小説ラスクロ『太陽の鴉』/時代3/Turn9《魂焦がしの呪い火》

8-067C《魂焦がしの呪い火》 「用心なさい。闘志の炎と憎悪の炎の間には、ほんの少しの色の違いしかないのだから。」 ~紫光仙女の忠告~  少女は両手でカップを握り、ふうふうと息を吹きかけている。毒を警戒しているのでなければ、よほど猫舌なのだろう。...

小説ラスクロ『太陽の鴉』/時代3/Turn8《哀念の神隠し》

8-090U《哀念の神隠し》 レーテから闇が迫る夕暮れどき、いなくなるのは常にもっとも幼い子か、不思議な資質を持った子と相場が決まっている。  あまりにも無防備な捜索隊の背後を眺めながら、この首を圧し折って捨てていったらどうなるだろうか、と《獄炎の料理...

龍のいない国/02 When Freedom Calls -2

 しゃがんで金庫の鍵を弄っていると、 肩のところに温かいものが載せられた 。その温かいものは、ふんふんと慌ただしく息を漏らしている。 「ちょっと待っててね。また変な生き物がいないかどうか見張ってて」  Lonは振り返らずに金庫の鍵に集中した。後ろにいた生き物―― 茶毛...

日誌/ラスクロ、橙青アイアンミュシカ(クラシック)

 最初に言っておきたいが、 このポーズは、  アイアンクローである。  いや違う、待ってくれ。 ラリっているわけではない。 あと首から下を砂浜に埋めるのはフグ毒の治療法だ。  そう、20世紀の米国と日本のプロレスを湧かせたフリッツ・フォン・エリックの意志をこの年...

小説ラスクロ『太陽の鴉』/時代3/Turn7《獄狼拳士 ジュオ》

9-053S《獄狼拳士 ジュオ》 獄狼拳士の技が生む炎は、決して熱くはない……それは冷酷さと透き通った殺意でできている。 『ゼスタールを守れ』    その黒オセロテ―― 《オセロテの狂戦士》 は孤独だった。  8年前のティルダナ兵の奇襲によって妻...

小説ラスクロ『太陽の鴉』/時代3/Turn6《大凶兆》

7-115U《大凶兆》 あら残念……貴方、今夜はツキがなかったわね! (あの年増女めっ——!)  混乱の最中にある《魔導戦艦 ゼスタナス》の自室のディスプレイを眺めながら、《魔戦技の異端姫 シェネ》は歯噛みせずにはいられなかった。  半分以上の船...

龍のいない国/01 Out of Time -2

 眼下には廃墟と化した町並みが広がっていた。 (あの日――)   あの日、多くの人が死んだのだろう 。悲哀と恐怖と怒りとともに。  だがLonにとってはそんなことはどうでもいいことだ。ああ、他人の悲しみに付き合うつもりはないのだ。  Lonにとって重要なのは家族の...

小説ラスクロ『太陽の鴉』/時代3/Turn5《死命の天秤》

 オーディンは恐るべき存在だ。彼はただ一眼をもち、そのことを即座に見抜かれることを避けるために鍔の広い帽子をかぶっている。彼はいつも青い外套を羽織り、魔の槍グングニルを携えている。肩の上には大ガラスのフギン(思想)とムニン(記憶)がとまっているが、それは戦いの鳥であると共に知恵...

龍のいない国/01 Out of Time -1

明日奪われて Out of Time 1 「ねぇ、ママ。どうしてわたしはWenlongなんて名前なの?」  幼い頃、わたしは近所の少年たちに虐められてベソをかいて戻って来るたび、母にこんなことを訊いたのを覚えている。 「Longっていうのは 龍って意味 ...

小説ラスクロ『太陽の鴉』/時代2/Turn4《深淵の黒雷》

9-093R《深淵の黒雷》 死哭空峡でゼスタナス号を襲ったのは、レーテ周辺の時間と魔力の逆流が生む、悪夢のような空の大渦巻だった。   傾いた甲板の上を《魔戦技の異端姫 シェネ》は駆けていた。 縁に向けて。  《魔導戦艦 ゼスタナス》号の遥か下方、眼下...

日誌/ラスクロ、いまさらアトランティカの時代を語る(スターター〜第三弾)

 このページは最初期からラストクロニクルに付き合っている(にも関わらず何ら結果を出していない)にも関わらないプレイヤーによる 環境の振り返り である。  本ページにおける 「環境を制した」「台頭した」デッキの定義は、エリアトライアル・TOURで優勝したもの、もしくはスイス1位...
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