユニットが戦場に配置されたとき、対戦相手のヒストリーを1個か対戦相手のストラクチャを1個選ぶ。それのコストがあなたの時代の数以下ならば、それを破壊する。
 はじめ《ギルガメッシュ》はウルク市の暴君であった。

 彼を懲らしめるためにアヌ神は野人エンキドゥを作るが、エンキドゥは娼婦シャムハトと交わり、野人から人間となる。
 人間になったエンキドゥは《ギルガメッシュ》と戦うが、決着はつかず、まるで少年漫画の河原での決闘のようにふたりは友情で結ばれる。
[F]このユニットのパワーとATKを対戦相手の捨て札置き場にあるヒストリーカードのカード名と対戦相手の捨て札置き場にあるストラクチャカードのカード名1種類につきそれぞれ+500、+1する。
 その後、ふたりは様々な旅をし、様々な物を得、様々な物を失う
 あるとき杉の森に出かけた《ギルガメッシュ》は太陽神シャマシュからは風の援軍を得手、番人フンババが護る杉の森ではその杉を切り倒し、筏を造る。

 また女神イナンナ(《イシュタル》)から求愛された際にはその求愛を撥ね除け、逆上した《イシュタル》によって「天の牡牛」という凶暴な牡牛を《ギルガメシュ》の治めるウルク市に放される。
 天の牡牛は牧場を破壊し、河の水を飲み干して干上がらせるなどウルク市を破壊しつくしたため、《ギルガメシュ》と親友エンキドゥはこれに対抗するため、210kgの斧で牛を殺害した。

 だがその後、番人フンババや天の牡牛を殺した罪に咎められ、神によって親友であるエンキドゥが殺されてしまう。
 エンキドゥは死亡し、その死を目の当たりにした《ギルガメシュ》は死への恐怖を抱え、不死者ウトナピシュティムを訪ねる旅に出る。

 最終的に《ギルガメシュ》は不死者ウトナピシュティムの手助けによって不死の薬、「若返りの草」(ビルガメシュ)を手にするものの、帰路、水浴びをしているところで草を蛇に奪われてしまう。
 こうして若返りの草を得た蛇は、脱皮を繰り返すことで不死になった、とシュメールの神話では伝えている。 



8-065S《八岐大蛇》
日本神話

 素戔嗚(スサノオ)は《天照大神》や月読命のきょうだいであり、始祖の神、伊邪那岐(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)の3人の子のひとりである。
 父である伊邪那岐によって下界の海原の統治を任された素戔嗚であったが、ろくすっぽ働かない乱暴者であったため、父と縁を切られてしまい、さらに身を寄せた姉の《天照大神》の高天原でも天岩戸事件の元凶となったため、八百万の神々の決定により高天原からも追放されてしまう。

 出雲に降り立った素戔嗚は足名椎(アシナズチ)という男が嘆いている現場に出会う。彼が言うには、彼にはもともと8人の娘がいたが、高志(北陸地方)からやって来た化け物が毎年毎年娘を一人ずつ食ってしまうようになったのだという。

 その体躯、ひとつきりの胴体に8つの頭と8つの尾。
 その長さ、ひとつきりの身体で8つの谷と8つの峰。
 その名、《八岐大蛇》。

『 勇猛 』
このユニットカードは首カウンターが8個置かれた状態で戦場に配置される。
[F]このユニットのパワーとATKをこのユニットの上に置かれている首カウンター1個につきそれぞれ、+1000、+1する。
[F]このユニットの上に首カウンターが置かれている状態でこのユニットにダメージが与えられるならば、代わりにすべて軽減しこのユニットから首カウンターを1個取り除く。
 《八岐大蛇》は日本神話に登場する、八頭八尾の怪物である。

 素戔嗚は《八岐大蛇》退治を請け負ったが、その報酬として足名椎の最後の娘、櫛灘姫(クシナダヒメ)を妻として娶ることを要求した。
 彼女は稲田の神であり、それを喰おうとする《八岐大蛇》は水害を象徴していると考えられる。

《八岐大蛇》退治のため、素戔嗚は高いアルコール度数の酒を用意させて酒樽を満たし、夜を待った。
 まんまとやって来た《八岐大蛇》が濃い酒を呑み、泥酔したところで素戔嗚はこれを殺傷した。
 その後、素戔嗚が《八岐大蛇》の尾を捌いていると、剣が何か硬い物に当たり、刃先が欠けてしまった。
 見つかったのはいかにも強靭かつ神聖に見える剣で、明らかに霊的なものがあると感じた素戔嗚はその剣を高天原の《天照大神》に献上した。この剣こそが、草薙の剣——すなわち三種の神器のひとつである天叢雲剣である。



8-071U《芭蕉扇》
小説/民話

 羅刹女は中国四大怪奇小説『西遊記』に登場する平天大聖、牛魔王と結婚した翠雲山の女仙である。

[A][紫][紫][W]:対戦相手の結合状態のユニットカードを1枚選ぶ。それを手札に戻す。
 《芭蕉扇》は、羅刹女が持つ扇である。

 火焔山の火を消すことができる唯一の道具であるこの《芭蕉扇》を借りに来た孫悟空(《斉天大聖》)を、羅刹女は《芭蕉扇》の一振りで吹き飛ばした
[A][W]:勢力紫のスペルを1個選ぶ。ターンの終わりまでそれがユニットにダメージを与えるならば、代わりにそのダメージを500増やす。
 《斉天大聖》は虫に化け、羅刹女の胃の中に入ることで脅し、《芭蕉扇》を奪うことに成功したかに見えた。

 が、その《芭蕉扇》は偽者であり、火を消そうと振ってみると逆に燃え上がり、《斉天大聖》の毛を丸焦げにしてしまった。

 羅刹女は鉄扇公主の別称を持ち、彼女の持っている扇は《芭蕉扇》ではなく、その別称の通り巨大な鉄扇であるとする話もある。この場合、鉄扇公主は鉄扇で雨を降らすなどする。

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引用・参考文献
  • 戸部 民夫 (著), 『日本神話―神々の壮麗なるドラマ』, 新紀元社, 2003.
  • 矢島 文夫 (翻訳), 『ギルガメシュ叙事詩』,  筑摩書房, 1998.
  • シャルル・ペロー (著), ハリー・クラーク (イラスト), 荒俣 宏 (翻訳), 『ペロー童話集』, 新書館 2010.
  • 岡田明子 (著), 小林登志子 (著), 『シュメル神話の世界 粘土板に刻まれた最古のロマン』, 中央公論新社, 2008.
  • 実吉 達郎 (著), 『西遊記動物園』, 六興出版, 1991.
  • 中野 美代子 (著), 『孫悟空の誕生―サルの民話学と「西遊記」』, 福武書店, 1987.
  • ディーン クーンツ (著), Dean R. Koontz (原著), 田中 一江 (翻訳), 『サイレント・アイズ』下, 講談社, 2005.

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